蒼空のイーグレット

黒陽 光

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Sortie-02:騎士たちは西欧より来たりて

第六章:騎士決闘/05

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 ――――交戦開始。
 すれ違うと、アリサ機と宗悟機は途端に機体を傾けて旋回を開始。それぞれ互い違いの方向に、大きく円を描くような軌道を取りつつ……どうにか敵機を己が射程圏内に収めようと、背中の取り合いを始める。
「チッ、流石にそう簡単に後ろは取らせてくれないか……!」
 そんな状況から、すぐさま至近距離での格闘戦へと一気にもつれ込む……かと思いきや、アリサは中々宗悟機の尻を捉えることが出来ないでいた。
『上手いこと動きやがる……! 流石に伊達じゃねえな、アリサちゃん!!』
 そして、それは宗悟も同じことだ。アリサの巧みな動きとその速さに翻弄され、彼もまたアリサ機の背中に食らい付くことが出来ないでいる。両者ともに遠い距離のまま、互いにグルグルと大きな円を描きつつ……延々と一進一退の攻防を繰り広げていた。
「アリサ、此処は一旦距離を取ろう。二人を相手にAAM‐02じゃあ決定打にはならなさそうだが……牽制程度にはなる」
「……よし、分かった! アンタの判断を信じる!!」
 今の状況、このままでは埒が明かないと翔一は判断すると、前席の彼女にそう言って。ひとまずこの尻の取り合いの状況から離脱し、距離を取ってから向きを変え……ひとまず中距離射程のAAM‐02ミサイルで牽制する手を取ろうと、彼はそうアリサに提案した。
 とすれば、アリサは二つ返事でそれを了承し。グルグルと宗悟機と一緒に円を描いていた軌道から翔一の指示通りに抜け出すと、スロットルを全開近くまで開いて急激に加速し、この場から離脱。宗悟機から一気に間合いを取る。
『……宗悟、二人は多分あの手で来るだろうね』
『だろうな。この状況、ミレーヌならどうするよ?』
『敢えてヘッドオンで同じ手を取ろうか。お互いに当たりにくくなるだろうけれど、こちらの回避率も高くなる』
『オーケィ、乗った』
 そうやってアリサ機が離れていくと、二人の判断を即座にミレーヌは察して。そんな彼女と短い言葉を交わし合った宗悟は、聡くミレーヌの意図を感じ取り……やはりアリサ機と同じように、彼女たちと真逆の方向に機体を飛ばす。
 そんな両機はお互いからそれなりに離れたところで、クッと旋回し機首の向きを一八〇度反転。アリサに宗悟、双方が兵装選択を中距離射程のAAM‐02にセットする。
「やはりそう来たか……この判断、多分ミレーヌだ」
「あのは見た目通りにしたたか・・・・よ。ああいうタイプ、ナビシートに座らせたら一番厄介だわ」
「だろうな……アリサ、ミサイルは二発一気に撃ってしまおう。発射と同時にブレイク、後は状況次第で上手くやってくれ」
「元よりそのつもりよ。……お互いにヘッドオン、それに相手が相手ですもの。まず当たらないと踏んで間違いないわ」
「あくまで牽制と仕切り直しだ。こちらも失う代わりに、あちらのAAM‐02を一発でも撃たせられるのなら、この程度は安いものだよ。仮に撃たなかったとしたら、それはそれで僕らが一気に食らい付くチャンスになる」
「そうね……よし、ロックオン! イーグレット1、FOX3フォックス・スリー!!」
 キャノピー内側に表示された、宗悟機を示す緑色のターゲット・ボックスが赤色に切り替わる。ピーッという甲高いブザー音とともにロックオンが完了すると、アリサは即座に操縦桿のウェポンレリース・ボタンを押し込んだ。
 ――――AAM‐02、二発同時発射。
『そろそろ射程だ……よし、捉えた!』
『オーライ、やってやんぜ! イーグレット2、FOX3フォックス・スリー!!』
 そして、それは宗悟たちも同様で。彼らもまたアリサ機のロックオンが完了すると、機体が積んでいた二発のAAM‐02を同時発射する。
 訓練だから、仮想空間上の話ではあるが。両機が二発ずつ放った中距離ミサイル……合計四発のAAM‐02がそれぞれの軌跡を交錯させつつ、互いのアクティヴ・レーダー誘導のシーカーが捉えた標的目掛けて凄まじい速度で飛翔していく。
「来た……! アリサ、ブレイクだ!」
「言われなくても!」
『やっぱり向こうも二発同時か……翔一くんも、中々に頭が切れるタイプのようだね』
『言ってる場合かよ、ミレーヌ! ブレイクする、舌噛むんじゃあねえぞッ!』
 アリサ機と宗悟機、両機がそれぞれのミサイルを撃ち放つと同時に大きく旋回し、回避機動を取り始めた。
 ただでさえ当たりにくいヘッドオンの状況だ。まして互いに異次元レベルの機動力を誇る≪グレイ・ゴースト≫であるのなら、射程の代わりに機動力を多少なりとも犠牲にしたAAM‐02が当たるはずもなく――――宗悟機が放った二発、アリサ機が放った二発ともに標的からは外れ、四発のミサイルがただ虚しく空を切った。
 だが、此処までは互いに読み通りだ。一旦距離を置いて中距離ミサイルで牽制したのは、あくまで千日手に陥りかけていた状況の仕切り直しでしかない。後は両機のパイロットの技量次第だ。この間合いなら、先程のように延々と逃げ続けることはお互い難しいはずだ……!
「アリサ……取れるか!?」
「やってみせるわよ、見てなさいッ!」
『さて、来るよ宗悟。この後は君次第だ』
『わぁーってらあよ! 俺を信じろ、ミレーヌ!!』
 互いに中距離ミサイルを消費し、一度離れた間合いが再び至近距離にまで接近し。アリサ機と宗悟機、二機の≪グレイ・ゴースト≫は再びの近接格闘戦、火花散らすドッグファイトへともつれ込んでいく…………!!
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