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第一章
役所での事件と僕ら 前編
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市役所までの道中、僕は友人たちに何があったか話した。町での匂いや悲鳴、助けを求める声、そして両親の死。
「だいじょう…」
「同情しないで!…お願いだから、今は止めて。」
途中、自分の声で言葉を遮った。聞きたくない。単純にそう思った。どうしても、認めたくない。両親がもうどこにもいないことを、自分を理解してくれている数少ないかけがえのない存在が消失したことを。
「もうこの話しは終わり。もうすぐ着くよ。」
丁度良いタイミングで市役所が見えてきたので無理やり話しを終わらせた。それに誰も何も言わないのはとてもありがたく、理解してくれていることを再確認することができた。
(まだ…大丈夫。僕にはまだこいつらがいる。)
独りじゃないと自分に言い聞かせ、僕らは徴兵の届けを書くために受付の前に立った。
「…リク、任せた。」
「何で俺!?」
「一番年上だから。」
「いや、お前がいけよ。どうせ上に立つんだから。人としゃべるのに慣れておけよ。」
「ギルじゃたぶん相手にされない。」
「うっ…はぁ。わかったよ、やれば良いんだろ、やれば。」
シキの援護射撃をもろに受けやけくそでリクは役員の女性に話しかけた。
「あのー、俺ら軍に入りたいんですけど。書類もらっていいですか。」
「はい。大丈夫…俺ら?他にどなたが入るのですか?」
「こいつら。」リクはこちらを見ずに後ろを指した。
おかしい、何でこんな子供が…。受付の女性はそう思ったことだろう。顔に出ている。特に僕を見る目が気に入らない。僕は身体か小さい。実年齢は八歳だがだいたい五、六歳に間違えられる。本当に失礼な話しだ。実力も能力も何も知らないくせに…ホント、これだから大人は嫌なんだ。
「えっと…本当に全員入るのですか?その…その子はさすがに幼すぎる気が…。」
「こいつ?大丈夫だよ。なんせこの中で一番強いからな。」
「ですが…徴兵として認められるのは七歳からですし…それに女の子ですし。」
「…地雷踏みぬいたなあの人。」
ボソッとテンが言った瞬間僕は口を開いた。
「あの、お姉さん。僕八歳ないんだけど。男と女って関係ある?それに失礼じゃない?見た目だけで判断されるの僕一番嫌いなんだけど。」
殺気を殺してあくまで笑顔で話しかける。もちろん作り笑顔とわかるように。
「えっ、ですが、そういっても…。私の娘もそのぐらいの歳でして、親心というか…」
「お姉さんは僕の親じゃないよ。僕に親はもういないよ。だから早く書類ちょうだい。」
「ですがその…」まだ踏ん切りがつかんのか、あともう一押しかな。
「ですが、ですがうるせぇな。早くよこせ。」
言いすぎたか?
失敗したと思ったがそんなことはなく。どちらかといえば効果は抜群だったようで、
「すみません!すぐに用意いたします!……。こちらになります!」
すぐに五枚の書類が渡された。
「ありがとうお姉さん。娘さんを大切にしてあげてね。」
そう言い残して僕は踵を返した。後ろで人が倒れる音が聞こえたがもう僕には関係ないことである。
いつの間にかソファーに移動していた四人に書類を渡す。注意事項に目を通しおもしろいものがいくつかあった。
・徴兵は七歳からのものとする。
・実力に応じて戦場、所属する隊を決める。
・上の言うことには必ず従う。
・上記のことに違反した場合相応の罰を与える。
・なお、実力については月に一度試験を行う。
※試験は上の選んだ人材が行うものとする。
他にも細々としたものがあったが要約するとこんなものであった。
「試験…か。」
「楽勝だろ。」
「殺さないように気を付けろよ。」
「どうせ誰も俺らには勝てないだろ。」
「同意する。」
全くもって気楽である。少しぐらい不安がってくれたらおもしろいのだが…それは期待できそうにない。非常に残念だが、無理のない話しである。僕らに勝てるのは僕らだけなのだから。
書類を提出し試験を受けるため移動する。今の市役所には試験用のちょっとした部屋がある。そこで射撃、剣術、格闘技、この三種類の試験を受ける。
今の戦争は資源が少ないためマシンガン、ライフル、拳銃、片手剣、槍、両手剣、双剣、等が主な武器となっている。銃にも鉄弾と光弾の二種類がある。
鉄弾は昔からあるもので鉄製の銃弾を発射する。
光弾は普通の銃弾ではなく子供なら誰でも憧れていたレーザーのような銃弾である。光弾のものは数が少ないが鉄弾のものより弾速が早く鉄などは貫通してしまう。
剣や槍等がある理由は僕たちのような規格外の人間がいるからだ。詳しく言うと鉄弾を弾くことができる。誰でも一度は考えたことがないだろうか。銃弾を刀や剣で切る姿を。それを現実でしている者が現れたそうだ。
まぁほとんどのものは弾切れした場合の保険として持っているだけだが。
剣や槍も鉄刃と光刃の二種類あるが、光刃は銃とは違い開発に時間がかかるため誰でも持てるわけではないそうだ。まぁ、鉄や光弾さえも切ることができるものを片手で持てるほど軽量化するのだから致し方ない。これらの理由より三種類の試験を行うそうだ。
「最初は…射撃か。」
「誰が上手いか勝負しようぜ!」
「負けたら腕立て1000回な。」
ホントに気楽だな。まぁ気負う必要は無い。ただ腕立てはゴメンなので本気を出すがな。少しだけ僕は今から会う試験管が気の毒に思えた。
「君たちが入団希望者か。」
目の前にはいかにも実戦好きそうな筋肉モリモリの大男と神経質そうな眼鏡をかけた男がいる。
僕たちの話は来る前に聞いていたようで何も言わないが…ムカつく目を向けてくるのは変わらないようだ。なんなんだ、僕は見世物ではないんだが。
「それでは射撃試験を行う。」
そう言うと眼鏡男(ついさっきつけたあだ名)は銃を持った。本物ではなさそうだ。たぶん試験のためのものだろう。
すると音もなくスクリーンが降りてきた。
さて、一体何をするのかお手並み拝見と行こうか。
こうして僕らの簡単な試験が始まった。
「だいじょう…」
「同情しないで!…お願いだから、今は止めて。」
途中、自分の声で言葉を遮った。聞きたくない。単純にそう思った。どうしても、認めたくない。両親がもうどこにもいないことを、自分を理解してくれている数少ないかけがえのない存在が消失したことを。
「もうこの話しは終わり。もうすぐ着くよ。」
丁度良いタイミングで市役所が見えてきたので無理やり話しを終わらせた。それに誰も何も言わないのはとてもありがたく、理解してくれていることを再確認することができた。
(まだ…大丈夫。僕にはまだこいつらがいる。)
独りじゃないと自分に言い聞かせ、僕らは徴兵の届けを書くために受付の前に立った。
「…リク、任せた。」
「何で俺!?」
「一番年上だから。」
「いや、お前がいけよ。どうせ上に立つんだから。人としゃべるのに慣れておけよ。」
「ギルじゃたぶん相手にされない。」
「うっ…はぁ。わかったよ、やれば良いんだろ、やれば。」
シキの援護射撃をもろに受けやけくそでリクは役員の女性に話しかけた。
「あのー、俺ら軍に入りたいんですけど。書類もらっていいですか。」
「はい。大丈夫…俺ら?他にどなたが入るのですか?」
「こいつら。」リクはこちらを見ずに後ろを指した。
おかしい、何でこんな子供が…。受付の女性はそう思ったことだろう。顔に出ている。特に僕を見る目が気に入らない。僕は身体か小さい。実年齢は八歳だがだいたい五、六歳に間違えられる。本当に失礼な話しだ。実力も能力も何も知らないくせに…ホント、これだから大人は嫌なんだ。
「えっと…本当に全員入るのですか?その…その子はさすがに幼すぎる気が…。」
「こいつ?大丈夫だよ。なんせこの中で一番強いからな。」
「ですが…徴兵として認められるのは七歳からですし…それに女の子ですし。」
「…地雷踏みぬいたなあの人。」
ボソッとテンが言った瞬間僕は口を開いた。
「あの、お姉さん。僕八歳ないんだけど。男と女って関係ある?それに失礼じゃない?見た目だけで判断されるの僕一番嫌いなんだけど。」
殺気を殺してあくまで笑顔で話しかける。もちろん作り笑顔とわかるように。
「えっ、ですが、そういっても…。私の娘もそのぐらいの歳でして、親心というか…」
「お姉さんは僕の親じゃないよ。僕に親はもういないよ。だから早く書類ちょうだい。」
「ですがその…」まだ踏ん切りがつかんのか、あともう一押しかな。
「ですが、ですがうるせぇな。早くよこせ。」
言いすぎたか?
失敗したと思ったがそんなことはなく。どちらかといえば効果は抜群だったようで、
「すみません!すぐに用意いたします!……。こちらになります!」
すぐに五枚の書類が渡された。
「ありがとうお姉さん。娘さんを大切にしてあげてね。」
そう言い残して僕は踵を返した。後ろで人が倒れる音が聞こえたがもう僕には関係ないことである。
いつの間にかソファーに移動していた四人に書類を渡す。注意事項に目を通しおもしろいものがいくつかあった。
・徴兵は七歳からのものとする。
・実力に応じて戦場、所属する隊を決める。
・上の言うことには必ず従う。
・上記のことに違反した場合相応の罰を与える。
・なお、実力については月に一度試験を行う。
※試験は上の選んだ人材が行うものとする。
他にも細々としたものがあったが要約するとこんなものであった。
「試験…か。」
「楽勝だろ。」
「殺さないように気を付けろよ。」
「どうせ誰も俺らには勝てないだろ。」
「同意する。」
全くもって気楽である。少しぐらい不安がってくれたらおもしろいのだが…それは期待できそうにない。非常に残念だが、無理のない話しである。僕らに勝てるのは僕らだけなのだから。
書類を提出し試験を受けるため移動する。今の市役所には試験用のちょっとした部屋がある。そこで射撃、剣術、格闘技、この三種類の試験を受ける。
今の戦争は資源が少ないためマシンガン、ライフル、拳銃、片手剣、槍、両手剣、双剣、等が主な武器となっている。銃にも鉄弾と光弾の二種類がある。
鉄弾は昔からあるもので鉄製の銃弾を発射する。
光弾は普通の銃弾ではなく子供なら誰でも憧れていたレーザーのような銃弾である。光弾のものは数が少ないが鉄弾のものより弾速が早く鉄などは貫通してしまう。
剣や槍等がある理由は僕たちのような規格外の人間がいるからだ。詳しく言うと鉄弾を弾くことができる。誰でも一度は考えたことがないだろうか。銃弾を刀や剣で切る姿を。それを現実でしている者が現れたそうだ。
まぁほとんどのものは弾切れした場合の保険として持っているだけだが。
剣や槍も鉄刃と光刃の二種類あるが、光刃は銃とは違い開発に時間がかかるため誰でも持てるわけではないそうだ。まぁ、鉄や光弾さえも切ることができるものを片手で持てるほど軽量化するのだから致し方ない。これらの理由より三種類の試験を行うそうだ。
「最初は…射撃か。」
「誰が上手いか勝負しようぜ!」
「負けたら腕立て1000回な。」
ホントに気楽だな。まぁ気負う必要は無い。ただ腕立てはゴメンなので本気を出すがな。少しだけ僕は今から会う試験管が気の毒に思えた。
「君たちが入団希望者か。」
目の前にはいかにも実戦好きそうな筋肉モリモリの大男と神経質そうな眼鏡をかけた男がいる。
僕たちの話は来る前に聞いていたようで何も言わないが…ムカつく目を向けてくるのは変わらないようだ。なんなんだ、僕は見世物ではないんだが。
「それでは射撃試験を行う。」
そう言うと眼鏡男(ついさっきつけたあだ名)は銃を持った。本物ではなさそうだ。たぶん試験のためのものだろう。
すると音もなくスクリーンが降りてきた。
さて、一体何をするのかお手並み拝見と行こうか。
こうして僕らの簡単な試験が始まった。
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