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4.あんたのことなんて……
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シャナの家から戻って工場に顔を出そうと中を覗くと、珍しくザカリーが部屋から出て一階まで来ていた。
工場に入ろうとして、中から聞こえてきた言葉に動きを止める。
「ビビアンお嬢さんはザカリー先生のことが好きだからな」
「まさか」
工場で働くベテランのおじさんがザカリーをからかうと、ザカリーは片眉を上げて皮肉げに言った。
「ビビがいっつも俺のこと大っ嫌いって言ってるの知ってるでしょ」
「いやいや、あれはどう見ても……なぁ?」
おじさんが周りに同意を求めると、周りで働く人々も訳知り顔でうなずく。
ビビアンは自分の気持ちが皆にバレバレなのに気づいて恥ずかしくなった。
「あれ? ビビアンお嬢さん?」
後ろから別の若い従業員に声をかけられてビクリと肩を上げる。
ビビアンに気づいたベテランのおじさんが声を上げる。
「ビビアンお嬢さん、ちょうど良かった。ザカリー先生のことどう思ってるか聞かせてやんなよ」
ベテランのおじさんはニヤニヤ笑いながらビビアンをけしかけた。
恥ずかしさのあまり頭に血が昇り、ビビアンは叫んでしまった。
「あんたのことなんて『大っ好き』なんだから!!」
ビビアンの叫び声が工場中に響きわたると、周りの人々は黙りこみ工場の機械の音だけがゴトゴトと鳴っていた。
「ビビ……?」
目の前にいるぶ厚いメガネをかけた灰色のボサボサ頭の男ザカリーが、ビビアンを見て驚いた顔をして固まっている。
「ち、違っ! 『嫌い』なんかじゃない! ザックのことなんて『大好き』だもん」
追い討ちをかけるようなビビアンの言葉に、すぐにそこかしこからヒューッという口笛やおめでとうというヤジが乱れ飛んでくる。
後ろから小突かれてよろけたザカリーとビビアンがお互いを支えるように抱き合うと、周りからは盛大に祝いの拍手が投げられた。
困惑したような顔のザカリーと抱き合ったまま、ビビアンは一人内心で叫んでいた。
(ど、どうしよう~!! これってやっぱり『あべこべ薬』のせい?)
ビビアンが自分の発言にうろたえていると、ベテランのおじさんが二人の肩をバシバシ叩きながら笑っている。
「やっと素直になったな!」
「結婚式には呼んでくれよ~」
「社長には内緒にしといてやるからな!」
周りの人や先ほどの若い従業員なんかも口々に祝いの言葉を口にする。
「ビビ、こっち!」
一拍置いて冷静になったザカリーがビビアンの腕を引っぱって、急いで自分の部屋に向かう。
二階に向かう階段を上りながら、後ろからは二人の背中に向かって祝いの言葉が投げかけられた。
工場に入ろうとして、中から聞こえてきた言葉に動きを止める。
「ビビアンお嬢さんはザカリー先生のことが好きだからな」
「まさか」
工場で働くベテランのおじさんがザカリーをからかうと、ザカリーは片眉を上げて皮肉げに言った。
「ビビがいっつも俺のこと大っ嫌いって言ってるの知ってるでしょ」
「いやいや、あれはどう見ても……なぁ?」
おじさんが周りに同意を求めると、周りで働く人々も訳知り顔でうなずく。
ビビアンは自分の気持ちが皆にバレバレなのに気づいて恥ずかしくなった。
「あれ? ビビアンお嬢さん?」
後ろから別の若い従業員に声をかけられてビクリと肩を上げる。
ビビアンに気づいたベテランのおじさんが声を上げる。
「ビビアンお嬢さん、ちょうど良かった。ザカリー先生のことどう思ってるか聞かせてやんなよ」
ベテランのおじさんはニヤニヤ笑いながらビビアンをけしかけた。
恥ずかしさのあまり頭に血が昇り、ビビアンは叫んでしまった。
「あんたのことなんて『大っ好き』なんだから!!」
ビビアンの叫び声が工場中に響きわたると、周りの人々は黙りこみ工場の機械の音だけがゴトゴトと鳴っていた。
「ビビ……?」
目の前にいるぶ厚いメガネをかけた灰色のボサボサ頭の男ザカリーが、ビビアンを見て驚いた顔をして固まっている。
「ち、違っ! 『嫌い』なんかじゃない! ザックのことなんて『大好き』だもん」
追い討ちをかけるようなビビアンの言葉に、すぐにそこかしこからヒューッという口笛やおめでとうというヤジが乱れ飛んでくる。
後ろから小突かれてよろけたザカリーとビビアンがお互いを支えるように抱き合うと、周りからは盛大に祝いの拍手が投げられた。
困惑したような顔のザカリーと抱き合ったまま、ビビアンは一人内心で叫んでいた。
(ど、どうしよう~!! これってやっぱり『あべこべ薬』のせい?)
ビビアンが自分の発言にうろたえていると、ベテランのおじさんが二人の肩をバシバシ叩きながら笑っている。
「やっと素直になったな!」
「結婚式には呼んでくれよ~」
「社長には内緒にしといてやるからな!」
周りの人や先ほどの若い従業員なんかも口々に祝いの言葉を口にする。
「ビビ、こっち!」
一拍置いて冷静になったザカリーがビビアンの腕を引っぱって、急いで自分の部屋に向かう。
二階に向かう階段を上りながら、後ろからは二人の背中に向かって祝いの言葉が投げかけられた。
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