ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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99.トンビに油揚げを持っていかれる。

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トーカがローレリアに戻った日──────。野郎ばかりになった開拓地では……



「なぁ、ポポ。街に行って女を何人モノにできるか賭けしねぇか?」
「ジル殿っ!」

僕がそういう修行をしたとばれた途端、ずっと下ネタで絡んでくる赤毛。
その度に、常識人のグランさんが赤毛を諌めてくれる。最初は、修行で何人女を抱いたんだとか、最初上手くやれたのかなど、僕の1週間の修行内容を聞くばかりだったのに、今はもうテクの実戦を見たいらしい。だから、嫌だったんだこの人と同室は…。こういう事の食い付きは、ルビナス様と同等だ。
ただ、僕もこの人の過去の武勇伝を聞いて、そのプライドをぎゃふんと言わせたい気持ちも出て来た。鬱陶しいぐらいに、自分はブツが昔からデカかったと言われると、先日の件でナイーブになっている心を抉られる。それを分かって、何度もそこをつつくドSな赤毛。グランさんは、僕が大人になって許してやれと言うが、そこは大人なこの人が気を遣って欲しい。というより、同じ男として気を遣え!
だから、この勝負受けて立つと決めた。


「いいですよ。丁度僕も貴方の自慢話に飽き飽きしてた所です。此処で、その武勇伝にピリオドを打って差し上げましょう」
「おっ、言うねぇポポ。グランもどうだ?ルールは引っかけるだけで釣った魚はリリース。それなら番の居るグランも、浮気にならないぞ。おっ、良い事思いついた!!何なら全員参加でやらねぇか?!どうせ、明日は休みだ。嬢ちゃんも今日から居ねぇ。全は急げだ。俺、隣りの部屋に行ってくるわ」
「ジル殿・・・・・」


呆れ顔のグランを残し、楽しそうに部屋を出て行った赤毛。


***


「貴様は、やはり下半身が不良品だな。私は、そんな下衆な事はせぬぞ!」
「えっえぇーー!俺、ゲル様の下手くそなナンパ見たいっす!」
「///き、き、貴様ーー!」
「私も遠慮する。そんな不埒な事は騎士道として反する」
「えっえぇーー!ポーカーフェイスのベルナールさんが、実は童貞であっちのスイッチが入るとデレるって言うのがばれるのが嫌なんすか?」
「///コロス!」
「お前、その顔でデレるのか?む~…、そのデレは場合によったら武器になるな……。俺も見て見てぇから参加しろよ。因みにガントは勿論参加するだろ?」
「何で、あんた・・俺は参加する確定で振ってんだ?!」
「お前負けん気強そうだし、負けるって分かってても挑まれたらやりそうなタイプだなと思ってな」
「あんた、今度は負けるって確定で言ってるよなっ!」
「ガント、乗るなよ。これって結局、ジルの作戦だ。相手のアプローチの仕方や癖を見る為だぞ。自分の手札見せる必要はねぇ」
「あっ、マルクスのバカ野郎!ばらすなよっ!!」

全員が赤毛をジト目で見る。頭をガシガシ掻きながら「いい案だと思ったんだがな…ちっ、残念」と呟いた。皆が、やれやれといった感じになった時、1人だけ声を出した。



「僕はやりますよ」



そこに居た全員がポポの方を見る。

「もともと僕とジルさんの賭けだったんです。僕は、負ける気しないんで」
「おっ、言うねぇ。ほんじゃ俺等だけでやるか!そんじゃお前等、留守番な」


そう言って、にたりと笑った。
ポポのこの自信の程を皆が知りたいと分かっての留守番命令。鬼畜だ…。
そんな中、健太だけが赤毛に食いついた。

「えっ、俺は見たいっす!」
「「「・・・」」」


健太は見たいと素直に言える。
だが、自分達は言い辛い。さっきそういう行為を全否定した分言いにくいからだ。
修行で色気が出たポポのテクとやらを男として、そして番候補としての興味がものすごくある…。

全員が言葉の魔術師である俺に、窪んだ目で救いを求める。捨てられた仔犬のような目で見られ、やれやれと言った感じで溜息をついた。そしてジルに言葉の魔術をかける。

「俺等はナンパは嫌だが、賭けは好きだ。ポポがこれは2人で始めた賭けだと言った。そんじゃ俺等は、2人のどっちが勝つか賭けようぜ。そうなると不正が無いか見届ける為にも付いて行かなくっちゃなんねぇよな?」

行きたいと言い辛かった面子が、心の中で"よしっ!!"と叫んだ瞬間だった。

「マルクス・・てめぇも、食えねぇ奴だよな。仕方ねぇ、因みに皆どっちに賭けるんだ?」


そう聞かれて、躊躇なく名前を言う面子。

ゲ「勿論ポポだ」
べ「・・・ポポ」
ガ「俺もポポだな」
ク「私もポポだ。ギルス、お前も賭けろ」
ギ「クロード様!あまりこういう事は品位に欠ける…と言いたい所ですが、これも人間観察の一環と思えば修行になります。私もポポ殿が優勢かと…」
ラ「ムムム・・難しい所だが、ポポ殿にするでござる」
バ「ジル殿すまぬな、私もポポ殿だ」
マ「・・・成り立つのかこの賭け?俺もポポだぞ?!」
健「えっえーー!俺もポポっちすよ~。仕方ない!ここはエベレストから飛び降りるつもりで大穴のジルさんにするっす。確率低そうっすけど、当たれば独り占め!一攫千金の夢を、俺は買うっす!!」



「てめぇら、俺に喧嘩売ってんのか?!!特にケンダロス、お前が一番腹立つわ!」




***




「なぁ、これから俺と上の部屋に行かねぇか」
「いやっだぁ~。誘ってんの?今、繁殖期よ。私本気になるわよ」
「本気の誘いは、また今度な。今日は、気持ちが高ぶっててこれを・・・治めてぇんだ。何度でもイカしてやる。鍛えてるから体力には自信があるぜ。気を失うぐらい、気持ちよくしてやっから…ヤラせろよ」

甘い声を出して、自分の引き締まった身体を女にわざと触らせるジル。女のゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた気がした。
全員が"さすがヤリちん"と心で呟く。

反対にポポはと言うと、普通にテーブルについて果実酒を飲んでいた。

「「「・・・」」」

皆が大丈夫なのかと不安になってたら、スッと年上な女がポポに寄って行くのが見えた。耳元で女が囁いてるようで、俺等には何を言っているか聞こえない。ポポが、色気たっぷりな雰囲気になった途端、女がポポの手を触りだした。掴まれた手を引いてお預けを食らわすポポ。にこりと笑っている顔は小悪魔だ…。しかも、髪をかき上げ目を細めて女を見る目は、もう男の目だ。タイプが違うと思った。ジルは、自分からモーションを掛け女をその気にさせる。片やポポは女から来させるタイプだ。ポポがこの女と狙い定めると、果実酒を飲みながら、視線を送っていた。女もその視線で、ポポを値踏みだ。12歳のガキの身体を苛めたいと言った雌豹の顔だ。しかも、数人が時によっては寄って来る。所謂3P、4pだ…。ポポ…半端ねぇ色気だな。色気を出して誘ってるジルに寄って来る女は、Mっ気のある受け身でヤッテ欲しい女。対してポポに寄ってくるのは、真逆だ。自分優位に立ちたいハンター的な女、それを手玉に取るようなポポの行動は雌豹の心を擽った。男の俺達も何かムズムズするものが芽生える。ポポ…、お前そのテク男女関係なくねぇか?!!しかも、ポポの方は回転が速い。ジルの方はというと、繁殖期が祟ってモーションをかけても振られてる。かたや、向こうから食いつくから、時間のロスがねぇ。


制限時間が刻々とやって来る。此処に来て、一獲千金を狙ってた奴の姿が見えない事に気が付く。


「健太が居ねぇ。何処行ったんだ?」

その言葉に、そう言えばと言って全員が周りを見渡す。居ねぇな…と思ったその瞬間、下品な笑い声が聞こえた。この笑い方は間違いなく健太だ。ぐるりともう一度店内を見渡す。すると、一頻りやんや、やんやで盛り上がってる場所があった。一同そこに目を向け固まった。

「「「・・・」」」

制限時間が来て、ジルとポポが自分は何人釣ったと報告に来た。勿論、俺等もそれは知っている。だが、しかし、その………この2人に言う言葉が全員出て来ない。何故なら、例の作戦名そのものを実行したトンビがそこに居たからだ。

ポポたちも俺達の顔の強張りが分かったのか、俺達の目線の先を辿る。それを見た瞬間、ポポは人生一番の屈辱ですと呟いて脱力した。ジルは怒り心頭で、もう一度あのセリフを言う。


「ケンダロス!お前が一番腹立つわ!!!」



そうジルが叫んだ先には、巨大ハーレムで寛ぐ健太がいた。
要領がいいとしか言いようがない…。そして、こいつマジで諜報部向きだと思った…。ジルやポポがその気にさせて、ドタキャンされた女を健太が言葉巧みに慰めて、労せずに自分のハーレムにしたからだ。

健太に腕を巻き付かせて、健太がギャグを言う度に大笑いしている女達。結果を言おう。ナンパ人数は、ポポの勝ちだ。だが、2人が捨てた女全員が健太に群がっている為、何故か健太が勝ったように見える図だ。たぶんここに居る全員が、そう思っている事だろう…。マジトンビに油揚げだ。


勝負が決まった事を伝える為に、ハーレムで寛いでるトンビをこっちに呼ぶ。

「もう時間っすか~。俺もうちょっとおねぇ様方と寛いでいたいんすけど・・。あっ、で、どっちが勝ったんすか~。俺全く見てなかったんで、経過はいらないんで結果だけ教えてもらっていいっすか」

ジルとポポの米神に青筋が入る。お前…、賭けてんだから興味持っとけよ…。
しかも、お前が真っ先にこの勝負見たいって喰いついてたのに、見てないってどういう事だ?

解せない気持ちで、結果を言う。


「ポポだ・・・」
「やっぱりか~。まっ、短いながらも一獲千金の夢を見させて貰ったんで、良しとしましょうか」

そう言って、またハーレムの中に舞い戻っていくトンビ。
マジこいつは、猛禽類だと思った。よく見える所から傍観して、こうやって持って行く。

マジ敵には回したくねぇな・・と呟くマルクスであった。
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