ほこたて。私はヤルかヤラないかの2択迫られているが、何故か矛盾を感じるのは気のせいか?

卯月うさぎ

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選択は2つ、それ以外はない・・・

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『・・・。』


目が覚めたら、ゴージャスな部屋で寝ていた。どう見ても病院のベッドでないのは確かだった。
おでこに手をやり、熱がないのを確かめる。

喉の痛みもなく絶好調であった。ただ、どのくらい寝ていたのか身体がきしんだ。

ベッドの上でコキコキと肩を鳴らし、部屋から出るためドアを開ける。


『・・・。』
「やぁ、目がさめ・・・」


手を挙げて気安い挨拶をしようとした男性の顔を見て、バタンと扉を閉めた。
そして、ベッドに戻って布団に潜り、布団の隙間を作って扉を監視する。


ノックもせずにドアが開き、後付けマナーとばかりにノックをする魔導士マーリン。


「ねぇ、何で避けるのかな?」
『今、寝てる最中です。邪魔しないで下さい』
「喋ってるって事は、寝てないよね。えーっと、アーム・ヌ・ナミー?…殿」


自分が外人のような名に変わっていた事にがっくりした。
そして、どかどかと廊下から足早な音が聞こえて、入って来た男にまたがっくりする私。


「目が覚めたと聞いたが・・・。」
「覚めたんだけど、ベッドの中に逃げられちゃった。警戒心の強い穴ウサギみたいな子だね」
『・・・。』
「狸寝入りをするな。聞きたい事がある。今すぐにベッドから出ろ」
『・・・。』
「10秒以内に出なければ、"ザヤク"を入れるぞ」
『げっ!何で座薬?!』


がばりと布団をかえして起き上がって聞いてみれば、マーリンさんが笑いながら説明してくれた。
何でも、うわ言のように座薬を入れたら熱が下がると一頻り言っていたらしい。

この世界に薬草を飲む事はあっても、お尻から入れる事が無かった為、目から鱗状態でお尻用の薬を急遽作ったのだとか…。

残念無念なうわ言で、他人に見られたくないケツの穴を見られた私。

そのせいで、私が幼女でない決定的な証拠も見られた。


幼女でアソコの毛がボウボウに生え揃った人間は居ない。故に成人女性と判別できたという。


その事実…いや、ボウボウと言う言葉を使ったマーリンさんに殺意を覚える。しかもジークハルドは、興味なさげに腕を組んで説明が終るのを待っていた。

私の中で、この2人はデリカシーのない最低な男になった。


『///で、私に何が聞きたいの!』


けんか腰でジークハルド達にそう聞くと、ただ一言こう言われた。



「お前は、結婚しているのか?」



あんぐりである。
向うの世界の何かを聞かれると思っていたのに、結婚してるかしていないかを聞かれた。


『なめてんの?』
「何故、舐める?舐めて欲しいのか・・・?"ザヤク"の次は舐めるのか・・・」


顎に手を置き真剣に悩んでるジークハルド。


『///この野郎!一遍、死んで来い!』
「・・・。」
「ぶっふふふふ……嫌われたみたいだよ」
『マーリンさんもっ!』
「えっ、何で僕も?いやいや、僕は紳士的に君に接してるよね」
『けっ!』


やさぐれた親父みたいな舌打ちをした私。

沈黙が続く中、再度ジークハルドが口を開く。


「もう一度聞く。大切な事だ、さっきの問いに答えろ」
『・・・・・・・///独身よ!それが何なの!』
「ふむ、じゃ問題は・・・」
『そんな事より、私はいつ向うの世界に戻れるの!』


マーリンさんが何かを言いかけた言葉に被せるように質問した私。


「あ…その事なんだけど……無理なんだ。君が熱で気を失った時、全魔導士が召喚の逆の陣を開いたんだけど、何故か君は向うに戻らなくって…。可能性として考えられるのが君は魔王を倒す矛として召喚された。神が作った矛と盾は一対いっついのもので…本来人間に転生って事があり得なくって……」
『意味が分かんなーい!簡潔に言って!』
「君が矛で、こいつが盾なの!で、一対いっついなの。一対というからには、離れられないってこと。結論から言うと、盾達と一回ドッキングしないと向こうに帰れないんじゃないかというのが、魔導士全員の答えなわけ」

『は?はぁ?!………はぁーー?!!なにそれっ!最悪!ほんと、マジ最悪っーー!』


衝撃過ぎる事実に大きな声で叫んだ。
今まででこんな大きな声で叫んだことはなく、そのせいで酸素不足になってベッドに倒れた。


「!」
「だ、だ・・大丈夫?!」


マーリンさんとジークハルドが慌ててベッドに寄って来る。
涙目でマーリンさんに、他に方法はないの?と蚊の鳴くような声で聞いてみた。


「ごめんね・・・」


やるせなさそうに私を見て、そう謝ったマーリンさん。
私はまだあきらめきれない。


『は、は、ハグではだめなのっ?!』
「ハグ?」
『抱擁の事っ!』
「・・・。」


眉間に皺を寄せるジークハルド。


『今度は、なにっ?!』


"我の盾、再び蘇りて汝らを護る。災いを薙ぎ払う矛を召喚できるは、共鳴する7つの盾と魔の陣のみ。また、7つの盾と矛を併せ共鳴させし時、またかの地の扉が開かれる"

マーリンさんが、舞台劇のようなセリフを吐く。そして・・・こう言った。

「君が高熱で倒れた時、このお告げの通りジークハルド達は君を抱きしめてみた。それでも君は向うに帰れなかった。君がいう抱擁だけでは意味をなさない……鉄製の矛と盾は共鳴して磁石のように引っ付いたと記述にあった。人間に生まれかわった矛と盾はその性質上、触れ合うだけではだめみたいなんだ……。盾達は、君次第だと言っている。さっき、君に結婚しているかと聞いたのは、もし君に夫がいれば、そういう行為は無理な話にもなって来るからね………」


『くっ・・・・。』


唇をギリリと噛む。


「そんなに噛むと血が出る…。僕達は部屋から出て行くから、よく考えて答えを出して。選択は2つ。1つは、向うの世界に帰る為にそういう行為をするって事。もう一つは向うの世界に帰らず、この世界で生きていくっていう選択肢。悪いけど、他の選択肢はないから……」


そう言って、部屋を出て行った2人。

ベッドに仰向けに寝たまま、涙が頬を伝う。




"選択は2つ。他の選択はない"



その言葉が何度も何度も頭に響いた。
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