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Execute.02:巴里より愛を込めて -From Paris with Love-
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『駄目だ、屋敷に敵が詰めかけて来てる。ターゲットは部屋から動いていないけれど、接敵は免れない!』
「こうなっちまった以上、織り込み済みだ!」
ノエルと二人で階段を駆け上がり、零士は拳銃片手に三階の廊下へと躍り出る。
『後ろだ零士、三秒で三人と接触!』
インカムから聞こえてくるミリィの声へ機敏に反応し、零士はバッとロングコートの裾を派手に靡かせながら振り向いた。
そうすれば、キッカリ三秒後にグローバル・ディフェンス社の警備員が姿を現す。奴らが零士の姿を認め、拳銃を構え発砲するよりも早く、零士のPx4ストームが火を噴いた。
ド派手な銃声とともに、撃ち放たれた強装の9mmパラベラム・ホロー・ポイント弾に抉られ、三人の男たちがほぼ同時のタイミングでバタリと倒れ伏す。狙いは正確ながら、零士の射撃は異様なまでに素早かったのだ。反撃の隙を与えないままに撃ち倒せば、零士はニヤリと口角を釣り上げる。
『お代わりが来る! ノエル、零士のカヴァーを!』
「もうやってるよ!」
そんな風に零士が発砲するのとほぼ同じタイミングで、ノエルもまた彼と背中合わせになり。反対側の曲がり角から現れた二人に向け、左手一本で構えたマニューリン・MR73をブッ放す。そちらの警備員はサブ・マシーンガンを携行していたが、それを構える間もなくノエルの撃ち放った強力な.357マグナム弾に吹っ飛ばされていた。
「どうかな、レディに背中を護られる気分は?」
更に追加で現れた二人を続けざまにMR73で吹っ飛ばしながら、背中を合わせる零士の方にチラリと振り返ったノエルが言う。
「悪くない気分だ。第一、俺としては女の子の方が信用できるって考えだからな」
それに不敵な笑みで応じる零士もまた、Px4から繰り出す神速の連射で、増援の四人を射殺していた。
「……そういうところだよ、ホントに」
「何だって?」
「何でもないよ、それより」
「突破が先決、だろ?」
高度な訓練を受けているグローバル・ディフェンス社の警備員相手にしながらも、これだけの余裕を見せる辺り、零士はともかくノエルの方もかなりの実力のようだ。流石にシャーリィの眼鏡に適っただけあって、ノエルもまた良い意味でマトモではないらしい。
『……よし、ひとまずは片付いた。九〇秒ぐらいは接敵の危険はないと思う。二人とも、今の内に移動してくれ』
そして派手ながら一瞬だった銃撃戦に一段落が付けば、ミリィの安堵した声が聞こえてきて。それにノエルが「了解だよ」とインカムに向けて囁き返しているのを尻目に、零士は彼女が撃ち倒した方の骸《むくろ》へと歩み寄っていた。
「レイ、何してるの」
足元の死骸の傍にしゃがみ込む零士の背中を怪訝に思い、MR73の弾を入れ替えながらでノエルが問う。そんな彼女の足元にカランカラン、と金色の細長い空薬莢が落ちれば、零士は「これだ」と死骸から剥ぎ取った何かをノエルに見せつけてきた。
「使える物は使う、有り難く頂戴しておくのさ」
そう言って零士がノエルに見せつけるのは、ドイツ製のサブ・マシーンガンだ。MP5K-PDW。小柄で扱いやすく、信頼の置ける近代的な獲物だ。
「なるほどね」
ノエルが頷きながら.357マグナムの補弾を済ませ、開いていたシリンダーをMR73に戻したタイミングで。零士は「ほらよ」と言って、手にしていたそのMP5K-PDWを彼女に向かって唐突に投げてきた。
「っとっと!?」
飛んで来たそれを、ノエルは慌てて受け取る。取り落としそうになるものの、何とか受け止めることに成功した。
「もうっ、いきなり投げないでよ!?」
「悪い悪い」
「悪いじゃなくて……わわっ!?」
と、続けて零士がMP5用の、9mmパラベラム弾が充填された三〇連発の弾倉を幾つも投げてくるものだから、ノエルはまた慌てふためいてそれを受け取る。全部何とか掴み取った彼女が「あのねえ……」と肩を竦めるのは、疲れからだろうか。それとも、零士に対する呆れからだろうか。
「それでノエル、肝心の使い方は?」
「MP5だよね? なら、一通りは」
「だったら問題なし、だ」
頷くノエルに零士はニヤリと笑みを返しながら、ベネリM4の自動ショットガンを片手に立ち上がった。12ゲージ径のショットシェルを使う、イタリア製の名銃だ。これもまた死骸から剥ぎ取った物だろうことは、考えるまでもなく明らかだった。
『用は済んだかい? なら早めにその場から離れてくれ。階下から敵が大挙して押し寄せてきている』
「了解だ」と、零士がインカムに向けて頷き返す。
「ノエル、急ごう。出来る限りドンパチにならないことを祈りたいが」
「どう考えたってそうはならないことが、辛いところだね」
「全くだよ、泣かせる話だぜ」
二人はそれぞれの拳銃を一旦収め、奪い取った自動ショットガンとサブ・マシーンガンを手にまた走り出す。ターゲットの二人、ジルベール・シャンペーニュとベアトリス・ブランシャールが待ち構える応接間までは、まだまだ道のりは遠そうだ。
「こうなっちまった以上、織り込み済みだ!」
ノエルと二人で階段を駆け上がり、零士は拳銃片手に三階の廊下へと躍り出る。
『後ろだ零士、三秒で三人と接触!』
インカムから聞こえてくるミリィの声へ機敏に反応し、零士はバッとロングコートの裾を派手に靡かせながら振り向いた。
そうすれば、キッカリ三秒後にグローバル・ディフェンス社の警備員が姿を現す。奴らが零士の姿を認め、拳銃を構え発砲するよりも早く、零士のPx4ストームが火を噴いた。
ド派手な銃声とともに、撃ち放たれた強装の9mmパラベラム・ホロー・ポイント弾に抉られ、三人の男たちがほぼ同時のタイミングでバタリと倒れ伏す。狙いは正確ながら、零士の射撃は異様なまでに素早かったのだ。反撃の隙を与えないままに撃ち倒せば、零士はニヤリと口角を釣り上げる。
『お代わりが来る! ノエル、零士のカヴァーを!』
「もうやってるよ!」
そんな風に零士が発砲するのとほぼ同じタイミングで、ノエルもまた彼と背中合わせになり。反対側の曲がり角から現れた二人に向け、左手一本で構えたマニューリン・MR73をブッ放す。そちらの警備員はサブ・マシーンガンを携行していたが、それを構える間もなくノエルの撃ち放った強力な.357マグナム弾に吹っ飛ばされていた。
「どうかな、レディに背中を護られる気分は?」
更に追加で現れた二人を続けざまにMR73で吹っ飛ばしながら、背中を合わせる零士の方にチラリと振り返ったノエルが言う。
「悪くない気分だ。第一、俺としては女の子の方が信用できるって考えだからな」
それに不敵な笑みで応じる零士もまた、Px4から繰り出す神速の連射で、増援の四人を射殺していた。
「……そういうところだよ、ホントに」
「何だって?」
「何でもないよ、それより」
「突破が先決、だろ?」
高度な訓練を受けているグローバル・ディフェンス社の警備員相手にしながらも、これだけの余裕を見せる辺り、零士はともかくノエルの方もかなりの実力のようだ。流石にシャーリィの眼鏡に適っただけあって、ノエルもまた良い意味でマトモではないらしい。
『……よし、ひとまずは片付いた。九〇秒ぐらいは接敵の危険はないと思う。二人とも、今の内に移動してくれ』
そして派手ながら一瞬だった銃撃戦に一段落が付けば、ミリィの安堵した声が聞こえてきて。それにノエルが「了解だよ」とインカムに向けて囁き返しているのを尻目に、零士は彼女が撃ち倒した方の骸《むくろ》へと歩み寄っていた。
「レイ、何してるの」
足元の死骸の傍にしゃがみ込む零士の背中を怪訝に思い、MR73の弾を入れ替えながらでノエルが問う。そんな彼女の足元にカランカラン、と金色の細長い空薬莢が落ちれば、零士は「これだ」と死骸から剥ぎ取った何かをノエルに見せつけてきた。
「使える物は使う、有り難く頂戴しておくのさ」
そう言って零士がノエルに見せつけるのは、ドイツ製のサブ・マシーンガンだ。MP5K-PDW。小柄で扱いやすく、信頼の置ける近代的な獲物だ。
「なるほどね」
ノエルが頷きながら.357マグナムの補弾を済ませ、開いていたシリンダーをMR73に戻したタイミングで。零士は「ほらよ」と言って、手にしていたそのMP5K-PDWを彼女に向かって唐突に投げてきた。
「っとっと!?」
飛んで来たそれを、ノエルは慌てて受け取る。取り落としそうになるものの、何とか受け止めることに成功した。
「もうっ、いきなり投げないでよ!?」
「悪い悪い」
「悪いじゃなくて……わわっ!?」
と、続けて零士がMP5用の、9mmパラベラム弾が充填された三〇連発の弾倉を幾つも投げてくるものだから、ノエルはまた慌てふためいてそれを受け取る。全部何とか掴み取った彼女が「あのねえ……」と肩を竦めるのは、疲れからだろうか。それとも、零士に対する呆れからだろうか。
「それでノエル、肝心の使い方は?」
「MP5だよね? なら、一通りは」
「だったら問題なし、だ」
頷くノエルに零士はニヤリと笑みを返しながら、ベネリM4の自動ショットガンを片手に立ち上がった。12ゲージ径のショットシェルを使う、イタリア製の名銃だ。これもまた死骸から剥ぎ取った物だろうことは、考えるまでもなく明らかだった。
『用は済んだかい? なら早めにその場から離れてくれ。階下から敵が大挙して押し寄せてきている』
「了解だ」と、零士がインカムに向けて頷き返す。
「ノエル、急ごう。出来る限りドンパチにならないことを祈りたいが」
「どう考えたってそうはならないことが、辛いところだね」
「全くだよ、泣かせる話だぜ」
二人はそれぞれの拳銃を一旦収め、奪い取った自動ショットガンとサブ・マシーンガンを手にまた走り出す。ターゲットの二人、ジルベール・シャンペーニュとベアトリス・ブランシャールが待ち構える応接間までは、まだまだ道のりは遠そうだ。
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