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第四条:深追いはしない。
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「ア――――」
9mmパラベラムと.30-06スプリングフィールド弾。二つの銃声が重なり合う中、しかしその反響が収まった中で最後に立っていたのは、ハリー・ムラサメの方だった。
9mmパラベラム弾に左眼を抉られたウォードッグが、眼窩から赤黒く濁った血を吹き出しながらバタリ、と力なく仰向けに斃れた。サングラスを割り、左の眼球を潰したジャケッテッド・ホロー・ポイント弾頭は間違いなくあのまま頭蓋骨を貫通し、脳を破壊したことだろう。誰がどう見ても、ウォードッグは即死だった。
そして、ハリーの方はといえば。
「……アーメン、ハレルヤ。何処の神様か知らないが、最後に味方に付けたのは俺の方だったか」
ウォードッグの放った.30-06スプリングフィールド弾はハリーの頭――――のすぐ至近を掠めただけで、頬に横一文字の浅い切り傷を形作っただけだった。
「聖職者はむやみやたらに殺すもんじゃない。よく覚えておくんだな、犬っころ」
事切れて仰向けに斃れるウォードッグの巨体に語り掛けながら、ハリーはふぅ、と息をついて片腕で構えていたUSPコンパクトをそっと下ろした。
「……終わったの?」
すると、恐る恐るといった風に祭壇の陰から出てきた和葉が、こっちに駆け寄りながら訊いてくる。
「ああ」不安げに密着してくる和葉を左腕で抱き留めながら、ハリーが頷いてやった。
「頭を撃たれて、死なない人間なんて居ないさ」
「そう……」
和葉が至極疲れたように大きな息をつき、それに釣られてハリーも肩を竦める。
――――これで、終わった。
少なくとも、強敵の一人は確実に仕留めることが出来た。それだけで、ハリーは妙な満足感と安心感を覚えていた。あの凶暴な闘犬を、"ウォードッグ(戦争の犬)"の異名を持つ強敵を打ち倒せたことに、ひどく安堵しながら。
「――――へぇ、やっぱりウォードッグは駄目だったか」
と、安堵するのも束の間。何処からかクールながらも少女のようにあどけない、しかしハリーにとっては聞き慣れすぎた女の声が飛び込んで来る。
「っ……!」
咄嗟に和葉を逃がすように突き飛ばし、ハリーは構え直したUSPコンパクトの銃口を教会の砕けた扉の方へと向けた。
すると、そこに立っていたのは――――。
「久し振りだね、ハリー・ムラサメ」
140センチと少しぐらいしかない小さな体格と、少女みたくあどけない、しかし何処か氷鉄のように冷え切ったクールな双眸と顔立ち。頭の後ろで軽く結った、ポニーテール風な短い尾を引くすみれ色の髪を靡かせている女。肩口や胸元が開いた、首にチョーカー付きのゴシック・ロリータじみた黒いワンピース・スタイルの出で立ちで、その女はそこに立っていた。懐かしがるような視線を、ハリーに向けながら。
「逢えて嬉しいよ、本当に嬉しい」
――――クララ・ムラサメ。嘗てハリーの師だった少女のような風貌の女が、不敵な笑みを湛えてそこに立っていた。
9mmパラベラムと.30-06スプリングフィールド弾。二つの銃声が重なり合う中、しかしその反響が収まった中で最後に立っていたのは、ハリー・ムラサメの方だった。
9mmパラベラム弾に左眼を抉られたウォードッグが、眼窩から赤黒く濁った血を吹き出しながらバタリ、と力なく仰向けに斃れた。サングラスを割り、左の眼球を潰したジャケッテッド・ホロー・ポイント弾頭は間違いなくあのまま頭蓋骨を貫通し、脳を破壊したことだろう。誰がどう見ても、ウォードッグは即死だった。
そして、ハリーの方はといえば。
「……アーメン、ハレルヤ。何処の神様か知らないが、最後に味方に付けたのは俺の方だったか」
ウォードッグの放った.30-06スプリングフィールド弾はハリーの頭――――のすぐ至近を掠めただけで、頬に横一文字の浅い切り傷を形作っただけだった。
「聖職者はむやみやたらに殺すもんじゃない。よく覚えておくんだな、犬っころ」
事切れて仰向けに斃れるウォードッグの巨体に語り掛けながら、ハリーはふぅ、と息をついて片腕で構えていたUSPコンパクトをそっと下ろした。
「……終わったの?」
すると、恐る恐るといった風に祭壇の陰から出てきた和葉が、こっちに駆け寄りながら訊いてくる。
「ああ」不安げに密着してくる和葉を左腕で抱き留めながら、ハリーが頷いてやった。
「頭を撃たれて、死なない人間なんて居ないさ」
「そう……」
和葉が至極疲れたように大きな息をつき、それに釣られてハリーも肩を竦める。
――――これで、終わった。
少なくとも、強敵の一人は確実に仕留めることが出来た。それだけで、ハリーは妙な満足感と安心感を覚えていた。あの凶暴な闘犬を、"ウォードッグ(戦争の犬)"の異名を持つ強敵を打ち倒せたことに、ひどく安堵しながら。
「――――へぇ、やっぱりウォードッグは駄目だったか」
と、安堵するのも束の間。何処からかクールながらも少女のようにあどけない、しかしハリーにとっては聞き慣れすぎた女の声が飛び込んで来る。
「っ……!」
咄嗟に和葉を逃がすように突き飛ばし、ハリーは構え直したUSPコンパクトの銃口を教会の砕けた扉の方へと向けた。
すると、そこに立っていたのは――――。
「久し振りだね、ハリー・ムラサメ」
140センチと少しぐらいしかない小さな体格と、少女みたくあどけない、しかし何処か氷鉄のように冷え切ったクールな双眸と顔立ち。頭の後ろで軽く結った、ポニーテール風な短い尾を引くすみれ色の髪を靡かせている女。肩口や胸元が開いた、首にチョーカー付きのゴシック・ロリータじみた黒いワンピース・スタイルの出で立ちで、その女はそこに立っていた。懐かしがるような視線を、ハリーに向けながら。
「逢えて嬉しいよ、本当に嬉しい」
――――クララ・ムラサメ。嘗てハリーの師だった少女のような風貌の女が、不敵な笑みを湛えてそこに立っていた。
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