40 / 111
二章 出会いと別れ
3.-2
しおりを挟む
ルーパスの背中を見送りながらソフィアはレオルドの服を握りしめた。
(私のせいでルーパス殿下がレオルド様に酷いことをするかもしれない……)
その震える冷えた身体を、レオルドの熱い身体が優しく包みこむ。
「もう大丈夫だ、ソフィア」
そのあたたかさに触れ、ようやく身体の強ばりが少し解け、ソフィアの目から涙がこぼれ落ちた。
「レオ、レオルドさま……」
「ソフィア」
傷ついたソフィアを抱きしめながら、レオルドがその目を細めて痛ましげな顔をする。
外は既に陽が落ちていて、わずかに差し込む月の光だけが礼拝堂の中をぼんやりと照らしている。
ソフィアが落ち着くまでレオルドは冷えた身体を優しくなでて温めてくれた。
「礼拝堂の扉がオンボロで助かったな。だがこのままじゃ身体が冷える。移動するぞ」
ソフィアが泣き止むのを待ってから、レオルドは自分の上着をソフィアにしっかりと着せ、上からさらにマントで包んでソフィアの姿を周りから見えないようにした。
「レオルド様……?」
「俺の部屋に向かう」
レオルドはソフィアを抱き上げ騎士団寮のレオルドの部屋へと向かう。
人目につかぬように注意しながら部屋まで辿り着くと、包んだマントの中からソフィアを取り出した。
「レオルド様、あの……」
「まずは傷の手当てだ。ソフィア、こっちを向け」
レオルドが自ら傷の手当てをしようと薬を手に取る。
しかしなぜか、ソフィアはレオルドの膝の上に乗せられていた。
「あの、レオルド様……下ろしていただけませんか?」
「ダメだ。こんなに呪いが強まっているのに離れたらソフィアを忘れてしまうかもしれない」
「そんな……あ……」
レオルドの熱い手がソフィアの頬の上を優しくすべる。
「痛むかもしれないが、少しだけ我慢しろ」
「ん……はい……」
レオルドの熱い手で触れられるたび、呪いと襲われた恐怖でガチガチに強ばっていたソフィアの身体が少しずつ溶かされていく。
「痕にならないといいが」
「あの、もう大丈夫ですから」
「こういうのはあとから腫れてくる。これは騎士団でも使ってる薬だ。よく効くぞ」
「……はい」
レオルドの熱くたくましい身体に包まれていると安心できて、ここにいればもう何が起きても大丈夫な気がした。
それでも大丈夫なはずはなく、ソフィアは自分のことを心配そうに見ながら薬を丁寧に塗るレオルドを見つめた。
レオルドとルーパスの間にはソフィアの知らない何かがあるようだが、それでも自分のせいでレオルドが罰せられて欲しくない。
ふたりの事情を知れば、なにか助けになれないだろうかと考える。
「レオルド様」
「なんだ?」
「あの……先ほどのルーパス殿下との会話はどういう意味ですか?」
「あぁ、あれか。上位貴族の間では公然の秘密になっていることだが」
レオルドがそう前置きをして口を開いた。
「俺の父親はカネス王太子殿下だ」
(私のせいでルーパス殿下がレオルド様に酷いことをするかもしれない……)
その震える冷えた身体を、レオルドの熱い身体が優しく包みこむ。
「もう大丈夫だ、ソフィア」
そのあたたかさに触れ、ようやく身体の強ばりが少し解け、ソフィアの目から涙がこぼれ落ちた。
「レオ、レオルドさま……」
「ソフィア」
傷ついたソフィアを抱きしめながら、レオルドがその目を細めて痛ましげな顔をする。
外は既に陽が落ちていて、わずかに差し込む月の光だけが礼拝堂の中をぼんやりと照らしている。
ソフィアが落ち着くまでレオルドは冷えた身体を優しくなでて温めてくれた。
「礼拝堂の扉がオンボロで助かったな。だがこのままじゃ身体が冷える。移動するぞ」
ソフィアが泣き止むのを待ってから、レオルドは自分の上着をソフィアにしっかりと着せ、上からさらにマントで包んでソフィアの姿を周りから見えないようにした。
「レオルド様……?」
「俺の部屋に向かう」
レオルドはソフィアを抱き上げ騎士団寮のレオルドの部屋へと向かう。
人目につかぬように注意しながら部屋まで辿り着くと、包んだマントの中からソフィアを取り出した。
「レオルド様、あの……」
「まずは傷の手当てだ。ソフィア、こっちを向け」
レオルドが自ら傷の手当てをしようと薬を手に取る。
しかしなぜか、ソフィアはレオルドの膝の上に乗せられていた。
「あの、レオルド様……下ろしていただけませんか?」
「ダメだ。こんなに呪いが強まっているのに離れたらソフィアを忘れてしまうかもしれない」
「そんな……あ……」
レオルドの熱い手がソフィアの頬の上を優しくすべる。
「痛むかもしれないが、少しだけ我慢しろ」
「ん……はい……」
レオルドの熱い手で触れられるたび、呪いと襲われた恐怖でガチガチに強ばっていたソフィアの身体が少しずつ溶かされていく。
「痕にならないといいが」
「あの、もう大丈夫ですから」
「こういうのはあとから腫れてくる。これは騎士団でも使ってる薬だ。よく効くぞ」
「……はい」
レオルドの熱くたくましい身体に包まれていると安心できて、ここにいればもう何が起きても大丈夫な気がした。
それでも大丈夫なはずはなく、ソフィアは自分のことを心配そうに見ながら薬を丁寧に塗るレオルドを見つめた。
レオルドとルーパスの間にはソフィアの知らない何かがあるようだが、それでも自分のせいでレオルドが罰せられて欲しくない。
ふたりの事情を知れば、なにか助けになれないだろうかと考える。
「レオルド様」
「なんだ?」
「あの……先ほどのルーパス殿下との会話はどういう意味ですか?」
「あぁ、あれか。上位貴族の間では公然の秘密になっていることだが」
レオルドがそう前置きをして口を開いた。
「俺の父親はカネス王太子殿下だ」
1
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる