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第一章「迷宮都市フェーベル編」
第二十六話「精霊の友」
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「大丈夫ですか!? レオン様!」
「はい……、何とか生きてますよ」
「良かったです……。まさか、ブラックウルフを氷漬けにしてしまうなんて! 流石レオン様です」
「氷のゴーレムに助けて貰ったんですよ」
「ゴーレム!? と言いますと、精霊魔法ですか!? レオン様は精霊魔法の使い手だったんですか?」
「はい、エミリアから教わったんです。クリステルさんも精霊魔法を使えるんですよね?」
「いいえ、私にはまだ使えません。シャルロッテが何度も教えてくれたんですが、通常の魔法よりも遥かに難易度が高いので、成功した事もないんです」
「俺もあんなに立派なゴーレムを作ったのは初めてです。咄嗟に最高のゴーレムが現れました……」
何度練習しても体の小さな、とても戦闘には向かない様なゴーレムしか作れなかった。だが、ついさっき俺が作り上げたゴーレムは、まるで父の様な屈強な戦士だった。遂に精霊魔法が完成したのだ。勿論まだまだ高みを目指すが、戦闘で活躍出来る仲間をいつでも作れると生存率も上がるだろう。
「ティナ、クリステルさん、少し休んだら五階層を目指して進みましょうか」
「はい、わかりました。私は魔石を回収してきますね」
「ありがとうございます」
俺はティナを抱き締めながらダンジョンの地面に座り込んだ。狂戦士の果実のおかげで魔力と体力は回復しているが、戦いで生命の危険を感じたからか、精神は疲れ切っている。
「大丈夫? レオン」
「ああ、少し休めば大丈夫だよ」
「僕がレオンを守るんだから」
「ありがとう。いつも助かってるよ」
ティナが俺の鞄を持ってくると、パンと乾燥肉を渡してくれた。食事をしながら休んでいると、クリステルさんが魔石の回収を終えて戻ってきたので、俺達は再び下層を目指して進み続けた……。
俺達はダンジョン攻略の途中で火の微精霊の棲家を見つけた。火の魔力の塊である小さな微精霊達がパーティーを歓迎してくれた。火属性の魔石が天井に埋まっている空間には、赤い色をした見た事も無い草や、まるで猫の様な見た目をした獣人が居た。
シュルツ村には獣人は居なかったが、ダンジョンを攻略する獣人が居るとは思わなかった。クリステルさんの説明によると、この獣人はケットシーという種族の生き物なのだとか。魔物と人間の中間に位置する生物で、体内には魔石を持っていない。
灰色の毛をしたケットシーが俺に近付いてくると、モフモフした小さな手で俺の頬に触れた。猫にしか見えない少女の愛らしさに思わず嬉しさを感じると、俺は少女の頭を撫でた。
「冒険者さん。どうしてダンジョンに?」
「死霊の精霊を探しているんだよ」
「ギレーヌを? 冒険者さんも他の人と同じなんだね。どうせギレーヌを殺しに来たんでしょう?」
「いや、俺はただ会いに来ただけだよ。仲間になって貰おうと思って」
「仲間に? 殺しに来たんじゃないの?」
身長百三十センチ程のケットシーが猫目を見開いて俺を見上げると、俺は小さな猫の様な少女を抱き上げた。少女は無邪気に喜んで俺の頬を舐めると、クリステルさんが不満気な表情を浮かべて俺を見つめた。しかし、人間の顔を舐める仕草が猫にしか見えない。ケットシーとは何と愛らしい種族なのだろうか。
「どうして精霊を殺すんだい? 俺達は精霊の加護を授かっているんだ」
「本当!? 精霊魔術師なの!?」
「まだ称号はないけど、将来は精霊魔術師になるよ」
「凄い……! ギレーヌは良い子だから、きっとお兄さんになら心を開いてくれると思うよ」
「死霊の精霊に会った事があるの?」
「うん。ギレーヌはレーナの友達だよ。ギレーヌはレーナのお父さんを助けてくれたの」
可愛らしいケットシーの名前はレーナ。レーナの父は冒険者をしていたらしい。詳しく話を聞くと、レーナの父が七階層で魔物に取り囲まれた時、たまたま通りかかった死霊の精霊・ギレーヌが加勢してくれたのだとか。レーナの母は幼い頃に亡くなり、父も去年狩りの途中で命を落としたばかりなのだとか。
「レーナは許可証がないからギレーヌに会いに行けないけど、たまにギレーヌが会いに来てくれるの」
「五階層に続く階段を降りるには魔法陣を抜けなければならないんだよね」
「そうなの。だけどレーナが階段の前まで行けば、ギレーヌが迎えに来てくれるんだ。さっきもギレーヌに会ってきたけど、今日は機嫌が悪いみたい。朝から精霊狩りがギレーヌを殺しに来たんだって」
「レーナ、俺達はギレーヌをこのダンジョンから出してみせるよ」
「お兄ちゃんなら、もしかしたらギレーヌの加護を授かれるかもしれないね。レーナもギレーヌから加護を貰おうとしたけど、まだ弱すぎるって断られたよ。『精霊の加護を持つ者は私を守る力がなければならない』って言ってた」
「死霊の精霊がそんな事を……?」
「そうだよ。それから、死霊の精霊なんて言ったらだめだよ。ギレーヌはギレーヌなんだから」
レーナが可愛らしく微笑むと、俺はレーナを下ろした。俺達のやり取りを聞いてた火の微精霊がゆっくりと俺に近付いてくると、生まれたての小さな微精霊が俺の肩に乗った。ティナが微精霊を退けようとしたが、それでも火の微精霊は俺から離れなかった。
それから体内に火の微精霊の魔力が流れてくると、俺は遂に火の加護を授かった。これが微精霊の加護を授かるという事なのか……。
「おめでとう、レオン。遂に微精霊の加護を得たんだね」
「ありがとう、ティナ」
「レオン様。新たな属性を手に入れたんですね。やはりガーゴイルに認められたレオン様は火属性に適正があったんです。多くの微精霊がレオン様を受け入れています」
普段ならあまり近付いてこない微精霊達が、楽しげに俺の体にくっついているのだ。少しくすぐったいが、体内に微精霊達の心地の良い魔力を感じる。
「レーナはそろそろ帰るね」
「一人で帰れるのかい?」
「大丈夫。魔物が居ない道を知っているから」
それから俺とレーナは冒険者ギルド・レグルスで再開を誓い、俺達は下層を目指してダンジョン攻略を再開し、レーナは地上を目指して歩き始めた……。
「はい……、何とか生きてますよ」
「良かったです……。まさか、ブラックウルフを氷漬けにしてしまうなんて! 流石レオン様です」
「氷のゴーレムに助けて貰ったんですよ」
「ゴーレム!? と言いますと、精霊魔法ですか!? レオン様は精霊魔法の使い手だったんですか?」
「はい、エミリアから教わったんです。クリステルさんも精霊魔法を使えるんですよね?」
「いいえ、私にはまだ使えません。シャルロッテが何度も教えてくれたんですが、通常の魔法よりも遥かに難易度が高いので、成功した事もないんです」
「俺もあんなに立派なゴーレムを作ったのは初めてです。咄嗟に最高のゴーレムが現れました……」
何度練習しても体の小さな、とても戦闘には向かない様なゴーレムしか作れなかった。だが、ついさっき俺が作り上げたゴーレムは、まるで父の様な屈強な戦士だった。遂に精霊魔法が完成したのだ。勿論まだまだ高みを目指すが、戦闘で活躍出来る仲間をいつでも作れると生存率も上がるだろう。
「ティナ、クリステルさん、少し休んだら五階層を目指して進みましょうか」
「はい、わかりました。私は魔石を回収してきますね」
「ありがとうございます」
俺はティナを抱き締めながらダンジョンの地面に座り込んだ。狂戦士の果実のおかげで魔力と体力は回復しているが、戦いで生命の危険を感じたからか、精神は疲れ切っている。
「大丈夫? レオン」
「ああ、少し休めば大丈夫だよ」
「僕がレオンを守るんだから」
「ありがとう。いつも助かってるよ」
ティナが俺の鞄を持ってくると、パンと乾燥肉を渡してくれた。食事をしながら休んでいると、クリステルさんが魔石の回収を終えて戻ってきたので、俺達は再び下層を目指して進み続けた……。
俺達はダンジョン攻略の途中で火の微精霊の棲家を見つけた。火の魔力の塊である小さな微精霊達がパーティーを歓迎してくれた。火属性の魔石が天井に埋まっている空間には、赤い色をした見た事も無い草や、まるで猫の様な見た目をした獣人が居た。
シュルツ村には獣人は居なかったが、ダンジョンを攻略する獣人が居るとは思わなかった。クリステルさんの説明によると、この獣人はケットシーという種族の生き物なのだとか。魔物と人間の中間に位置する生物で、体内には魔石を持っていない。
灰色の毛をしたケットシーが俺に近付いてくると、モフモフした小さな手で俺の頬に触れた。猫にしか見えない少女の愛らしさに思わず嬉しさを感じると、俺は少女の頭を撫でた。
「冒険者さん。どうしてダンジョンに?」
「死霊の精霊を探しているんだよ」
「ギレーヌを? 冒険者さんも他の人と同じなんだね。どうせギレーヌを殺しに来たんでしょう?」
「いや、俺はただ会いに来ただけだよ。仲間になって貰おうと思って」
「仲間に? 殺しに来たんじゃないの?」
身長百三十センチ程のケットシーが猫目を見開いて俺を見上げると、俺は小さな猫の様な少女を抱き上げた。少女は無邪気に喜んで俺の頬を舐めると、クリステルさんが不満気な表情を浮かべて俺を見つめた。しかし、人間の顔を舐める仕草が猫にしか見えない。ケットシーとは何と愛らしい種族なのだろうか。
「どうして精霊を殺すんだい? 俺達は精霊の加護を授かっているんだ」
「本当!? 精霊魔術師なの!?」
「まだ称号はないけど、将来は精霊魔術師になるよ」
「凄い……! ギレーヌは良い子だから、きっとお兄さんになら心を開いてくれると思うよ」
「死霊の精霊に会った事があるの?」
「うん。ギレーヌはレーナの友達だよ。ギレーヌはレーナのお父さんを助けてくれたの」
可愛らしいケットシーの名前はレーナ。レーナの父は冒険者をしていたらしい。詳しく話を聞くと、レーナの父が七階層で魔物に取り囲まれた時、たまたま通りかかった死霊の精霊・ギレーヌが加勢してくれたのだとか。レーナの母は幼い頃に亡くなり、父も去年狩りの途中で命を落としたばかりなのだとか。
「レーナは許可証がないからギレーヌに会いに行けないけど、たまにギレーヌが会いに来てくれるの」
「五階層に続く階段を降りるには魔法陣を抜けなければならないんだよね」
「そうなの。だけどレーナが階段の前まで行けば、ギレーヌが迎えに来てくれるんだ。さっきもギレーヌに会ってきたけど、今日は機嫌が悪いみたい。朝から精霊狩りがギレーヌを殺しに来たんだって」
「レーナ、俺達はギレーヌをこのダンジョンから出してみせるよ」
「お兄ちゃんなら、もしかしたらギレーヌの加護を授かれるかもしれないね。レーナもギレーヌから加護を貰おうとしたけど、まだ弱すぎるって断られたよ。『精霊の加護を持つ者は私を守る力がなければならない』って言ってた」
「死霊の精霊がそんな事を……?」
「そうだよ。それから、死霊の精霊なんて言ったらだめだよ。ギレーヌはギレーヌなんだから」
レーナが可愛らしく微笑むと、俺はレーナを下ろした。俺達のやり取りを聞いてた火の微精霊がゆっくりと俺に近付いてくると、生まれたての小さな微精霊が俺の肩に乗った。ティナが微精霊を退けようとしたが、それでも火の微精霊は俺から離れなかった。
それから体内に火の微精霊の魔力が流れてくると、俺は遂に火の加護を授かった。これが微精霊の加護を授かるという事なのか……。
「おめでとう、レオン。遂に微精霊の加護を得たんだね」
「ありがとう、ティナ」
「レオン様。新たな属性を手に入れたんですね。やはりガーゴイルに認められたレオン様は火属性に適正があったんです。多くの微精霊がレオン様を受け入れています」
普段ならあまり近付いてこない微精霊達が、楽しげに俺の体にくっついているのだ。少しくすぐったいが、体内に微精霊達の心地の良い魔力を感じる。
「レーナはそろそろ帰るね」
「一人で帰れるのかい?」
「大丈夫。魔物が居ない道を知っているから」
それから俺とレーナは冒険者ギルド・レグルスで再開を誓い、俺達は下層を目指してダンジョン攻略を再開し、レーナは地上を目指して歩き始めた……。
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