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Chapter-03『BLACK EXECUTER』
第一章:戸惑い、揺れ動く紅蓮の乙女/06
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「ふぅーっ……!」
睨み合ったのは、僅か数秒。
アンジェはタイミングを見計らい、バンッと強く踏み込んで飛翔。地を這うような低空で滑空しながら、両腰のスラスターを吹かして更に加速しつつ……トータス・バンディット、その懐へと潜り込む。
そんなアンジェの速度は、ミラージュフォームだったさっきまでとは比べようもないほどに低速だ。
だが、鈍重なトータスにはそれでも反応しきれない。そして今のアンジェ、スカーレットフォームとなった彼女は自慢の速度を犠牲にした分、より打たれ強く……より重い一撃を叩き込めるようになっている。
故に、今の彼女の拳から繰り出される一撃は、先程までの比ではない。万物を打ち砕き、未来への突破口を切り拓く彼女の一撃を……果たして異形の怪人は耐えきれるのか。耐えきるだけの覚悟が、あるのか。
「でやぁぁぁぁぁぁっ!!」
着地、踏み込み、同時に一撃。
振りかぶった左のストレート。格闘武装スカーレット・フィストに包まれた彼女の左の拳がトータスへと迫る。
「――――!!」
だがその数瞬前、本能的な危機を察知したトータスは咄嗟に後ろを向き、背中に背負った強固な甲羅をアンジェに晒した。
――――貫けるか。
いいや、貫き通す。構うものか、この拳で……この覚悟で貫けぬものなど、何も無いのだから。
そう信じる限り……自分を信じている限り、突破口は必ず開ける。魂を込めた、この一撃でならば。
「だぁぁぁぁぁぁっ!!」
「――――!?」
激突。
インパクトの衝撃で激しく火花を散らす彼女の左拳、そしてスカーレット・フィスト。その拳は真っ直ぐにトータスの甲羅を捉え、激突し。そして――――貫き通していた。
「やった……!」
苦悶の唸り声を上げるトータスが何歩もたたらを踏む中、アンジェは貫き通したトータスの甲羅から左腕を引き抜く。
――――やれる。
この拳でなら、スカーレットフォームでの一撃なら、この硬い相手も貫ける。
「だったら、すぐに終わらせる……!」
そう確信し、飛び退いて一旦間合いを取ったアンジェが、弱ったトータスにトドメを刺すべく必殺の一撃を……『スカーレット・インパクト』を叩き込もうと再び構えを取り直した、その瞬間だった。
「――――重装転身!」
何者かのそんな声が聞こえてきたかと思えば――――この場に乱入してきた三人目の神姫が、トータスに横から飛び蹴りを喰らわせて吹っ飛ばしてしまったのは。
「君は……!?」
驚き唖然とするアンジェの視界の中、現れたのは……真っ赤なツーサイドアップの髪を翻す、赤と黒の神姫。
「――――バンディットは全部、このアタシが討ち滅ぼす。もうアンタたちに戦わせたりしない! だから、アンタたちは……引っ込んでなさい!!」
現れた重装甲の神姫の名は、神姫ガーネット・フェニックス。
他でもない彼女――――セラフィナ・マックスウェルが、この場に乱入してきた三人目の神姫だった。
睨み合ったのは、僅か数秒。
アンジェはタイミングを見計らい、バンッと強く踏み込んで飛翔。地を這うような低空で滑空しながら、両腰のスラスターを吹かして更に加速しつつ……トータス・バンディット、その懐へと潜り込む。
そんなアンジェの速度は、ミラージュフォームだったさっきまでとは比べようもないほどに低速だ。
だが、鈍重なトータスにはそれでも反応しきれない。そして今のアンジェ、スカーレットフォームとなった彼女は自慢の速度を犠牲にした分、より打たれ強く……より重い一撃を叩き込めるようになっている。
故に、今の彼女の拳から繰り出される一撃は、先程までの比ではない。万物を打ち砕き、未来への突破口を切り拓く彼女の一撃を……果たして異形の怪人は耐えきれるのか。耐えきるだけの覚悟が、あるのか。
「でやぁぁぁぁぁぁっ!!」
着地、踏み込み、同時に一撃。
振りかぶった左のストレート。格闘武装スカーレット・フィストに包まれた彼女の左の拳がトータスへと迫る。
「――――!!」
だがその数瞬前、本能的な危機を察知したトータスは咄嗟に後ろを向き、背中に背負った強固な甲羅をアンジェに晒した。
――――貫けるか。
いいや、貫き通す。構うものか、この拳で……この覚悟で貫けぬものなど、何も無いのだから。
そう信じる限り……自分を信じている限り、突破口は必ず開ける。魂を込めた、この一撃でならば。
「だぁぁぁぁぁぁっ!!」
「――――!?」
激突。
インパクトの衝撃で激しく火花を散らす彼女の左拳、そしてスカーレット・フィスト。その拳は真っ直ぐにトータスの甲羅を捉え、激突し。そして――――貫き通していた。
「やった……!」
苦悶の唸り声を上げるトータスが何歩もたたらを踏む中、アンジェは貫き通したトータスの甲羅から左腕を引き抜く。
――――やれる。
この拳でなら、スカーレットフォームでの一撃なら、この硬い相手も貫ける。
「だったら、すぐに終わらせる……!」
そう確信し、飛び退いて一旦間合いを取ったアンジェが、弱ったトータスにトドメを刺すべく必殺の一撃を……『スカーレット・インパクト』を叩き込もうと再び構えを取り直した、その瞬間だった。
「――――重装転身!」
何者かのそんな声が聞こえてきたかと思えば――――この場に乱入してきた三人目の神姫が、トータスに横から飛び蹴りを喰らわせて吹っ飛ばしてしまったのは。
「君は……!?」
驚き唖然とするアンジェの視界の中、現れたのは……真っ赤なツーサイドアップの髪を翻す、赤と黒の神姫。
「――――バンディットは全部、このアタシが討ち滅ぼす。もうアンタたちに戦わせたりしない! だから、アンタたちは……引っ込んでなさい!!」
現れた重装甲の神姫の名は、神姫ガーネット・フェニックス。
他でもない彼女――――セラフィナ・マックスウェルが、この場に乱入してきた三人目の神姫だった。
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