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新たなる世界
集団でギャンブルはやめとき
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マイナがギャンブル闘技場で手持ちをガンガン増やし続ける中、スロットに微笑まれなかった茶長低無ががっくりと肩を落とし、いつのまにかわたしの横で白いカップに入ったモツ煮を泣きながら食べていた。
「…うざ」
「言うな!…畜生…負けがこんで来たわ…」
「マイナと同じのに賭けたら?さっきからボロ勝ち続いてるよ?」
「いや…流れ上、それで負けたらわたしのせいにされかねないし…怖いし…」
「あー…ま、まあ…そうかも」
確かに金が賭かると人の本性が剥き出しになるというか…
マイナはアレで性格の起伏がなかなかにアレだしな…
「でもなんで脇目も振らずにスロット直行したん?色々あるのに」
「いや…確かに…なんでだろう?」
何か理由くらいあんだろくらいに思って軽く聞いたつもりだったが、茶長低無は自分にも分からないらしく首を捻っていた。
この感じは…なんとなく覚えが。
「そうか…あんたもガチャ勇者でここへ来る前の記憶無い系か…ま、レアリティは行っても星三くらいだろうけど」
「キミネェ!!」
星三発言がいたく気に食わなかったか、茶長低無が真っ赤になって怒った。
が、すぐに冷静になり、
「てことは、キミも…」
「まあ、わたしは星九くらいの封筒装飾バリバリのウルトラレアだけどね…」
わたしは溜息を吐きながら気楽そうな星三を見た。
「いちいちイラつく奴…でも、まあ。ここで無駄にやりあっても仕方ないか…正直キミに無残に殺された猊下の配下の勇者たちとも、そんな話はしてたわ。ここに来るまでの記憶がボンヤリしてるって」
「なんか表現キツくない?」
「事実でしょ」
「正当防衛!正当防衛です!」
「…まあ、確かに…猊下の命令はキミを倒す事ではあったけど…思えばそれも色々微妙だけどね」
「何が?」
茶長低無は若干、こちらをバカにしたような目で見ながら、
「だって、墓所の最後の敵を倒すのには結局キミの力を最初からアテにしてたみたいだったし。」
わからんのか?みたいな顔しやがって…
「確かに途中からは試練みたいになってたわな。意味も無く急に煽ってきたりもあったけど」
「いや…まあ…」
あれはキミが小声で悪口言ったのを聞き逃さず皆殺しにしようと…
ものすごい小さな声でそんな世迷言を言い出した茶長低無を満面の笑顔で見つめると、何故か黙った。
「聞こえるんだこのくらいで…こわ」
「命を惜しむか…ま、よかろ」
わたしはキングオブソーズをカードに戻し、カジノ車両内ににわかに満ちた緊迫した空気も和らいだ。
「で、あのペイルガンが持ってったチェス盤みたいなのは結局なんなんなん?」
「拍子抜けよねホント。わたしたちももっと何か物凄いマジックアイテムかなにかだと期待してたのに。あれは正真正銘ただのゲーム盤らしいわ。あそこに眠る王が生前一番遊んだ、っていう事らしいけど」
「はぁ」
ちょっと意味が分からなかったが、まあ骨董趣味的な観点だと価値があるのだろうな。
「あの盤の為にキミに無残に殺された大アルカナ二十二傑があまりにも不憫…」
「死なせといてやれ。ここから先の激しい戦いにはどのみちついてはこれまい…」
わたしは二枚目のアジフライがひたひたになるまでソースをかけてもらいながら、茶長低無に事実を告げた。
「かけすぎじゃないのキミ?」
「いや憧れるじゃんこういうの?」
「…分からなくも、ないけど」
噛むと先程のパリパリ感は大分ソースに塗れてしんなりと失われていたが、やはり辛いくらいに大量にかかったソースは…
「やり過ぎだわ。適量、ってのが世の中にはやっぱりあるわな」
「でしょうねえ」
茶長低無もいつのまにかモツ煮を空にし、アジフライを買っていた。ソースはあくまでも少な目だ。
「あーパリパリだわ」
満足そうに喰む茶長低無に若干の殺意を覚えた。
「ま、ギャンブルはほどほどに、っちゅうこっちゃで。この世界はどのみちガチャっちゅう一番デカイギャンブルみたいなもんもある訳やしな」
「違いないわね」
舌がびりびりしながらもソース塗れアジフライを完食し、わたしはマイナの方へ歩み寄る。
「また勝っちゃいましたー!上野着いたらお昼っからダメになるまで呑み倒しましょうねー奢りますよーえへへー」
チップの山を抱えながら満面の笑顔を浮かべるマイナが、これまで一緒にいた人間と同じ人間には見えなかった…
がっつりカジノで遊び倒し、食べ倒してから三人で客車へ戻る。
しばらくとりとめもない話をしていたが、いつしか眠っていた…
起きたのは、物凄い衝撃と共に車両間の扉に叩きつけられ、あわやアジフライをリバースしそうになった瞬間であった。
そうか、もう御徒町に着くのか…大の字の姿勢のまま扉に張り付いたままわたしはそんなことを考えていた。
わたしの横には同じく受け身を取り損ねたらしい茶長低無が無様に尻丸出しでガクガク揺れ、マイナはと言えば何も感じないかのようにふつうに横向き座席に座っている。
「なんかコツとかあるんかー!?」
叫ぶわたしに、
「確か…何レベルになったかのタイミングで、無効になるルールっぽいですよ?」
「マジか」
【大気圏再突入時の影響無効(パッシブ)】か…
「…うざ」
「言うな!…畜生…負けがこんで来たわ…」
「マイナと同じのに賭けたら?さっきからボロ勝ち続いてるよ?」
「いや…流れ上、それで負けたらわたしのせいにされかねないし…怖いし…」
「あー…ま、まあ…そうかも」
確かに金が賭かると人の本性が剥き出しになるというか…
マイナはアレで性格の起伏がなかなかにアレだしな…
「でもなんで脇目も振らずにスロット直行したん?色々あるのに」
「いや…確かに…なんでだろう?」
何か理由くらいあんだろくらいに思って軽く聞いたつもりだったが、茶長低無は自分にも分からないらしく首を捻っていた。
この感じは…なんとなく覚えが。
「そうか…あんたもガチャ勇者でここへ来る前の記憶無い系か…ま、レアリティは行っても星三くらいだろうけど」
「キミネェ!!」
星三発言がいたく気に食わなかったか、茶長低無が真っ赤になって怒った。
が、すぐに冷静になり、
「てことは、キミも…」
「まあ、わたしは星九くらいの封筒装飾バリバリのウルトラレアだけどね…」
わたしは溜息を吐きながら気楽そうな星三を見た。
「いちいちイラつく奴…でも、まあ。ここで無駄にやりあっても仕方ないか…正直キミに無残に殺された猊下の配下の勇者たちとも、そんな話はしてたわ。ここに来るまでの記憶がボンヤリしてるって」
「なんか表現キツくない?」
「事実でしょ」
「正当防衛!正当防衛です!」
「…まあ、確かに…猊下の命令はキミを倒す事ではあったけど…思えばそれも色々微妙だけどね」
「何が?」
茶長低無は若干、こちらをバカにしたような目で見ながら、
「だって、墓所の最後の敵を倒すのには結局キミの力を最初からアテにしてたみたいだったし。」
わからんのか?みたいな顔しやがって…
「確かに途中からは試練みたいになってたわな。意味も無く急に煽ってきたりもあったけど」
「いや…まあ…」
あれはキミが小声で悪口言ったのを聞き逃さず皆殺しにしようと…
ものすごい小さな声でそんな世迷言を言い出した茶長低無を満面の笑顔で見つめると、何故か黙った。
「聞こえるんだこのくらいで…こわ」
「命を惜しむか…ま、よかろ」
わたしはキングオブソーズをカードに戻し、カジノ車両内ににわかに満ちた緊迫した空気も和らいだ。
「で、あのペイルガンが持ってったチェス盤みたいなのは結局なんなんなん?」
「拍子抜けよねホント。わたしたちももっと何か物凄いマジックアイテムかなにかだと期待してたのに。あれは正真正銘ただのゲーム盤らしいわ。あそこに眠る王が生前一番遊んだ、っていう事らしいけど」
「はぁ」
ちょっと意味が分からなかったが、まあ骨董趣味的な観点だと価値があるのだろうな。
「あの盤の為にキミに無残に殺された大アルカナ二十二傑があまりにも不憫…」
「死なせといてやれ。ここから先の激しい戦いにはどのみちついてはこれまい…」
わたしは二枚目のアジフライがひたひたになるまでソースをかけてもらいながら、茶長低無に事実を告げた。
「かけすぎじゃないのキミ?」
「いや憧れるじゃんこういうの?」
「…分からなくも、ないけど」
噛むと先程のパリパリ感は大分ソースに塗れてしんなりと失われていたが、やはり辛いくらいに大量にかかったソースは…
「やり過ぎだわ。適量、ってのが世の中にはやっぱりあるわな」
「でしょうねえ」
茶長低無もいつのまにかモツ煮を空にし、アジフライを買っていた。ソースはあくまでも少な目だ。
「あーパリパリだわ」
満足そうに喰む茶長低無に若干の殺意を覚えた。
「ま、ギャンブルはほどほどに、っちゅうこっちゃで。この世界はどのみちガチャっちゅう一番デカイギャンブルみたいなもんもある訳やしな」
「違いないわね」
舌がびりびりしながらもソース塗れアジフライを完食し、わたしはマイナの方へ歩み寄る。
「また勝っちゃいましたー!上野着いたらお昼っからダメになるまで呑み倒しましょうねー奢りますよーえへへー」
チップの山を抱えながら満面の笑顔を浮かべるマイナが、これまで一緒にいた人間と同じ人間には見えなかった…
がっつりカジノで遊び倒し、食べ倒してから三人で客車へ戻る。
しばらくとりとめもない話をしていたが、いつしか眠っていた…
起きたのは、物凄い衝撃と共に車両間の扉に叩きつけられ、あわやアジフライをリバースしそうになった瞬間であった。
そうか、もう御徒町に着くのか…大の字の姿勢のまま扉に張り付いたままわたしはそんなことを考えていた。
わたしの横には同じく受け身を取り損ねたらしい茶長低無が無様に尻丸出しでガクガク揺れ、マイナはと言えば何も感じないかのようにふつうに横向き座席に座っている。
「なんかコツとかあるんかー!?」
叫ぶわたしに、
「確か…何レベルになったかのタイミングで、無効になるルールっぽいですよ?」
「マジか」
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