【R18/完結】白の王子と薔薇の姫〜婚約者に『真の姿をさらけ出す薬』を飲ませます!〜

河津ミネ

文字の大きさ
1 / 12

1.白の王子と薔薇の姫

しおりを挟む
「ようこそ、我が国パレットへ」

 色素の薄い白皙の美青年が透けるような白い髪をサラリとなびかせながら優雅な微笑みを浮かべて馬車から降りる彼女を出迎える。
 周りでまるで星がまたたいているように見えるほど煌びやかなこの青年は、大国パレットの王太子ブラン王子だ。
 ブラン王子が差し伸べた白く美しい手の上には、小さく可憐な手が乗せられる。
 丸く整えられた爪先を淡い薔薇色に染めた手の持ち主は、毛先に向けて濃くなる豊かな薔薇色の髪をふんわりと揺らしながら馬車から降りてきた。

 出迎える人々の口からホゥという感嘆のため息が聞こえる。

「これからよろしくお願いします」

 小国プランタンに咲きほこる大輪の薔薇と称されたローズ姫は出迎える人々に向けてにっこりと微笑んだ。
 ローズ姫が身体を少し動かすと、周りにかぐわしい香りが広がった。
 それは『プリンセスローズ』の香りだった。
 『プリンセスローズ』はその芳醇な薔薇の香りで大国パレットにまで名を馳せている香水だった。
 ローズ姫をイメージして作られたという『プリンセスローズ』が有名になり、そのモデルとなった姫に興味を持ったブラン王子がローズ姫を見初めてこの婚約が成立したと言われている。

 薔薇の香りをまとう美しい姫に人々は一瞬で魅了された。

 ローズ姫はこれから王宮でこの大国パレットについて学びながら妃教育を受け、半年後にはブラン王子と結婚式を挙げることになっている。

「お似合いですわ」

「まるでおとぎ話から抜け出てきたみたい」

「これは宮廷画家も喜びますな」

 白の王子ブランと薔薇の姫ローズが並び立ち優雅に微笑むと、周りを囲む人々からは称賛の言葉が次々とかけられた。


*****


とある日の夜、パレット王国の王宮の厨房の片隅ではゴソゴソと何やら二つの影が動いている。

「姫さま、本当にやるんですか?」

「アネモネ。止めないで」

 そこでは薔薇の姫ローズとその侍女アネモネがこそこそと何かを作っていた。

「やめた方が良いと思いますよ。バレたらどうするんですか」

「だっておかしいじゃない! いくら私の顔が良いからってこんな大国の王子が小国の姫を嫁に迎えるメリットないでしょ」

「姫さま、顔だけは良いんですからそれで納得しません?」

「それで納得できたらこんな事しないわよ。私よりよっぽど綺麗な顔してる男に顔で惚れられたって言われても納得できるわけないでしょ! あのうさん臭い笑顔の下をなんとしても暴いてやるんだから……!」

 ザッシュザッシュと小脇に抱えたボウルの中身をかき混ぜながら、薔薇色の髪の美しい姫は物騒な笑顔を浮かべていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。

婚約破棄?いいですけど私巨乳ですよ?

無色
恋愛
 子爵令嬢のディーカは、衆目の中で婚約破棄を告げられる。  身分差を理由に見下されながらも、彼女は淡々と受け入れようとするが、その時ドレスが破れ、隠していた自慢のそれが解き放たれてしまう。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

処理中です...