ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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41.健太vsマルクス

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「俺、健太ッス!」


ベルナールに剣先を突きつけられ、そう名乗った少年。
その変てこな名前に引っかかりを覚える。モンキー娘と歳は同じくらいか・・・。
俺と同じように引っかかりがあるのか、ベルナールの後ろにいたラムス将軍も唸りだした。
何やらブツブツ言ってるのが聞こえる。

「ムムムム…。どこかで聞いたような…う~む…ム、ム、思い出せぬ…」

そんなラムス将軍を見てたら、ガタンと音がした。
音が鳴った方を見る。
ベルナールが、少年の背中を押し斬首するような格好にしていた。その行為に、吃驚する少年。
それを見て、今だ考え込むラムス将軍以外が慌てて止めに入る。ベルナールが少年を掴んで離さない為、少年共々押さえ込む形になった。抑え込まれた少年が何か言ったが、口ごもって何を言ったか分からない。そんな様子も目に入っていないラムス将軍は今だ考え中のようだった・・・。
何とか下敷きになってる少年をベルナールから引き離そうと空間を開けた時、少年が声をあげた。


「俺、日本から来たっすー!!あぁ・・、やっと言えた・・・」


それと同時に「あっ!」と声をあげたラムス将軍。
その途端、少年以外の俺等はダンゴ状になって壁に激突した。

べ「つっ・・・」
ク「うぅぅ・・・」
ギ「大、丈夫・・で・・すか、クロード・・様・・くっ」
マ「いってぇ・・・」
デ「あまりの勢いに、首がもげるかと思ったぜ・・・」


一番被害が少なかったゲル様が、怒り心頭ですぐ叫んだ。

「き、貴様ー!何をするっ!!」

その声も無視して、斬首されかかった少年に手を貸し、立たせるラムス将軍。
そして、その少年を後ろに庇いながら改めて俺等に説明する。

「この少年、トーカ殿の世界の者です。しかもトーカ殿の乳も見た間柄!もう一度申すが、この少年は迷い人ですぞ!!」
「・・・。」

ダンゴのように固まって唸っていた人間が、その言葉を聞いて一瞬固まった。
どのくらい静寂が続いたか、誰かの息を飲む音が聞こえた時その均衡が破れた。

モンキー娘を番認定していない者と、番認定してる者の行動がここで別れた。
はっきり言おう。ラムス将軍の2回もいった大事な事は皆聞いていなかったと…。
皆が"トーカ殿の乳"と言う個所に反応したのだ。

「ご無礼をお許しを!!」

そう言ってギルスさんは、クロード皇太子に馬乗りになって押さえつけた。
俺はと言うと、勿論ベルナールだ。
こいつの上に乗っても、ギルスさんのように押さえ込む自信が全くない。と言うことで、剣を取り上げるだけにした。後は、ラムス将軍が何とかするだろう。

案の定ベルナールが素手で少年を殺しに行くのが見えた。2m以上の筋肉マッチョなおっさんが、少年を守るためベルナールを片手で持ち上げブラブラさせていた。

そして、そのおっさんにもう1人挑むのが見えた。ゲル様だ・・・。あんた腕力ないだろうて。
案の定、返り討ちにあっていた・・・。

俺が傍観した場所で、それを見てたら少年と目が合う。
俺を探る目。おやっと思って目を見開くと、慌てたように表情を変えた。
こいつ何か隠してるなと感が働く。皆を落ち着かす為、ゲル様の机にあった花瓶を下に打ち付ける。
その途端、皆の視線がこっちに向いた。向いたところで、言葉を出す。

「今は、1分1秒でも惜しいんだ!やっと全員揃ったんだ、一つずつ片づけるぞ!!」

一番揉めていたベルナールが俺の言葉で大人しくなった。
改めて少年に向き直り聞く。

「まずお前、トーカを知っているんだな?」
「知らないっすよ」

即行で答えたそれに、全員がえっ!と言う顔でラムス将軍を見た。ラムス将軍はそれ以上のええっー!て顔をしている。おい、おい・・・心の中で突っ込みを入れていたら、ふと思い出した。ん?そういやあいつの本当の名は違ったな。何だっけ。言いにくい名だったよな・・。そう思ってもう一度少年に聞く。

「名前が言いにくいから、トーカになった女がいる。お前と同じくらいの歳で…」
「バカで単細胞な人っすか?それでもって、口上は、"喧嘩上等!"。それから…」
「もういい、…見た目の説明をされる以上にピタリとはまり過ぎてて、あいつしか思い浮かばねぇわ…。因みに、そいつの名前言えるか?」
「神崎桃花さんっス!」


ビンゴだ!じゃ、やっぱこいつも迷い人か?同時期に召喚されるってどういう事だ…。
こいつに、もうちょっと聞く必要があるな。あのモーガンの情報が情報だけに裏付けが必要だ。

「お前、トーカ・・その知り合いとどんな関係だ?」
「総長と副総長の関係っす!」
「総長?副総長?」
「親分子分みたいなもんっす。因みに、親分は桃花さんっす」
「・・・。」

そういや、300人の族がどうたらこうたら言ってたな・・・。

「姉弟じゃないのか?」
「真っ赤な他人っすね」
「そうか、あと1つだけ・・・・」

そう言って確信を聞く。


「あいつの親父のことを知っているか?」
「!」


あっ、やっぱりこいつ何か知ってるな。何も知らないなら、さっきみたいにすぐ答えたはずだ。

さて、どう答える?嘘をつくか・・・じっとこいつの目を見る。
少し考えて漸く俺の問いに答える少年。

「桃花さんが生まれる前に死んだって聞いたっす」

お前アウトだわ、それ。
その答えなら、間髪入れずに答えろよ。


「そうか…じゃ、もう一度聞くぞ。お前は誰だ…いや、お前の国は何処だと聞いた方がいいか?今度、嘘つくと殺すぞ!」


徹夜で走って来てこっちは機嫌が悪いんだ!いつも以上に殺気立つ俺。
少年は自分の何が失敗したかを考えてる様子だった。
周りの連中は俺とこいつのやり取りを黙って見てる。こういう尋問は、俺の十八番だからな。

「俺、健太ッス。・・・・・向うではね」

そう言って、へにゃりと笑った。

「やっぱり、こっちの人間か」
「そうっすよ。因みに国はローレリアっす」

その答えで、ゲル様以外が剣の鞘に手を置いた。

「わっ!俺、地雷踏んだんすか?!今のローレリアって悪代官なみっすか!?」

慌てる少年を見ながら鞘から手を離すようベルナール達に、手を挙げ指示をだす。
モーガンの情報が確かなら、今ローレリアは2分している。モンキー娘の敵側と味方側・・・。今回モンキー娘やモーガンを襲ったのは勿論敵の方だ。ストレートに聞いてみるか・・。

「お前・・、あいつの敵、味方のどっちだ?!俺等はあいつの味方だ」
「俺も味方っす。それも3年越しの!」

そう即行答えたこいつに、何故か疑えない俺。
逆にゲル様は違っていたようで、俺等の会話に入ってきた。

「信用できぬ!」
「ほんじゃ、桃花さんに会わせてください。それか、聞いてもらってもいいっす!」

本人が居なくなったと言うことは、まだ知られてねぇはずだ。それで、本人に聞けって大きく言えるって事は、味方な可能性はある。まだ信用性はないがな…。もう少し何かこいつを信用できるものを探す。

「お前、向うから何か持って来ていないか?トーカの場合バイクってのを向うの世界から持ってきたんだが・・」
「あっ、その手があった!」

そう言ってゴソゴソと麻袋を漁りだした。その行動にピリピリするベルナール達。確かに変な物を出されたら、やばいわな…。だが、俺はこいつを疑っていないから、安心して見る。

「あった!」

そう言って2つの物を出した。1つは本、そしてもう1つは小さい板のような物を出した。本を俺に渡し、ラムス将軍に向かって小さい板を向けた。板を覗くと光っており、皆が魔術の何かと思いまた剣の鞘に手を置く。次の瞬間、カシャッと音が鳴り、その板を俺に見せる少年。

「何だこれは!」

その衝撃過ぎるものを見て思わず声が出た。
2m以上のおっさんが、その小さな板の中に入って居た。というより、本人は目の前に居るから、瓜二つの小さいおっさんがそこに居た・・・。

「あははは・・。俺も初めて見た時同じ反応したっすよ。これ、姿をそのまま写す写真っす。で、さっき渡したものに、それが一杯載ってるんで開けて見てもらっていいっすか」

驚きの口のまま言われた通り、本を開けて見た。後ろでは、さっきの小さい板に写ってる小さいおっさんを食い入るように見る面子。俺は本を見た瞬間、後ろの奴等がこれを見たらもっと食い付くだろうなと思った。

誰かに似た赤ちゃんのしゃしんがあった。
ページを捲ると段々と大きくなっていく・・モンキー娘。思わず顔が綻ぶ。どのしゃしんもあいつは笑っていた。最後の方で、沢山の野郎に囲まれたモンキー娘。その横には、必ず目の前のこいつがいる・・・。敵じゃねぇなと確信した。

その本を後ろでまだ五月蠅くしている面子に見せる。
その途端、にやけながらそれを見る男ども。エロ雑誌を数人で見てるような図に、もうその本が敵か味方かを判断する材料になっていないなと思った。嬉しそうに見ているゲル様に声を掛ける。

「お楽しみ中悪いんですがね、そろそろいいですか?」
「///うむ・・・、敵ではなさそうだと判断したぞっ!」

少し自分の行動に恥ずかしさを覚えたのか、喋りが変だった。
さて、こいつが味方と分かった時点で、本題に入るか・・。
多分こいつも今の現状を聞きたいだろうし・・・。



「本題に入る。その前に1つ確認するぞ。これを聞いたら後戻りできねぇ。それでもいいか?!」



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