ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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90.作戦名は、トンビに油揚げを攫われろ!前編

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「ポポ殿だけ来られなかったのですね」


ギルスさんがお昼休憩の時に、私に聞いて来た。

そうなのだ、此処にポポだけが来ていない。
その理由は、張り紙1枚残して何処かに行ってしまったからだ。


"店主都合により、暫くの間休業致します"


私等に何も言わずに居なくなった事に違和感があったが、連絡の取りようもない。仕方なく玄関の扉下に手紙を指し込んで来た。あの手紙を読んだら、すぐ連絡は来ると思うのだが・・。念のため、フレドリックさん達に、一日の何度かは様子を見に行ってもらうよう頼んでおいた。それをギルスさんに言うと

「そうですか・・、それは心配ですね」
「ポポ殿は、背伸びをしたところがあり申す。12歳の子供らしく我等大人に相談して欲しいでござる。フレドリックに、もう少し詳しく聞き込みをするよう頼んでおる故、そちらからも連絡は来るはずなのですが・・」
「心配し過ぎだと思うが・・・。窓から覗いた限り、争った形跡もなかったし、薬草でも取りに行ったんじゃねぇのか?あの狂暴なロバも居なかったし」

ガントの言う通り家屋裏に繋がれているバロンも確かに居なかった。バロンを連れて行くということは、ガントの言う通り薬草摘みなのかもしれない・・・。週末までに帰らない様なら、ゲル様が捜索の人手を出すと言ってくれた。

『・・・』

今日がその週末であるのだが・・。
そんなポポの事を思いながら、昼食に出されたポテトをフォークで転がしていると、ぶっさいくな声が聞こえた。慌てて天幕の外に出てみれば、心配していたポポとバロンが居た。

『ポポーー!』

そう叫んでポポに駆け寄る。

『心配しててんで、何処行ってたんや!』
「ルビナス様に拉致られたんですよ・・・」

だいぶお疲れのようで、機嫌がごっつう悪いポポ。しかも、なんや雰囲気が変わったような・・・・?

『取り敢えず、天幕の中に入れ。それとご飯は食べたか?』
「ここ一週間ろくなもの食べてません!」
『わ、分かった・・・、ギルスさん、悪いねんけどポポの分持って来てくれるか』
「今すぐ用意させます」


ポポはよっぽど腹が減っていたのか、無心で食べまくっていた。皆がそれを囲むように見る。
昼から、作業開始であるが皆がポポの拉致理由を知りたいがため席を立たない。
堪能したのか、ふぅーと大きな息を吐いてナプキンで口を拭いたポポ。

「で、何があったんだポポ?」

ここは、聞き上手なマルクスに任せる。

「その前に、お茶が欲しいんですけど」
「お・・おう」

威圧的なポポは健在で、年上のマルクスが慌てて側にあったお茶を入れる。
出して貰ったお茶に口をつけて漸く説明が始まった。


突然エロじじいがやって来て、今すぐローレリアに行くぞと言って有無言わさず連れ去られたんだとか。残して行った店やバロンをどうするんだと文句を言うと、店は勝手に張り紙を張られ、バロンも同じくローレリアに来ていたという。

「拉致られた理由は何だったんだ?」
「・・・修行ですよ」
「魔術のか?」
「・・・・・そんなところです」
「ポポさんさっきから、そのは何すか?」
「・・・口の中が乾いて、喋りにくいんですよ」

そう言って、お茶を一口飲むポポ。
そんなポポをじっと見る健太。みのもんたばりなジト目から逃げるようにそっぽを向くポポ。
そして、健太が爆弾を投下する。

「ポポさん、男になりました?なんか色気が出てんすけど・・・」

そこに居た全員が目が点になった。それも一瞬のことで、ガントがすぐに飛びついた。

「ポポ、精通迎えたのか!!」
「あなた達2人、殺していいですか。他の人も下ネタを言うようなら殺しますからね」

そう言われたら、聞きようがない。だが、健太は諦めず切り口を変えた。
全員が健太をチャレンジャーだと思った。そしてこういう事に関しては、すごいヤツだと感心する。

「ポポさん、魔術の修行内容はどんなやつっすか?」
「…」
「言えないような術っすか?何かワクワクするっす。なんででしょう~ね~」
「…逆に僕があなた達に質問したい事があるんですが。あなた達、1週間前にルビナス様に何かしませんでしたか?」
「ん、1週間前って確か嬢ちゃんが屋敷にきて俺達に告白した日だな」

はい、今度は赤毛が爆弾投下しました~。すぐにガントが私に飛びついた。

「トーカ親分!どういうことだっ?!!」

クロード達は先に出したかった質問を言われ、仕方なく黙ってその答えを待つ。グランは薄々気づいていたのか苦笑いだ。

『///7人を好きと認めただけや』
「///トーカ!」

感極まって、ぎゅっと私を抱きしめるクロード。傍にいたゲル様が慌ててそれを引き剥がした。睨み合う2人とは逆にババチビリはチラチラこっちを見てた。微妙な立ち位置のババも仕方なく、一応お前も入ってるでと目で合図をしたら、ウルウルしてた。そこまでへこんでたんかと少し心が痛んだ・・・(健太の鋭い一刺しを知らないトーカであった)
結局ポポが何の修行をしてたのかがウヤムヤになったまま、皆が私の番認定で盛り上がる。そして誰も一番最初の質問が何だったのか忘れてしまったまま、その日の現場作業が終わった。

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