偽調教師と狼王子

ミ度

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第一章

1-4.調教開始※

 作戦上、マリエッタを騙し続けることは不可能だ。ヴィルフレートと契約を結んで状況も複雑化している。ハルキは思いきってマリエッタを応接間に呼び出し、彼女に事情を説明することにした。
 すべてを打ち明けられたマリエッタは、無感情だった顔に驚きの色を浮かべた。

「いつから入れ替わっていたのですか」
「け、今朝からです……」
「……たしかに、あのときの旦那さまはワタシの姿を見てビビり散らしていたので違和感はありました。ですが、すぐに普段の旦那さまになられたので、ワタシの気のせいだと思っていました」

 横長の瞳孔がハルキを見つめる。身体の内側まですみずみと覗かれているような居心地の悪さを感じたが、ハルキは我慢した。

「……不思議です。本当にまったく同じ魂です」
「いろいろ身の回りのことをしてくれたのに、騙しててすみません。あなたはクロ・エジェの従魔だから、本当のことを知ったら怒ると思って……」
「それは貴方の演技に騙されたワタシの責任なのでお気になさらず。それと敬語は不要です。魔族の契約は魂同士で結ぶもの。貴方がクロ・エジェ様と同じ魂である以上、貴方もワタシの旦那さまですので」

 マリエッタの主張を聞き終えたハルキはほっと胸を撫で下ろした。人間にはいまいちピンと来ない価値観だが、彼女と衝突せずに済むならそれでいい。

「もうひとつ質問よろしいでしょうか。仮に、ワタシがクロ・エジェ様個人への忠誠心から貴方へ襲いかかったとしても、貴方なら返り討ちにできたはず。……それでもワタシに黙っていた理由は何なのでしょうか」
「それは……怪我をさせたくなかったから……」

 ハルキが正直に答えると、マリエッタは虚を衝かれたような顔をしてから、

「……左様ですか」

 と、淡く微笑んだ。


※※※


 シルヴィアたちが屋敷を出て行った後、ハルキはひとり屋敷に残ったヴィルフレートを別室に案内した。落ち着いた臙脂色を基調とした部屋。クロ・エジェの調教ルームだ。ベッドの向かい側の壁には大きな鏡が飾られていた。

「コレにはとある術式を組み込んでいてね。キミの可愛い痴態を記録してくれるんだ。後から観たい場面を、この鏡はもちろん、別の鏡にも映し出すこともできる」

 調教師は曇り一つない鏡をコンコンと軽く叩いてみせた。

「それじゃあ、服を脱いで。ヴィル」

 椅子に腰かけた調教師は笑顔のまま宣った。
 今のヴィルフレートは、大切な妹を人質にされてクロ・エジェの言いなりとなっている──と、そういう筋書きだ。

「……」

 ヴィルフレートは黙ったまま自分の服に手をかけた。
 調教師は彼を観察した。
 見れば見るほど、ヴィルフレートは絶世の美丈夫だ。
 腰まで届く豊かな白銀の髪。狼の耳、狼の尾。切れ長の目には、妹と同じ紺碧の瞳。鍛え抜かれた肉体には無数の傷跡があった。傷は古いものから、比較的新しいものもある。最前線で戦ってきた戦士の証だ。高貴な身でありながら自らも血を流し戦う彼の姿は、同胞に勇気を与えただろう。
 ──敬意を払うべき傷である。他者が……ましてや調教師がどうにかしていいものではない。だが、クロ・エジェならきっとそうする。

「素晴らしい身体だね。だけど、美しい裸体でご主人様の目を楽しませる性奴隷に、戦士の誉れは必要ない」

 クロ・エジェを演じきらなくては、ヴィルフレートの身が危うくなる。
 調教師は裸のヴィルフレートを自分のもとへ招き寄せると、その身体に指を這わせた。彼の身体に刻まれた傷の数々が少しずつ薄れ……最後には綺麗さっぱり消えていた。この世界に来て以来ハルキははじめて「魔法」を使ったわけだが、場違いな小さな感動を味わっている余裕はない。

「緊張してるね、ヴィル。何もかもはじめてで不安なんだろ? でも大丈夫。ボクと一緒に、気持ちいいことをたくさん憶えていこう」

 ベッドに誘導し、唇を重ねる。きつく引き結ばれた唇を啄みながら、上質な筋肉の乗った身体を愛撫する。セックス未経験者のハルキは、クロ・エジェの記憶を頼りに行為を続ける。不思議な感覚だった。どこをどのように触れば、調教対象が快感を得られるか、手に取るようにわかる。

「ん……っ」

 ヴィルフレートが小さく、小さく声を漏らした。彼がようやく見せた僅かな隙を、調教師は見逃さなかった。緩んだ口の中に、ぬるりと舌を侵入させる。逃げをうつ舌を捕まえ、自分の舌とねっとり絡ませる。舌を吸うのに合わせて、慎ましい胸の飾りを指の腹で摘んで転がすと、ヴィルフレートが身じろいだ。

「はっ……ぁ……」

 吐き出す息に甘さが混じる。
 唇をゆっくり離す。
 ヴィルフレートの胸の飾りはツンと尖り、性器もゆるやかに勃ちあがっていた。

「ヴィルはすごく敏感なんだね。素晴らしいことだ。これなら普通のひとの何倍も気持ちよくなれるよ」

 甘勃ちする性器に指を這わせながら、調教師は狼耳に囁きかける。

「ヴィルのコレは大きくて立派だけど、キミは皇帝陛下のお妃様になるんだ。だから……ボクが仕込むのは、こっちの方だ」

 指先が双丘の間にある窄まりを撫でた。ヴィルフレートの腰が微かに跳ねる。

「あとで皇帝陛下にもご覧になっていただこう。今しか見られないものだからね」

 調教師はヴィルフレートを四つん這いにさせると、双丘を左右に広げた。淡く色づいた秘所が、魔法の鏡に大きく映し出された。うぶな秘所は、ひくん…ひくん…と、これから行われる陵辱に怯えるように蠢いている。

「偉大なる皇帝陛下、これがヴィルフレート様の純潔の穴でございます。これからこの高貴な穴を、陛下に相応しい雌穴に仕込んで参ります」

 ヴィルフレートの身体が羞恥と怒りで震えていた。
 ハルキも止められるならすぐにでもやめたかった。ヴィルフレートは英雄だ。ファウナピアの民の生きる希望だ。間違ってもこんな辱めを受けていい人ではない。
 ……だけど、ここでやめることはできない。
 手に魔力を込める。ヌルヌルした粘性の液体が指先にまとわりつく。

「さあ、ヴィル……力を抜いて」

 透明な粘液をヴィルフレートの蕾へ丁寧に塗りたくってから、指で蕾を抉じ開けた。指を動かし隘路を解し、指を増やして隘路を拡げる。ヴィルフレートは声を殺しているが、快感を得てはいるはずだ。この粘液には催淫効果がある。

「いい子だ。上手に力が抜けて偉いね。ヴィルがいい子だから、指も三本入ったよ」

 くちょくちょと粘つく水音を立てながら、三本の指がヴィルフレートの中を掻き回す。白銀の尻尾がゆらゆら揺れだしていた。ストレスからか、性的興奮からか……おそらく両方からだろう。

「……っ、ん、ぅ……ッ!」
「今からイカせてあげる。イクときの感覚、しっかり憶えようね」
「ぅ、あっ……う゛っ…!? …んくぅ……!」

 中で見つけたしこり――前立腺を刺激する。ヴィルフレートの腰が波打った。中がうねり痙攣し、肛輪がぎゅっと窄まって指を甘く食いしめる。

「ふふふ、ちゃんとイケたね。いい子なヴィルには、ご褒美をあげよう」

 ハルキは意識を下腹部に集中させて、自分の性器を完全に勃起させた。そうする前からすでに性器がゆるく反応を示していたことについては、今は考えないようにした。
 粘液で濡れ光る肛輪に、雄肉の先端を押しつける。

「ぐっ……」

 ヴィルフレートは侵入の圧迫感を、シーツを握りしめることでやり過ごそうとしていた。

「ダメだよ、ヴィル。ほら、力を抜いて」

 ペニスによる侵略行為に、彼の内部は強張っている。調教師は穏やかな声で相手をなだめつつ、ゆっくりと腰を前後させて男根の形を馴染ませる。

(ああ、すごい……ッ)

 ヴィルフレートの中はじんわり熱く、ハルキの雄肉をぎゅうぎゅうと締めつけてくる。気を張っていないと長く持ちそうにない。調教対象より先に達することなどあってはならない。これはセックスではなく、調教なのだ。無垢な後孔に、男の味を教え込むための行為。

「っふ! ……うぅっ……! くっ……ンうぅッ!」

 奥を小突くたびにヴィルフレートが甘くうめく。予想していたよりもずっと控え目なよがり方だ。粘膜に塗り込んだ催淫剤の量を考えれば、もっと乱れてもおかしくないはず。凄まじい精神力だが、媚毒に侵された肉体の方は、凌辱による屈辱的な絶頂を迎えようとしていた。

「んぐっ…!? ふ……ン゛ンぅうぅ……っ!」
「……っ!」
 
 ハルキは下腹に力をこめて射精を耐えた。
 ヴィルフレートの性器からとぷとぷと白濁が止め処なく溢れ出てくる。狼獣人の射精は長い。狼の半獣人である彼もまた、普通の人間より長い時間をかけて射精するようだ。
 震える白尻を労わるように撫でながら、彼が絶頂の波から戻ってくるのを待つ。そうして波の引き際に、ピストンを再開した。相手の快楽を引き出させる動き方から、自身の快楽のみに集中する動き方へと変えて。

「っ……!? ぐっぅ……やめっ、ろ……ッ」

 ヴィルフレートがはじめて拒絶の声をあげた。

「まさかキミがイッておしまいだと思ったのかい? ご主人様を気持ちよく射精させるのが性奴隷の務めだろう」

 激しい抜き差しでヴィルフレートを追い詰める。技巧度外視の自分勝手な動きでも、彼の肉体は快楽を得ているようだった。

「乱暴に扱われても気持ちよくなれるなんて、ヴィルは素晴らしい性奴隷になれる。いいや、ヴィルフレートは性奴隷になるために生まれてきたんだ」
「ちが……くぅッ、ん……ッ!」

 調教師の有無を言わさぬ突き上げが、ヴィルフレートの否定を押し潰した。

「違わない。このままキミは絶頂を迎えるんだ」
「ぐッぅ…っ、ゥうう゛ぅっ……!」

 ヴィルフレートは残酷な予言通りに達した。
 彼が果てた後も、調教師は休まず腰を前後させた。ぱんっぱんっぱんっと、調教師の下腹が王子の白尻を叩く。ヴィルフレートはもはや四つん這いの姿勢を維持できていない。上体はベッドへ沈み、腰だけ浮かせた状態で調教師に犯されている。銀髪を振り乱し、苦悶と官能の入り混じったうめき声をあげる。
 彼の乱れる姿を見て、ゾクゾクとした昏い快感がハルキの背筋を走り抜けた。

「……っ、ああ、そろそろ出すよ」

 ヴィルフレートの中に精を注いだ。信じられないくらい気持ちのいい射精だった。
 ──だが、これで調教は終わりではない。
 調教師はヴィルフレートの身体を仰向けにする。
 調教師のペニスはすぐにはち切れんばかりの硬度を取り戻し、再び気高い王子の中へ侵攻する。ただし、その腰遣いは先ほどの荒々しいものではなく、想い合った恋人同士がするような穏やかな抽挿だった。
 そうして、調教師は様々な体位と様々な腰遣いで、ヴィルフレートの後孔に雄肉の感触を刻みつけた……。


 その日の調教が終わったのは、空が白み始めた頃だった。
 調教師は汗でしっとり濡れたプラチナブロンドをかき上げると、ヴィルフレートの中からゆっくりと雄肉を引きずり出した。

「期待以上だったよ、ヴィル。明日も気持ちよくなろうね」

 ヴィルフレートから返事はない。絶頂の余韻に浸る熱く湿った息遣いだけが部屋を満たしていた。調教師は気にすることなく、彼の双丘を左右に開いて、陵辱後の後孔を鏡の前に映し出す。忙しなく開け締めを繰り返す後孔は、やがて中に出された精液をゴポッと音を立てながら吐き出した。

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