好感度が100%超えた魔物を人間化&武器化する加護がチートすぎるので、魔物娘を集めてハーレムパーティーを作ろうと思う

花京院 光

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第二章「王都編」

第七十一話「クラウディア殿下と買い物をしていたら訳の分からない男に勝負を挑まれた件について」

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 普段着の俺では場違いな、あまりにも豪華な宝飾品が並ぶ店内に思わず後ずさりをする。
 田舎者の俺には眩しすぎる空間に動揺しながらも、クラウディア殿下と共に商品を眺める。

 ミスリルやオリハルコンといった希少価値の高い金属から作り上げた宝飾品が並ぶ空間には、身なりの整った貴族達の姿もある。
 俺は冒険者としての標準的な服装、すなわち森での生活で汚れ切った服を身に着けているので周囲の視線が痛い。
 まさか、クラウディア殿下と食事をする事になるとは思ってもみなかったので、普段着のまま街に来てしまった。

「おいおい、この店はいつから貧乏人に商品を売る様になったんだ?」

 髪を綺麗に整え、ピカピカに磨き上げた靴を履き、いかにも高級そうなステッキを持った十代後半程のいけ好かない男が俺を睨みつけた。
 隣には豪華なドレスを身に着けた女性が立っている。
 指には十個以上もの指輪を嵌め、まるでゴミでも見るかの様に俺の服装を上から下まで舐める様に見た。

「本当に、どうしてあんな貧乏人が店内に居るのかしら。場違いにも程があるわ」

 二人が露骨に俺の悪口を言い始めると、店の奥から店主が現れた。
 おそらく宝飾職人なのだろう、エプロンを身に着けた五十代程の男性がクラウディア殿下の前で跪いた。

「お久しぶりです、クラウディア殿下」
「ええ。お久しぶりです、ジルベール伯爵。今日は友人を連れてきたんです」

 クラウディア殿下が俺の手を握るや否や、まさか俺が殿下の連れだとは思ってもみなかったのか、男は顔を歪め、目に涙を浮かべて震え上がった。

「ど、どどどうしてあんな貧乏そうな男がクラウディア殿下と共に……!?」
「きっと脅されてるんだわ! あの男がクラウディア殿下の弱味でも握ってるに違いない! それで高価な宝飾品を買わせようとしているのよ!」
「そうだ! きっとあの男がクラウディア殿下を脅してるんだ!」
「ええ、なんて忌々しい男かしら。王族を脅して金品を要求するなんて! すぐに衛兵を呼びましょう!」

 全く馬鹿馬鹿しい妄想に思わず笑みがこぼれた。
 店主が男を睨みつけ、静かに胸倉を掴むと、軽々と店の外に放り投げた。

「クラウディア殿下! 大変不愉快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした!」
「ラインハルト様を侮辱するとは……私は久しぶりに腹が立ちましたよ」

 クラウディア殿下が杖を抜いて店の外に出ると、俺は慌てて殿下の前に立った。
 店主に投げ飛ばされた男はステッキを構えて俺を睨みつけている。

「クラウディア殿下、落ち着いて下さい。別に罵声を浴びせられただけじゃないですか」
「ですが……! ラインハルト様が私を脅すなど全く馬鹿げた話です! このままでは気が収まりません!」
「それでは……俺が何とかしますので、ちょっと待ってて貰って良いですか? 流石に武器を向けられて引き下がる訳にもいきませんから」
「はい、コテンパンにやっつけちゃって下さい!」

 どうやらあのステッキは魔法の杖の役割を果たしているのだろう。
 ステッキの先端には雷の魔力が集まっている。
 先に魔法攻撃でも仕掛けるつもりなのだろうか。
 全く、落ち着いて買い物も出来ないという訳か。

「おい、小僧! クラウディア殿下に守られる気分はどうだ? どうせ一人じゃ戦えないんだろう? 女に守られるだけのクズが!」
「時間が勿体ないのでさっさと掛かってきて下さい」
「なんだと……!? 貴様……俺様を誰だと思ってる! 大魔術師、バシリウス・オックスの息子、フリートヘルム・オックスだぞ!」
「はいはい、それで。魔法はまだですか? それとも、あなたは実戦でもこうして魔物相手に自己紹介をするんですか?」
「この野郎……! 女の前で恥かかせやがって……ぶち殺してやる!」

 オックスがステッキを構えた瞬間、俺は左手をオックスに向けた。
 こういう時はアナスタシアから教わった魔法が役に立つ。

「ストーンシールド!」
「サンダー!」

 瞬時に石の盾を作り上げると、オックスが雷撃を放った。
 相手に魔法を撃つまでに躊躇している様な男に負ける筈がない。
 旅の間、九尾の狐であるアナスタシアやブラックドラゴンであるエリカから戦闘訓練を受け続けてきたのだ。

 特にエリカの訓練は死ぬ程厳しい。
 体が動かなくなるまで延々と肉体を追い込み、火属性魔法の反復練習をさせられた。
 そんな地獄の訓練のお陰もあって、俺は短期間で飛躍的に魔力が上昇した。

 男が再び杖を構えると、今度は周囲に風が吹き荒れた。
 二属性もの魔法を使えるという事は、どうやら口だけの男という訳でもない様だ。
 石の盾を解除し、拳に魔力を集中させる。

「エンチャント・ファイア」
「ウィンドショット!」

 拳に炎を纏わせた瞬間、オックスが風の塊を放った。
 体重を乗せたストレートでオックスの魔法をかき消し、一気に懐に飛び込んでステッキを力ずくで奪う。
 それからオックスのステッキを空に放り投げ、両手をステッキに向ける。

「ヘルファイア!」

 ブラックドラゴンの固有魔法である黒い炎で木製のステッキを燃やす。
 強烈すぎる炎が空に上がり、人間には使いこなす事が出来ない魔物の固有魔法の使用に、野次馬が一気に歓声を上げた。

「今の魔法ってヘルファイアだよな!? という事は、あの男が噂のラインハルト・シュヴァルツか!?」
「ああ、間違いない! クラウディア殿下のギルドに加入したと新聞に書いてあったからな! しかし、オックスですら子供扱いとは。一体どれだけ強いんだか……」
「大魔術師の息子が勝負を挑んでも傷一つ付けられないとは! 流石、ソロモン王の加護を授かった冒険者様だ!」

 市民達が熱狂的な拍手を上げると、やっと俺の正体に気が付いた男が震えながら跪いた。

「し、失礼しました!」
「いいえ、別に良いですよ。また機会があれば勝負しましょうか」
「勘弁して下さい! まさか、ソロモン王から加護を授かったシュヴァルツ様だったとは! 申し訳ございませんでした!」
「それでは忙しいのでこれで失礼します。あ、ステッキを燃やしてしまって申し訳ありません」

 オックスと共に居た女は愛想を尽かしたのか、オックスを置いて通りを後にした。
 クラウディア殿下は初めて俺の魔法を見たからか、目を輝かせて俺の手を握っている。

「あれがラインハルト様の戦い……本当に素晴らしかったです! 武器すら使わずに魔法だけで勝利を収めてしまうとは!」
「相手が弱ったので助かりましたよ。さぁクラウディア殿下、買い物の続きをしましょう!」
「はい、ラインハルト様!」

 それから俺は上機嫌な殿下と共に再び店内に戻った。
 美しい宝飾品が並ぶショーケースを見る。
 最低でも10万ゴールドのアイテムを取り扱っているのだろう。
 確かに俺の服装はこの空間には合わないが……。

「ラインハルト様、あんな男の戯言は気にしなくても大丈夫ですよ」
「しかし……私の服装はクラウディア殿下には釣り合わない事は事実です……」
「それでは服を買いに行きましょうか! 私が全身コーディネーターして差し上げます!」
「え、殿下に服を選んで頂けるんですか? それは光栄です!」
「はい、それではすぐに参りましょう!」
「あ、ちょっと先に店を出て待っていて下さい。買いたい物があるので」

 クラウディア殿下が先に店から出ると、俺はクラウディア殿下に今日のデートの記念として贈り物を用意する事にした。
 フローラやエリカにプレゼントを買った時、クラウディア殿下が露骨に寂しそうにしていたからだ。

 レストランでの代金も俺が支払ったので、財布の中は非常に寂しい。
 魔石でも買い取って貰ってお金に変えようか。
 どうやらこの店には魔石を加工して宝飾品を作ったりもしているみたいだ。

「あの……魔石の買い取りってお願い出来ますか?」
「はい、当店では研磨した魔石を嵌めたジュエリーも数多く取り揃えております。希少価値の高い魔石なら魔石屋と同額で買い取らせて頂きますよ」

 鞄を開き、旅の生活で集めた魔石をカウンターに出す。
 スケルトンやスライム、ゴブリン等の低級の魔石は殆どお金にならないだろう。
 つい先日討伐したばかりのブラックベアとサイクロプスの魔石はどうだろうか。
 Cランクの魔物の魔石なので、それなりの金額で買い取って貰える筈だ。

「ほう、サイクロプスの魔石ですか! なかなか希少価値の高い魔石をお持ちなんですね。それにブラックベアの魔石もこんなに沢山!」
「旅の途中で戦う機会があったんです」
「そうでしたか、魔石の買い取り代金を何か商品に換えましょうか?」
「それでは……知り合ったばかりの女性に贈っても引かれない物ってありますか?」
「そういう事でしたら……髪留めなんていかがでしょうか」

 白髪の店主が髪留めを勧めてくれた。
 どうして髪を留めるだけの物が15万ゴールドもするのか、理解に苦しみながらも、クラウディア殿下に贈るに相応しい物を探す事にした。
 勿論、王族が満足出来るレベルの宝飾品は俺には手が出ない。
 それでも自分が買える物の中でなるべく良い物を贈りたいと思う。

「殿下の髪の色が銀色なので……プラチナにサファイア製のこちらの商品などはいかがでしょうか?」
「そうですね。それではその商品を頂きます」

 15万ゴールドの髪留めを購入すると、財布の中はすっかり空っぽになった。
 魔石の買い取り額は思ったより高くなかったが、店主が初取引の記念にと5000ゴールドも安く売ってくれた。

 ハンナ・リヒターの逮捕で得たお金をしっかり貯金していたので、シュターナーに戻ればお金はあるのだが、手持ちは少ない。
 それから俺は商品を受け取り、胸のポケットに仕舞った。
 この髪留めは別れる直前に渡す事にしよう……。
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