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5.好きが嫌いで嫌いが好きで
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部屋に入るとザカリーはビビアンをベッドに座らせて問いただした。
「ビビ……。あの、さっきの、何?」
ビビアンは先ほどの自分の発言を思い出して、カァーッと頭に血が昇る。
「ザックのことなんて『好き』に決まってるじゃない!」
(あ、違う。訂正する!? でも『好き』が『嫌い』で『嫌い』が『好き』になってるって事は、えっと、なんて言えば良いの!?)
ビビアンが『あべこべ薬』の事をどうやって説明しようかグルグル考えていると、ザカリーは何故か静かなままだった。
いつものようなキツイ憎まれ口が飛んでこない事を不思議に思い顔を上げると、ザカリーはガシガシと灰色の頭を掻いてほんのりと耳や目の端を赤くしていた。
ビビアンはザカリーの見慣れない表情に驚いてマジマジと眺めてしまった。
ビビアンの視線に気づいたザカリーはぷいと横を向いて、机の上の紙の束を手に取るとグイと渡してきた。
「これ、読む?」
「え! 新作!?」
「そう。今度、コンクールに出そうと思って」
それは敵対する家の二人が運命の恋に落ちるお話だった。
煌びやかで情熱的なお話に、ビビアンは夢中になって読み進めた。
「どう?」
「うん! これ、すっごく『きら……』」
好きと言うつもりが、嫌いの言葉が口から出かけて思わず片手で口を塞ぐ。
「ビビ?」
「えっと、すごく面白いし、素敵だと思う」
「……ビビが喜ぶかなって思って書くと、受けるんだよね」
「でもザック、いつもこんな男いねーよって」
「ビビにはいつも的確な感想もらえるからありがたいと思ってる」
ザカリーはいつもと違って椅子をビビアンの方に向けて座った。
「小さい頃からビビが俺の書く話を面白いって言ってくれたから今までずっと書いてこれたって言うか……。ビビはさ、いつも俺の事嫌いって言うけど、俺の書いた物は好きって言うから信用できるって言うか……」
ザカリーは気まずそうに何度も目を泳がせて指をぐるぐる絡ませながら、言葉を紡いだ。
「ビビ……。あの、さっきの、何?」
ビビアンは先ほどの自分の発言を思い出して、カァーッと頭に血が昇る。
「ザックのことなんて『好き』に決まってるじゃない!」
(あ、違う。訂正する!? でも『好き』が『嫌い』で『嫌い』が『好き』になってるって事は、えっと、なんて言えば良いの!?)
ビビアンが『あべこべ薬』の事をどうやって説明しようかグルグル考えていると、ザカリーは何故か静かなままだった。
いつものようなキツイ憎まれ口が飛んでこない事を不思議に思い顔を上げると、ザカリーはガシガシと灰色の頭を掻いてほんのりと耳や目の端を赤くしていた。
ビビアンはザカリーの見慣れない表情に驚いてマジマジと眺めてしまった。
ビビアンの視線に気づいたザカリーはぷいと横を向いて、机の上の紙の束を手に取るとグイと渡してきた。
「これ、読む?」
「え! 新作!?」
「そう。今度、コンクールに出そうと思って」
それは敵対する家の二人が運命の恋に落ちるお話だった。
煌びやかで情熱的なお話に、ビビアンは夢中になって読み進めた。
「どう?」
「うん! これ、すっごく『きら……』」
好きと言うつもりが、嫌いの言葉が口から出かけて思わず片手で口を塞ぐ。
「ビビ?」
「えっと、すごく面白いし、素敵だと思う」
「……ビビが喜ぶかなって思って書くと、受けるんだよね」
「でもザック、いつもこんな男いねーよって」
「ビビにはいつも的確な感想もらえるからありがたいと思ってる」
ザカリーはいつもと違って椅子をビビアンの方に向けて座った。
「小さい頃からビビが俺の書く話を面白いって言ってくれたから今までずっと書いてこれたって言うか……。ビビはさ、いつも俺の事嫌いって言うけど、俺の書いた物は好きって言うから信用できるって言うか……」
ザカリーは気まずそうに何度も目を泳がせて指をぐるぐる絡ませながら、言葉を紡いだ。
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