ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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69.また逢う日まで・・・

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『ほんま、ありがとうな。皆…』



一連の怪我人の手当てが終って、俺等を向うの世界に返すと言ってきた桃花。

「やっぱ、一緒に戻らねぇんだな…」
『・・・』


俺の言葉で後ろを振り返り、銀髪達を見る桃花。

『三上達のいる世界も私の居場所やけど、親父がいるこっちの世界も私の居場所やねん…』

俺達以上にかって聞きたかったけど、意地悪な質問のように思えて飲み込んだ。

「また、何か困ったことがあったら、俺達を呼べよ!すぐ駆けつけてやる」

そう言って溢れだしそうな涙を見られないよう、桃花を抱き寄せた。もう会えないのだと思い、思いっきり桃花を抱きしめる。大好きな匂い。大好きな温もりにどんどん涙が出て来た。
銀髪も含め、皆がじっとそれを黙って見てた。
今だ順応魔術で言葉が通じる為、銀髪達に向かって言葉を出す。


「俺達の総長を今度は貴方達が、こちらの世界で守って…そして家族のように温めてもらえますか?!」

「「「勿論だ」」」


その言葉に安心し、また涙を流した。
今度は健太に向き直る。

「ぐすっ…おい、健太。お前も桃花の事頼むぞ。それと、元気でやれよ。お前要領がいいから、そこんとこは大丈夫と思うがなっ!」
「任せるっす。三上さん達もお元気で。それと紅蓮の皆、どんくさい三上さんを見捨てないで支えてやって欲しいっす!!」
「・・・」



紅蓮のメンバーがそれぞれ、桃花や健太に別れの挨拶をした後、全員を整列させる。


「紅蓮12代目総長神崎桃花さん、ご苦労様でした!!紅蓮副総長山田健太さん、ご苦労様でした!!そしてお二方、本当にありがとうございましたっ!!」


俺の言葉と同時に、桃花と健太に全員が一礼する。
引退式もせずの幹部交代をした為、ここでけじめをつけた。


俺等の別れの挨拶で、もう桃花は号泣だ。
ぐちゃぐちゃな顔の桃花に、俺がやってくれという合図を送る。
空に向かって、泣きながら桃花が叫ぶ。


『うぅ…、大好きな紅蓮の皆が、どうか幸せに向うの世界で暮らせますようにーー!!』


その途端、空に大きな光の輪ができ俺達を包んだ。
薄れゆく景色の中、健太が俺の名を呼び何かを投げる。投げられたものを受け取ったと同時に何かを言った健太。

聞こえたような聞こえなかったような・・・。ただ、最初の言葉だけは聞こえた気がする。



"また逢いましょう・・・そして・・・"





光の輪が無くなった後、桃花さんの泣き声だけが響く。

俺は、わんわん泣いてる桃花さんの横で、俺が言った最後の言葉が三上さんに届いたか気になった。


"また逢いましょう。そして、今度こそ紅蓮は家族と呼びたいっす。三上さん"


三上さん達が居なくなった地面を見ながら、俺もぽとりと涙が零れた。


***


河川敷で、皆がぼーっとしてた。幸せな夢を皆が見てた気がする。
横の久保田に頬を抓ってもらう。


「いでででででで・・・」


痛かった・・・。
そして、久保田に夢の話をする。

「俺、桃花と健太に会った。喧嘩上等って言いながら、あっちでも暴れてた・・・。それから桃花、幸せそうに笑ってた・・・」
「偶然ですね。俺も同じ夢を見ましたよ・・・。ってか、夢じゃないっすよ!!俺のバイク無くなってますもん。俺、返してもらってないっすよ~!!!」


涙ぐむ久保田を他所に、俺は自分の手の中の物を見た。


「やっぱ、夢じゃねぇよな・・・」


健太のスマホ・・・。
待ち受け画面にいつ撮ったんだろうか、俺と桃花に健太がお城をバックに写っていた。


あいつのこういうところが・・・・・腹が立つ。
腹が立って、涙が出た。押さえようのない、気持ちが零れでる・・・。



健太の最後の言葉は、なんだったんだろう─────

際際でしか本心を見せないあいつらしい告白なんだろうなと思って、自分で勝手に想像する。

俺だったら・・・あの時、否定した|家族(なかま)という言葉がいいなとそう思った。
こんなふうに・・・



"また逢いましょう。そして、今度こそ紅蓮は家族と呼びたいっす。三上さん"
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