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9.気持ちを態度で表して

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 あの後ビビアンはシャナに泣きついてシャナからもザカリーに事情を説明してもらったが、ザカリーは取り付く島もなかった。

 仕方がないのでビビアンは、夜も更けてからこっそり部屋を抜け出すとザカリーの部屋に向かった。
 ザカリーはいつも宵っ張りで深夜まで執筆をしていることが多く、案の定、今夜もまだ起きていたようで、ビビアンがドアをノックするとすぐにドアが開いた。

「ビビ……こんな時間に何?」

 訝しげな顔をして不機嫌な声を出すが、ビビアンの格好を見てすぐに部屋に入れてくれた。
 薄い寝着の上にガウンを羽織っただけのビビアンに、ザカリーはベッドから毛布を引き剥がしてよこした。

「そんな格好だと風邪引くからそれ使って。で、何?」

 迷惑そうに頭を掻きながらも優しいザカリーのその態度が嬉しくて、ビビアンは泣きそうになりながら毛布を身体に巻きつけてキュッと握りしめた。

 何か言葉を口に出すとまた憎まれ口を叩いてしまいそうで、ビビアンは黙ったままザカリーに思いっきり抱きつくとそのままベッドに押し倒してキスをした。

「ビビ!? っぷ!」

 勢いが良すぎて少し歯がぶつかってしまったが、唇を離すとザカリーが眉間にシワを寄せてビビアンを睨みつけた。

「俺の事なんて嫌いなんだろっ!」

 ビビアンは違うと何度も首を横に振ってから、もう一度ザカリーに抱きついてキスをした。
 今度は舌を出してザカリーの薄い唇をチロチロと舐めた。

「な……やめろっ」

 ビビアンの肩を掴んで身体を離しながらグイと手の甲で口をぬぐうザカリーを見て、ビビアンは胸が軋むように痛んだ。
 ビビアンはもっとはっきり自分の気持ちを行動で示さないといけないと思い、覚悟を決めた。

 ビビアンはベッドの上に座ると、身体に巻きつけていた毛布を落とした。
 次いでガウンを脱いでベッドに落とすと、シュルリと寝着の胸のリボンを解いた。

「おい! ビ、ビビ……」

 目の前のザカリーが焦った声を上げる。
 ビビアンのはだけた寝着の下は、シュミーズとショーツだけだった。
 ビビアンは寝着から腕を抜いてパサリとガウンの上に落として、下着姿でザカリーの前に座った。

 ザカリーが息を呑む音がする。

 ビビアンは恥ずかしくてザカリーの方を見ることができず、下を向いたまま顔を真っ赤にしながらシュミーズの裾に手をかけた。
 震える手に力を込めて、えいやと裾を捲ってシュミーズを脱ぎすてる。
 その勢いでビビアンの白い豊かな胸がふるりと揺れた。
 ピンクに色づいた先端が恥ずかしくて、両腕で胸を挟むようにして隠すと、ゴクリと唾を飲む音が聞こえた気がした。

 緊張と羞恥で身体が震えるが、ザカリーは動きもせず何も言ってくれない。

 ビビアンは目をギュッとつぶると、意を決して胸を隠していた手を離してショーツに指をかける。
 ショーツを脱ごうと腰を浮かすと、ザカリーがビビアンに勢いよく抱きつきそのままベッドに押し倒した。
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