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Sortie-02:騎士たちは西欧より来たりて
第二章:例え偽りの平穏だとしても/05
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アリサが作ってきてくれた弁当を二人で食べ終わった後も、翔一とアリサは日陰のベンチから動こうとはせず。昼休みの喧噪を遠くに聞きながら、背もたれに身体を預けたまま……ただ、ぼうっとしていた。
「……そういえば」
そうして、ごく近い距離で二人横並びに座りながら。ぼうっと空を仰いでいた翔一は、ふとした折に思い立った疑問を隣のアリサへ何気なく問うてみる。
「僕たちは榎本大尉たちみたいに……クロウ隊みたいに、アラート待機に就かなくても良いのか?」
――――アラート待機。
レギオンが突然襲来した場合に備え、いつでもスクランブル出撃が出来るように機体とパイロットが臨戦態勢で待機しておくことだ。意味合い的には、航空自衛隊や表世界の空軍が領空侵犯対策にやっていることと大した違いはない。日割りや時間割でローテーションを組んで待機に当たるのも、表世界のアラート待機と全く同じだ。
そんなアラート待機に、自分たちESPパイロットも就かなくていいのか……ということは、実は前々から翔一は疑問に思っていたのだ。
当然、翔一にアラート待機のお呼びが掛かったことは一度も無いし、仮にもベテランのエース・パイロットであるアリサも同様に、一度たりとてアラート待機に就く素振りを見せたことがない。だから前々から彼は不思議に思っていたのだが……アリサから返ってきた答えは、存外簡単なものだった。
「ああ、アタシたちESP能力者のパイロットはね、アラート待機に就く必要は全く無いのよ。だってほら、アイツらが出てくるのは……超空間ゲートが開くのは、感覚で分かるじゃない?」
「……確かに」
言われてみれば、その通りだ。
ESP能力者……というよりも、厳密に言えば超能力者だが。ともかくヒトにない特別な力を持っているアリサも翔一も、レギオンが超空間ゲートを開いた瞬間に感覚でそれを察知できてしまうのだ。最初にアリサと共鳴を起こした時のような……でもまるで違う、あの頭の中に響く耳鳴りのような甲高い感覚がそれだ。
「それに、即応で真っ先に駆けつけるのなら、アタシたちみたいなESPよりも……クロウ隊みたいに普通の連中が、頭数を揃えて出向いた方が色々とやりやすいのよ。アタシたちは確かに強力な戦力だけれど、でも戦術的には結構特殊で扱いづらい立ち位置なのよね。だから、初動は戦術的な動きが取りやすい、普通の飛行隊の方がやりやすいってワケ」
「なるほど……」
「まー、他の基地のことは知らないけれどね。でも、アタシたちのH‐Rアイランド……蓬莱島では要司令の方針で、アタシらESPパイロットはアラート待機に就かないことになっているのよ」
その分、どうしてか学院に通わされる羽目になっているけれどね――――。
最後にアリサはまるで愚痴を零すみたいにそう言って、大袈裟すぎるぐらいに肩を竦めてみせる。
「…………アリサは、学院に通うのは楽しくないのか?」
そんな彼女の様子をチラリと横目に見て、翔一が囁きかけるように細い声音で呟いた。
すると、アリサは少しだけ言い淀んだ後で「そこまでは、ね」と答え。その後で「……でも」と続け、
「アンタと……翔一とこうして、毎日過ごすのは……まあ、その、悪くないわよ?」
と、頬をほんの少しだけ朱に染めながら言った。
「……そうか、なら良かった」
真っ白い頬を小さく朱に染めた彼女に横目を流しながら、翔一が表情を綻ばせると。すると、目が合ったアリサは何故かぷいっとそっぽを向いてしまう。真っ赤になった顔を見られたのが、恥ずかしかったのかもしれない。そんな誤魔化すような仕草も、彼の眼にはどうしようもなく魅力的に映っていた。
「……そういえば」
そうして、ごく近い距離で二人横並びに座りながら。ぼうっと空を仰いでいた翔一は、ふとした折に思い立った疑問を隣のアリサへ何気なく問うてみる。
「僕たちは榎本大尉たちみたいに……クロウ隊みたいに、アラート待機に就かなくても良いのか?」
――――アラート待機。
レギオンが突然襲来した場合に備え、いつでもスクランブル出撃が出来るように機体とパイロットが臨戦態勢で待機しておくことだ。意味合い的には、航空自衛隊や表世界の空軍が領空侵犯対策にやっていることと大した違いはない。日割りや時間割でローテーションを組んで待機に当たるのも、表世界のアラート待機と全く同じだ。
そんなアラート待機に、自分たちESPパイロットも就かなくていいのか……ということは、実は前々から翔一は疑問に思っていたのだ。
当然、翔一にアラート待機のお呼びが掛かったことは一度も無いし、仮にもベテランのエース・パイロットであるアリサも同様に、一度たりとてアラート待機に就く素振りを見せたことがない。だから前々から彼は不思議に思っていたのだが……アリサから返ってきた答えは、存外簡単なものだった。
「ああ、アタシたちESP能力者のパイロットはね、アラート待機に就く必要は全く無いのよ。だってほら、アイツらが出てくるのは……超空間ゲートが開くのは、感覚で分かるじゃない?」
「……確かに」
言われてみれば、その通りだ。
ESP能力者……というよりも、厳密に言えば超能力者だが。ともかくヒトにない特別な力を持っているアリサも翔一も、レギオンが超空間ゲートを開いた瞬間に感覚でそれを察知できてしまうのだ。最初にアリサと共鳴を起こした時のような……でもまるで違う、あの頭の中に響く耳鳴りのような甲高い感覚がそれだ。
「それに、即応で真っ先に駆けつけるのなら、アタシたちみたいなESPよりも……クロウ隊みたいに普通の連中が、頭数を揃えて出向いた方が色々とやりやすいのよ。アタシたちは確かに強力な戦力だけれど、でも戦術的には結構特殊で扱いづらい立ち位置なのよね。だから、初動は戦術的な動きが取りやすい、普通の飛行隊の方がやりやすいってワケ」
「なるほど……」
「まー、他の基地のことは知らないけれどね。でも、アタシたちのH‐Rアイランド……蓬莱島では要司令の方針で、アタシらESPパイロットはアラート待機に就かないことになっているのよ」
その分、どうしてか学院に通わされる羽目になっているけれどね――――。
最後にアリサはまるで愚痴を零すみたいにそう言って、大袈裟すぎるぐらいに肩を竦めてみせる。
「…………アリサは、学院に通うのは楽しくないのか?」
そんな彼女の様子をチラリと横目に見て、翔一が囁きかけるように細い声音で呟いた。
すると、アリサは少しだけ言い淀んだ後で「そこまでは、ね」と答え。その後で「……でも」と続け、
「アンタと……翔一とこうして、毎日過ごすのは……まあ、その、悪くないわよ?」
と、頬をほんの少しだけ朱に染めながら言った。
「……そうか、なら良かった」
真っ白い頬を小さく朱に染めた彼女に横目を流しながら、翔一が表情を綻ばせると。すると、目が合ったアリサは何故かぷいっとそっぽを向いてしまう。真っ赤になった顔を見られたのが、恥ずかしかったのかもしれない。そんな誤魔化すような仕草も、彼の眼にはどうしようもなく魅力的に映っていた。
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