ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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5.親愛なるあなたへ?

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「結局、総長の遺体上がらないらしい…しかもバイクも見つかってねぇ…」
「何処までいっても、あの人らしい死に方っすね!」

花束を河川敷に供えて手を合わせ泣く俺の横で、ケラケラ笑いながら答える軽い男。

「健太は、悲しくないのかよ!!お前一応副総長だろうが!!」
「一応ってとこ突っ込んでもいいっすか?」

「…………俺、マジお前嫌いかも」
「奇遇っすね。俺も三上さんのこと嫌いっす」
「……殴っていいか」
「聞いて殴るんすか?俺、もちろん断りますよ?」

「・・・。」
「俺だって悲しいっすよ…」
「け、健太ー!お前強がってたんだな。ぐすっ、此処には俺だけだ。正直に吐露しろ!さぁ心のままに思いをゲロしろ!!」
「俺、3000円貰い損ねたっすよ!悲しいっす!!」

「・・・。」
「何すか?俺、正直な気持ちゲロしたっすよ?」


 三上がユラリと健太に近づきおもむろに羽交い絞めをし耳元で囁く。

「昔、主人が死ぬと召使や従者も一緒に殉死したらしい…」
「って、何故に羽交い絞めして河に進むんすか!俺、死ぬの嫌っすからね!しかもそれいつの世の話しっすか!!」
「お前、何でそんなにケロッとしてんだよ!!一番、可愛がって貰ってたくせに!!」

その言葉にすぐ反論の言葉を吐きだした健太。

「冗談でプロレス技かけられて肋骨折られたり、根性だとか言って一緒に立ち入り禁止の崖を登らされてファイト一発的な事をさせられた俺に言います?」
「………やっぱ、恨んでたのか?」
「その可哀想な子を見る目、止めてもらえます?恨んでないっすよ。やった後のフォローが…可愛いというか何ていうか…恨めないというか…モゴモゴモゴ」

「やっぱ、お前殉死しろ」
「何でそうなるんすか!」

慌てて俺から遠のく健太。
実際あの総長は加減を知らない。というか、クルミを素手で割れるぐらいの握力を持っており、超人的な人間だと誰もが口を揃えて言う。あの人が加減して殴っても、それを受けた人間は真剣に受け身をとらないと病院送りだ…。

それでもあの総長の人柄は皆を和ませ、居心地のいいものにした。惚れていたかと聞かれれば、健太にしても、俺にしても微妙な所だった。健太は俺と総長の1個下の16才。本来俺が副総長と思っていた所にこいつが転がり込んで、副総長の座を横取りしやがった。飄々とした喋り口調で喧嘩も弱そうなくせに、攻撃が全然当たらないし、効かない。さっき羽交い絞めしたのだって、実際こいつにとったらいとも簡単に抜け出せたはず。

だが、唯一総長にだけはお手上げらしい。その総長も俺等にはじゃれた攻撃をしても、こいつには加減なしでやってる節がある。だからか余計にこいつは総長のお気に入りになった。何処に行くにも連れて行ったし、お互い言いたい放題の仲になった。そこに年上年下というの序列の尊敬は無く、同学年の親友のような関係に見えた。

だ・か・ら・だ!
何故、健太はその総長が死んだというのに、平然といられるのかが不思議でならない。
紅蓮の仲間が供えただろう花束の山を見ながら、横に立つ健太をじっと見た。その視線に気が付いた健太が俺に呟いた。


「……実際、遺体が上がってないって事は、何処かで生きてますって…。殺してもあの人絶対死にませんから…。あの人じゃないですからね」


やけに真面目口調で言った言葉に引っかかりを覚えたが、こいつの気持ちも見えた気がした。


 
     


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