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第三章『アイランド・クライシス/少年少女たちの一番暑い夏』
Int.08:英雄たち、疲れた瞳が見通すは彼らの往き着くその果てを
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「な、何よそれぇーっ!?」
そんな二機の白い獣の戦いに種明かしがされると、こういった具合に唖然とした顔でズッ転けそうな勢いで叫ぶのは、案の定というかステラだった。
「あは、ははは……」
オーマイゴッドと言わんばかりに大げさな手振りをするステラに、彼女の隣に立つエマが苦笑いをする。
「それにしても、中身が瀬那だったとはね。僕も予想外だったよ……」
「そんなの、予想外も何もありゃしないわよっ! あんな……あんなので出てこられたら、誰だって伝説の白い死神だと思うっての!」
「ははは……」
まあ、そうだよね――――。
相変わらずの大げさな身振り手振りで言うステラに苦笑いしつつ、しかし内心ではエマも彼女の言葉に同意していた。
(おいそれと出て行くワケにはいかない立場だってのは、分かるけどね……。それにしたって冗談が過ぎるよ、教官)
「……ま、でも良いもの見せて貰ったわ。やっぱり瀬那もやるじゃない。カズマ相手に互角以上で渡り合うなんて」
「だね」やっとこさ平静を取り戻したステラの言葉に、エマが頷く。
「剣技の面から見れば、完全にカズマの上を行ってたっぽいね。まあ、制限抜きで戦えばどっちが勝つか分かんないけど」
「流石にカズマの師匠ってだけはあるわ。ホント、なんで武闘大会出なかったのかしらね?」
「さあ? 瀬那は瀬那で、何か思うところがあったんじゃないかな。部外者の僕には、ちょっと分かんないけど」
「あ、そうだエマ」
「ん?」ハッと何かを思い出したようなステラの方にエマが振り向けば、彼女もまたこっちに横目の視線を流しながらこう言う。
「そういえば、アンタの方は良いワケ? こっちのA組で油なんか売っちゃってて、大丈夫なの?」
「あー、それなら問題ないよ」
エマは半笑いでそう即答すると、その後でこう続けた。
「僕は一応フランス軍の正規軍人だし、今更的撃ちの練習をする必要もあんまりないからね。後でカズマたちみたいに、≪シュペール・ミラージュ≫を使って模範演武はするらしいけれど……」
本来、C組であるエマはここに居ていい人間じゃない。とはいえ今日はA組とC組が合同でこの演習場を使用するということで、彼女はここに居るのだ。今彼女が自ら言った通り、エマに課せられていることといえばC組での模範演武ぐらいしかない。だからまあ、それまでの暇を潰しに来ているというのが本音だった。
「――――アジャーニ少尉、機体の準備が整いました。時間も近いですので、そろそろこちらに」
ともしていれば、まるでタイミングを見計らったかのように整備兵の一人がそう、エマに声を掛けてくる。
「分かった、すぐに行くよ」
駆け寄ってきた整備兵に頷き返したエマは、「じゃあ、そういうことだから。僕はそろそろ行くよ」と言って、ヘッド・ギア片手に歩き去ろうとする。
「はいはい、行ってらっしゃいな。暇だったら、アンタのも見に行ってあげるから」
そんなエマの背中を横目に眺めながら、片手を腰に当てたステラが相変わらずの調子で言う。するとエマは「あははは」と笑いながら、
「楽しみにしておくよ。カズマにはよろしく言っておいて貰えるかな?」
「分かった分かった、さっさと行きなさい。時間、あんまり無いんでしょ?」
「じゃ、後はよろしく」
そう言って、後ろ手に振りながらエマは歩き去って行く。トレーラーに戻る純白の≪閃電≫・タイプFの姿を横目に眺めながら、エマはその場を後にしていった。
「はははは、見たか錦戸! あの驚いた弥勒寺の顔! ふはははは」
一方、演習場の片隅にひっそりと佇む国防陸軍の82式指揮通信車。森林迷彩に塗装されたその車両の内部で、椅子に腰掛けながらモニタを眺める西條が傍らに控えて立つ錦戸に向け、至極愉快そうにそう言っていた。
「少佐……。ドッキリにしては少し、悪趣味が過ぎませんかな?」
「良いんだよ、錦戸。たまにはこういうことしてやらにゃ、アイツらも気がたるんでくるだろ?」
「はあ……」
至極上機嫌そうな西條の言葉を耳に挟みながら、困った顔を浮かべる錦戸。とはいえ錦戸も長年≪ブレイド・ダンサーズ≫の副官として、いやそれ以前から西條との付き合いがあるせいか、なんだかんだ慣れというものはある。今回のように西條が仕掛ける、少し斜め上な方向性の悪戯めいたことだって、今に始まったことじゃない。
「それにしても、瀬那の奴も案外やるじゃないか。色を塗り替えただけのハッタリ仕様な≪叢雲≫で、弥勒寺のタイプFと互角以上に渡り合うとは」
「流石は、免許皆伝の腕前ということでしょうか」
「だな」錦戸の言葉に、頷く西條。「昔、アイツが小さかった頃に気まぐれでTAMSの扱いを少しだけ教えたことがある。もしかしたら、それが生きたのかもな」
「弥勒寺くんに、今度は綾崎さんですか。今回の子たちは、中々に有望な子が多いようで」
「あの二人は、特別だよ」
そう言いながら、西條は白衣の胸ポケットからマールボロ・ライトの煙草を取り出そうとする。
「車内禁煙ですよ、少佐」
が、錦戸にそう見咎められれば、「チッ」と小さく舌を打ちながら手を引っ込めることしか出来ない。
「ったく、少しは見逃せよ、錦戸」
「いいえ、見逃せません」
「相変わらず頭が硬いな、お前は」
「少佐が自由奔放過ぎるんです」
「……ふっ」
こんな馬鹿みたいなやり取りも、錦戸が相手だと妙な安心感を覚えてしまう。それは彼と西條が長年の付き合いだからか、それとも錦戸が嘗ての≪ブレイド・ダンサーズ≫、その最後の生き残りだからなのか……。
何にせよ、この士官学校内に於いて、西條にとって彼以上に信用できる存在などアリはしない。だからなのか、他愛のない話であろうと、錦戸が相手の時だけは肩肘を張らず、落ち着いていられた。
「して、あの二人が特別だというのは、どういうことで?」
話を元に戻すみたいに錦戸に訊かれ、西條は「ん? ……ああ」と一呼吸置くと、それから話を始めた。
「瀬那のお家事情は、お前も知っての通りだ」
「はい」相槌を打つ錦戸。
「弥勒寺も似たような具合だってのは、前にも話したよな?」
「ええ、存じております。彼の家も、綾崎さんほどではないにしろ、そういう所だとか」
「ああ、そうだ」その言葉を肯定してから、西條は続ける。
「アイツの家も、何不自由なく暮らせる程度にはアレな家柄だ。本来、徴兵を回避する手段がある程度にはな」
「では、何故彼はここに?」
「簡単だよ」錦戸の方を向きながら、人差し指を一本、上に向け突き立てながら西條が言う。
「アイツ自身が、それを望んだからさ」
「望んだ? 何をです」
「力だよ」
「力?」
「ああ」頷く西條。「アイツが求めてるのは、絶対的な強さだ」
「絶対的な強さ、ですか……」
「何処かで、聞いたことがあるだろう?」
「ええ」至極感慨深そうに、錦戸が頷いた。「昔の貴女も、同じようなことを仰っていました」
「だから、私はアイツが放っとけなくなったのさ。昔の私自身と、重なってしまってな……」
「故に、彼が特別だと?」
「ああ、だがそれだけじゃない」
椅子から立ち上がり、その後ろに回った西條は椅子の背もたれに背中を預けるように寄りかかりながら、腕を組み軽く上を見上げてみた。遠い眼をする視線は、指揮通信車の天井は見ていない。更にその向こうの、虚空を見渡すような眼をしていた。
「アイツに、才能があるとは前に言ったな?」
「ええ。弥勒寺くんには、スーパー・エースたり得る素質があると」
「だからだよ。その才能を見出したからこそ、私はアイツをわざわざあの家からここまで引っ張り上げた。でなけりゃ、戦場に出なくて済むような奴を、わざわざここまで引っ張り上げるようなこと、するか?」
「しませんな」
錦戸はそう言った後で、少しの沈黙を置いてからこう、小さく呟くように続けた。
「……しかし、宜しかったのですか?」
「何がだ?」
「彼を、こっちの世界に来させてしまって。少佐、貴女は彼がこちら側に来ない為に――――」
「それ以上言うな、錦戸」
何かを言い掛けた錦戸だったが、しかしそう言う西條が横目に流す視線に気圧され、そこまでで言葉を紡ぐのをやめてしまう。それ程までに西條の視線は鋭く、それでいて底知れぬ何かがあった。
「これは、アイツ自身が決めたことだ。アイツが決めたことなら、私は全力でそれを手伝ってやるまでのことだ。
…………こんな、こんな立場にある私でも。まだ死神を名乗っていられるのなら、せめてそれぐらいのことはしてやりたいのさ――――」
言い終えると、西條は小さく溜息をつく。肩を竦めながら、まるで憂鬱なものを吐き捨てるかのように。
「さてと、そろそろこんな陰気なところに籠もりっきりなのも飽きてきた。一服させて貰うとしよう。――――錦戸、お前も付き合え」
すると西條はそう言って背中を椅子から離れさせると、指揮通信車を出ようとハッチの方に歩き出す。
「ええ、勿論。お供しますとも、少佐」
それに錦戸はフッと小さく笑うと、彼女の後を追って自分も歩き出した。
「少佐はやめろと、何度言わせる?」
辟易したような調子でそう言う西條だったが、しかしその横顔は何処か嬉しげでもあった。
そんな二機の白い獣の戦いに種明かしがされると、こういった具合に唖然とした顔でズッ転けそうな勢いで叫ぶのは、案の定というかステラだった。
「あは、ははは……」
オーマイゴッドと言わんばかりに大げさな手振りをするステラに、彼女の隣に立つエマが苦笑いをする。
「それにしても、中身が瀬那だったとはね。僕も予想外だったよ……」
「そんなの、予想外も何もありゃしないわよっ! あんな……あんなので出てこられたら、誰だって伝説の白い死神だと思うっての!」
「ははは……」
まあ、そうだよね――――。
相変わらずの大げさな身振り手振りで言うステラに苦笑いしつつ、しかし内心ではエマも彼女の言葉に同意していた。
(おいそれと出て行くワケにはいかない立場だってのは、分かるけどね……。それにしたって冗談が過ぎるよ、教官)
「……ま、でも良いもの見せて貰ったわ。やっぱり瀬那もやるじゃない。カズマ相手に互角以上で渡り合うなんて」
「だね」やっとこさ平静を取り戻したステラの言葉に、エマが頷く。
「剣技の面から見れば、完全にカズマの上を行ってたっぽいね。まあ、制限抜きで戦えばどっちが勝つか分かんないけど」
「流石にカズマの師匠ってだけはあるわ。ホント、なんで武闘大会出なかったのかしらね?」
「さあ? 瀬那は瀬那で、何か思うところがあったんじゃないかな。部外者の僕には、ちょっと分かんないけど」
「あ、そうだエマ」
「ん?」ハッと何かを思い出したようなステラの方にエマが振り向けば、彼女もまたこっちに横目の視線を流しながらこう言う。
「そういえば、アンタの方は良いワケ? こっちのA組で油なんか売っちゃってて、大丈夫なの?」
「あー、それなら問題ないよ」
エマは半笑いでそう即答すると、その後でこう続けた。
「僕は一応フランス軍の正規軍人だし、今更的撃ちの練習をする必要もあんまりないからね。後でカズマたちみたいに、≪シュペール・ミラージュ≫を使って模範演武はするらしいけれど……」
本来、C組であるエマはここに居ていい人間じゃない。とはいえ今日はA組とC組が合同でこの演習場を使用するということで、彼女はここに居るのだ。今彼女が自ら言った通り、エマに課せられていることといえばC組での模範演武ぐらいしかない。だからまあ、それまでの暇を潰しに来ているというのが本音だった。
「――――アジャーニ少尉、機体の準備が整いました。時間も近いですので、そろそろこちらに」
ともしていれば、まるでタイミングを見計らったかのように整備兵の一人がそう、エマに声を掛けてくる。
「分かった、すぐに行くよ」
駆け寄ってきた整備兵に頷き返したエマは、「じゃあ、そういうことだから。僕はそろそろ行くよ」と言って、ヘッド・ギア片手に歩き去ろうとする。
「はいはい、行ってらっしゃいな。暇だったら、アンタのも見に行ってあげるから」
そんなエマの背中を横目に眺めながら、片手を腰に当てたステラが相変わらずの調子で言う。するとエマは「あははは」と笑いながら、
「楽しみにしておくよ。カズマにはよろしく言っておいて貰えるかな?」
「分かった分かった、さっさと行きなさい。時間、あんまり無いんでしょ?」
「じゃ、後はよろしく」
そう言って、後ろ手に振りながらエマは歩き去って行く。トレーラーに戻る純白の≪閃電≫・タイプFの姿を横目に眺めながら、エマはその場を後にしていった。
「はははは、見たか錦戸! あの驚いた弥勒寺の顔! ふはははは」
一方、演習場の片隅にひっそりと佇む国防陸軍の82式指揮通信車。森林迷彩に塗装されたその車両の内部で、椅子に腰掛けながらモニタを眺める西條が傍らに控えて立つ錦戸に向け、至極愉快そうにそう言っていた。
「少佐……。ドッキリにしては少し、悪趣味が過ぎませんかな?」
「良いんだよ、錦戸。たまにはこういうことしてやらにゃ、アイツらも気がたるんでくるだろ?」
「はあ……」
至極上機嫌そうな西條の言葉を耳に挟みながら、困った顔を浮かべる錦戸。とはいえ錦戸も長年≪ブレイド・ダンサーズ≫の副官として、いやそれ以前から西條との付き合いがあるせいか、なんだかんだ慣れというものはある。今回のように西條が仕掛ける、少し斜め上な方向性の悪戯めいたことだって、今に始まったことじゃない。
「それにしても、瀬那の奴も案外やるじゃないか。色を塗り替えただけのハッタリ仕様な≪叢雲≫で、弥勒寺のタイプFと互角以上に渡り合うとは」
「流石は、免許皆伝の腕前ということでしょうか」
「だな」錦戸の言葉に、頷く西條。「昔、アイツが小さかった頃に気まぐれでTAMSの扱いを少しだけ教えたことがある。もしかしたら、それが生きたのかもな」
「弥勒寺くんに、今度は綾崎さんですか。今回の子たちは、中々に有望な子が多いようで」
「あの二人は、特別だよ」
そう言いながら、西條は白衣の胸ポケットからマールボロ・ライトの煙草を取り出そうとする。
「車内禁煙ですよ、少佐」
が、錦戸にそう見咎められれば、「チッ」と小さく舌を打ちながら手を引っ込めることしか出来ない。
「ったく、少しは見逃せよ、錦戸」
「いいえ、見逃せません」
「相変わらず頭が硬いな、お前は」
「少佐が自由奔放過ぎるんです」
「……ふっ」
こんな馬鹿みたいなやり取りも、錦戸が相手だと妙な安心感を覚えてしまう。それは彼と西條が長年の付き合いだからか、それとも錦戸が嘗ての≪ブレイド・ダンサーズ≫、その最後の生き残りだからなのか……。
何にせよ、この士官学校内に於いて、西條にとって彼以上に信用できる存在などアリはしない。だからなのか、他愛のない話であろうと、錦戸が相手の時だけは肩肘を張らず、落ち着いていられた。
「して、あの二人が特別だというのは、どういうことで?」
話を元に戻すみたいに錦戸に訊かれ、西條は「ん? ……ああ」と一呼吸置くと、それから話を始めた。
「瀬那のお家事情は、お前も知っての通りだ」
「はい」相槌を打つ錦戸。
「弥勒寺も似たような具合だってのは、前にも話したよな?」
「ええ、存じております。彼の家も、綾崎さんほどではないにしろ、そういう所だとか」
「ああ、そうだ」その言葉を肯定してから、西條は続ける。
「アイツの家も、何不自由なく暮らせる程度にはアレな家柄だ。本来、徴兵を回避する手段がある程度にはな」
「では、何故彼はここに?」
「簡単だよ」錦戸の方を向きながら、人差し指を一本、上に向け突き立てながら西條が言う。
「アイツ自身が、それを望んだからさ」
「望んだ? 何をです」
「力だよ」
「力?」
「ああ」頷く西條。「アイツが求めてるのは、絶対的な強さだ」
「絶対的な強さ、ですか……」
「何処かで、聞いたことがあるだろう?」
「ええ」至極感慨深そうに、錦戸が頷いた。「昔の貴女も、同じようなことを仰っていました」
「だから、私はアイツが放っとけなくなったのさ。昔の私自身と、重なってしまってな……」
「故に、彼が特別だと?」
「ああ、だがそれだけじゃない」
椅子から立ち上がり、その後ろに回った西條は椅子の背もたれに背中を預けるように寄りかかりながら、腕を組み軽く上を見上げてみた。遠い眼をする視線は、指揮通信車の天井は見ていない。更にその向こうの、虚空を見渡すような眼をしていた。
「アイツに、才能があるとは前に言ったな?」
「ええ。弥勒寺くんには、スーパー・エースたり得る素質があると」
「だからだよ。その才能を見出したからこそ、私はアイツをわざわざあの家からここまで引っ張り上げた。でなけりゃ、戦場に出なくて済むような奴を、わざわざここまで引っ張り上げるようなこと、するか?」
「しませんな」
錦戸はそう言った後で、少しの沈黙を置いてからこう、小さく呟くように続けた。
「……しかし、宜しかったのですか?」
「何がだ?」
「彼を、こっちの世界に来させてしまって。少佐、貴女は彼がこちら側に来ない為に――――」
「それ以上言うな、錦戸」
何かを言い掛けた錦戸だったが、しかしそう言う西條が横目に流す視線に気圧され、そこまでで言葉を紡ぐのをやめてしまう。それ程までに西條の視線は鋭く、それでいて底知れぬ何かがあった。
「これは、アイツ自身が決めたことだ。アイツが決めたことなら、私は全力でそれを手伝ってやるまでのことだ。
…………こんな、こんな立場にある私でも。まだ死神を名乗っていられるのなら、せめてそれぐらいのことはしてやりたいのさ――――」
言い終えると、西條は小さく溜息をつく。肩を竦めながら、まるで憂鬱なものを吐き捨てるかのように。
「さてと、そろそろこんな陰気なところに籠もりっきりなのも飽きてきた。一服させて貰うとしよう。――――錦戸、お前も付き合え」
すると西條はそう言って背中を椅子から離れさせると、指揮通信車を出ようとハッチの方に歩き出す。
「ええ、勿論。お供しますとも、少佐」
それに錦戸はフッと小さく笑うと、彼女の後を追って自分も歩き出した。
「少佐はやめろと、何度言わせる?」
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