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Sortie-01:黒翼の舞う空
第十五章:迎撃‐インターセプト‐/04
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「…………ったく」
格納庫の壁に据えられた通信装置から離れ、独り小さく毒づく南を横目に。パイロット・スーツ姿で座り込んだままの翔一は「状況は……良くないのか」と彼に声を掛ける。
すると、南はチラリと横目に彼を見つつ「ああ」と頷いた。その後で「かなりな」とも付け加える。
「おっさん曰く、アリサちゃんが孤立させられて、クロウ隊がかなりヤベえ状況になってるらしい」
「アリサが……!?」
「ああ、心配するこたあねえよ。アリサちゃんはそれぐらいで簡単に墜ちるようなタマじゃねえ。……だがまあ、クロウ隊が全滅しちまったら、流石にアリサちゃんでもヤベえかもな」
「……僕に、出来ることは」
「ねえよ、何もな」
座り込み、俯く翔一に対して、南はまるで突き放すようにそう告げる。
だが彼の横で、翔一はギリギリと悔しそうに強く歯噛みをしていて。そんな彼を横目でチラリと見ると……南は「はぁーっ……」と大きな溜息をつき。やれやれといった風に肩を竦めながら、後頭部をボリボリと掻きながらで、ボソリとこう呟いた。
「……手段が、無いワケじゃあねえ」
「どういうことだ……?」
「機体はあるんだよ。肝心のパイロットが居ねえだけで」
「…………!!」
パイロットが居ないだけで、機体はある。
南がボソリと呟いた、その言葉の意味する真なる部分を察すると。翔一はハッと眼を見開き、座り込んでいた格好から思わずバッと立ち上がる。
そんな彼に、南はまるで釘を刺すように続けて言い放った。
「いいか? 今から俺が言うのは全部独り言だ。誰に話してるワケでもねえ、俺っちの単なる独り言。
…………ファルコンクロウの隊長機、もっつぁんの予備機がな、たまたまフル装備で転がってんだよ。誰が何の為にミサイルまでフル装備してやがんのかは知らねえけど、後は乗っちまえばいつでも飛び出せる状態らしいぜ」
――――それが、さっき言っていた「割の良い保険」とやらか。
彼曰く「独り言」らしい呟きを聞いて、さっき彼自身が言っていた言葉の真意を察すると、翔一はフッと小さく薄い笑みを浮かべる。南一誠という男、普段はおちゃらけていて、何も考えていない単純頭に見えても……これでいて、意外と食えない男らしい。
「俺は何も知らねえし、なーんにも関与しねえ。隣の格納庫に転がってるらしいけどよ、誰がその予備機を勝手に持ち出そうが、おっさんに雷落とされて始末書を書くのは、全部ソイツ一人だ。俺ァ始末書なんざ御免だからな、面倒くせえ」
「……すまない、南。恩に着る…………!!」
ボリボリと後頭部を掻きながら、明後日の方角を向いてひとりごちる南に礼を言い。翔一は傍らに転がしておいたヘルメットを引っ掴むと、それを片手に隣の格納庫に向かって駆け出していく。
そんな、遠ざかっていく彼の背中を、南は「あんちゃん!」と叫んで呼び止めた。立ち止まり、振り向く翔一。
「アリサちゃんを……頼んだぜ。あの娘は単に意地っ張りなだけなんだ。ああ見えて……根っこのトコはよ、どうしようもなく寂しいんだ。それがあの娘にとっての、アリサちゃんにとっての致命的な隙になっちまってる。
そんなアリサちゃんの、ぽっかり空いた心の隙間を埋められるのは……ひょっとしたら、翔一。オメーなのかもしれねえな」
フッと不敵に笑む南の顔を遠目に見て、翔一もまた微かな笑みを返し。見送る彼にこう告げる。
「…………必ず、アリサを連れて帰る。二人で一緒に、仲良く要さんに説教されるとするさ」
「ああ、男の約束だぜ。……気を付けな、一応は初陣なんだからよ」
「……ああ!」
駆け出していく翔一の遠ざかっていく背中を、ヘッと笑いながら南は見送る。どうか彼の空にも幸運があらんことを、胸中にて静かに祈りつつ。
格納庫の壁に据えられた通信装置から離れ、独り小さく毒づく南を横目に。パイロット・スーツ姿で座り込んだままの翔一は「状況は……良くないのか」と彼に声を掛ける。
すると、南はチラリと横目に彼を見つつ「ああ」と頷いた。その後で「かなりな」とも付け加える。
「おっさん曰く、アリサちゃんが孤立させられて、クロウ隊がかなりヤベえ状況になってるらしい」
「アリサが……!?」
「ああ、心配するこたあねえよ。アリサちゃんはそれぐらいで簡単に墜ちるようなタマじゃねえ。……だがまあ、クロウ隊が全滅しちまったら、流石にアリサちゃんでもヤベえかもな」
「……僕に、出来ることは」
「ねえよ、何もな」
座り込み、俯く翔一に対して、南はまるで突き放すようにそう告げる。
だが彼の横で、翔一はギリギリと悔しそうに強く歯噛みをしていて。そんな彼を横目でチラリと見ると……南は「はぁーっ……」と大きな溜息をつき。やれやれといった風に肩を竦めながら、後頭部をボリボリと掻きながらで、ボソリとこう呟いた。
「……手段が、無いワケじゃあねえ」
「どういうことだ……?」
「機体はあるんだよ。肝心のパイロットが居ねえだけで」
「…………!!」
パイロットが居ないだけで、機体はある。
南がボソリと呟いた、その言葉の意味する真なる部分を察すると。翔一はハッと眼を見開き、座り込んでいた格好から思わずバッと立ち上がる。
そんな彼に、南はまるで釘を刺すように続けて言い放った。
「いいか? 今から俺が言うのは全部独り言だ。誰に話してるワケでもねえ、俺っちの単なる独り言。
…………ファルコンクロウの隊長機、もっつぁんの予備機がな、たまたまフル装備で転がってんだよ。誰が何の為にミサイルまでフル装備してやがんのかは知らねえけど、後は乗っちまえばいつでも飛び出せる状態らしいぜ」
――――それが、さっき言っていた「割の良い保険」とやらか。
彼曰く「独り言」らしい呟きを聞いて、さっき彼自身が言っていた言葉の真意を察すると、翔一はフッと小さく薄い笑みを浮かべる。南一誠という男、普段はおちゃらけていて、何も考えていない単純頭に見えても……これでいて、意外と食えない男らしい。
「俺は何も知らねえし、なーんにも関与しねえ。隣の格納庫に転がってるらしいけどよ、誰がその予備機を勝手に持ち出そうが、おっさんに雷落とされて始末書を書くのは、全部ソイツ一人だ。俺ァ始末書なんざ御免だからな、面倒くせえ」
「……すまない、南。恩に着る…………!!」
ボリボリと後頭部を掻きながら、明後日の方角を向いてひとりごちる南に礼を言い。翔一は傍らに転がしておいたヘルメットを引っ掴むと、それを片手に隣の格納庫に向かって駆け出していく。
そんな、遠ざかっていく彼の背中を、南は「あんちゃん!」と叫んで呼び止めた。立ち止まり、振り向く翔一。
「アリサちゃんを……頼んだぜ。あの娘は単に意地っ張りなだけなんだ。ああ見えて……根っこのトコはよ、どうしようもなく寂しいんだ。それがあの娘にとっての、アリサちゃんにとっての致命的な隙になっちまってる。
そんなアリサちゃんの、ぽっかり空いた心の隙間を埋められるのは……ひょっとしたら、翔一。オメーなのかもしれねえな」
フッと不敵に笑む南の顔を遠目に見て、翔一もまた微かな笑みを返し。見送る彼にこう告げる。
「…………必ず、アリサを連れて帰る。二人で一緒に、仲良く要さんに説教されるとするさ」
「ああ、男の約束だぜ。……気を付けな、一応は初陣なんだからよ」
「……ああ!」
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