ほこたて。私はヤルかヤラないかの2択迫られているが、何故か矛盾を感じるのは気のせいか?

卯月うさぎ

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エンガチョをする人間?!!

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『ハァ、ハァ・・しんどい・・・』


ギルバードさんの診察が終わり、「安静にしとけ」と言われてベッドで寝ている私。熱が高いのか、また寒気がしていた。そう、この世界に来た日と同じように…。

目を閉じてあの日を思い出す──────。


***


『ゲヘッ、ゴホッ……』


自分の部屋の天井のシミを見ながら、己の虚弱体質を恨む。

不健康の流行に乗り遅れた事は全くないと言っていいほど、風邪やインフルエンザをいち早く貰って来る。小さい時は、喘息がひどくって空気のいい母の田舎に転校したぐらいだ。

今は喘息も落ち着いたが、風邪をひくと必ず気管支炎になり長引く咳を出させる。侍がいた時代なら間違いなく胸を患って人生の幕を下ろすこと間違いなし。

その証拠に、父方の先祖様は結核やガンになり若くして死んだ人が多い。そういう意味、父方の天沼家は短命であった。私の父も、私が生まれてすぐ亡くなった。その為、私は健康オタクと言っていいほど、自分の身体を気遣う中高年のような若人に育った。


『ゴホッ』


しかし…、しんどい。

医者に処方された座薬をさっきトイレで入れた。そのせいで、40度以上あった熱が一気に35度代に落ち、逆にフラフラして気持ちが悪い状態だ。

景色もぐにゃりと曲がったものに見える。さっきの天井のシミなんかもう大きな穴に見えた。


「(あぁ・・気持ち悪い、気持ち悪いからもう目を瞑ろう・・・)」
 
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・

目を瞑って数分後・・・

「ハァ、ハァ、ハァ…」
『・・・。』
「ハァ、ハァ、ハァ…」
『・・・。』
「ハァ、ハァ、ハァ…」
『・・・。』


生暖かい息が顔に当たる。しかも、その息が腐敗臭ときたもんだ。
夢にしたら、生々しい感覚に瞑っていた目を開けてみる。

目の前にホラーな顔があった。


『ひっ!』


人間本当の恐怖を感じた時、息を飲むというがその通りだと実感した。
そして息を飲んだら、唾液が絡み大きな咳がでてえずく。


『ゲェッホ、ゲッホ、ゴッホ…ゲェッホ、ゲッホ、ゴッホ……』


手を口に添えるというエチケットもなしに、私のインフルエンザ菌がそのホラー顔に容赦なくかかった。

ただでさえ醜悪なその顔が、威嚇のためか唾が飛んだせいか眉間と鼻に皺を寄せた。

そして、今にも私を食い殺す勢いで睨みつける。


『(ひぃぃぃ・・・。)』


何故、私は気絶できないのだろう!
虚弱体質なら、そこも虚弱な精神であって欲しい・・・。

気絶もせずしっかり目を開けたまま、身動きの取れない状態で立っていると後ろで声が聞こえた。


「魔王の動きが止まったぞ!今だ!進軍しろー!!」


うん?私の他にも誰かいるようだ。

後ろを向きたいが、この醜悪な人から目を離したら、たぶんられる。
後ろから来る人間に今の現状を何とかしてもらおう。


他力本願な私は、ドキドキしてその人達を待った。待った、待った、待った…存分に待った、、、。


『(こ、こ、来ない~、、、。)』


後ろに気配は感じる。感じるが、一定の距離を保たれているようだった。

暫くすると異変が現れる。
目の前の魔王と呼ばれたホラー顔がゼェゼェと荒い息ふはいしゅうを吐き出したからだ。

そして……あっけなくぽてっと倒れた。


『へ?』


その瞬間、緊張の糸が切れて腰が抜けた。が、瞬殺で腕だけでその場から這いつくばって逃げた。
逃げた先にあった誰かの足と衝突する。慌てて見上げれば、眉間に皺を寄せた銀髪の騎士が立っていた。

しかもエンガチョな指をされて・・・。


『・・・』
「・・・」
『……えーっと、此処は何処で貴方達は何。そして、あの山は何っ?!!』


あの山は何と言って指をさした所には、さっきの醜悪を含め得体の知れない生き物の山が、出来ていた。

銀髪の騎士の傍に立っていた男の人が、エンガチョをしながら私に説明する。

「私達は、各国から魔王軍を倒すために集められた精鋭部隊の人間です。私は、魔導士のマーリン・イゼ。この者は、魔王を倒す為に選ばれた盾の騎士ジークハルド・シュバイゼン。貴女様は、此処にいる全員の力で召喚した魔王を倒す・・・・・ほこ。矛人間に転生とは思ってみなく、私達も困惑しております…。魔王を倒した貴方様のお名前をお伺いしてもよろしいですか」
天沼那美あまぬまなみ。19歳です!ゲヘッ…ゴホッ…』


私が咳ごむと眉間に皺を寄せ、周りの全員がエンガチョの指を私にかざす。


私はどうやらバイ菌らしい・・・。


そしてエンガチョをしながら、魔導士マーリンさんとジークハルドがブツブツ何か話していた。

「私は、25歳。ジークハルドは24歳です。貴女様の世界と私共の世界では、月日の数え方が違うのかもしれませんね」


そう言って、にこりと笑って私の頭を撫でた。

私には、2人が歳相応に見えるが?
日本人のように童顔ではないから、年よりは若干上に見えるぐらいだ。

しかも、なんでそんな話が出るのか意味が分からない・・・。話の意味が分からず、コテッと顔を傾げると、やっぱり~といって額に手をあてて悶絶するマーリンさん。

「たぶん、貴女様はこちらの世界では11~13歳ぐらいかと・・・。」
『///おいっ!』


年上の人間に向かって失礼だが、すぐに突っ込んだ。
確かに私は、身長は154cmで小さいほうだ。

『つかぬ事をお伺いしますが、この世界の1年の周期は?時間の単位は?そして、女性の初潮はいつ?』
「///えっ、えっ!えっ!!」


「1年は365日。1日は24時間。初潮は平均として12歳頃かと・・・」


マーリンさんが急ぎ早に聞いた私の質問に焦ってると、女性の騎士が私の傍に来てそう言ってきた。

その人も、エンガチョをしながら・・・。


ふむ。私の世界と同じ。しかも初潮平均も同じで、私はその初潮を5年も経過したレディーであって、チルドレンではないと言っておこう。


『子供も産めるレディーに向かってガキ扱いは許さんぞ!』


胸を張ってそう言うと、その胸を見て解せなさそうな顔をジークハルドにされる。さっきの女性騎士のボインボインを見れば、何が言いたいか分かった。


『///このや…ろ……うっ……!』


怒鳴ろうとしたら、くらっと来た。あっ、だめだ…寒気がしてきた。


はっきり言おう、座薬切れだった。


あれだけ、ホラーな顔が迫っても気絶しなかったくせに、虚弱体質な身体はその瞬間私の意識をなくさせた。


遠くの方で、誰かが叫んでる。


「すぐに魔導士総動員で治療に当たれ!死なせるな!何としても治せ!!」
「ジークハルド、無理な事を!未知の病なんだぞっ!」


この世界の医療は魔術か、それともさっきのセリフからすると、漢方的な薬草の類かもしれない…。

そんなまどろっこしい事より、元の世界に戻してくれれば座薬があるから簡単なのだが…。


座薬、座薬とブツブツ言って、私は目を閉じた。
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