始める気もなかったゲームのガチャの引きが良すぎた

らふれられ

文字の大きさ
41 / 57
新たなる世界

集団でギャンブルはやめとき

しおりを挟む
マイナがギャンブル闘技場で手持ちをガンガン増やし続ける中、スロットに微笑まれなかった茶長低無ががっくりと肩を落とし、いつのまにかわたしの横で白いカップに入ったモツ煮を泣きながら食べていた。
「…うざ」
「言うな!…畜生…負けがこんで来たわ…」
「マイナと同じのに賭けたら?さっきからボロ勝ち続いてるよ?」
「いや…流れ上、それで負けたらわたしのせいにされかねないし…怖いし…」
「あー…ま、まあ…そうかも」
確かに金が賭かると人の本性が剥き出しになるというか…
マイナはアレで性格の起伏がなかなかにアレだしな…
「でもなんで脇目も振らずにスロット直行したん?色々あるのに」
「いや…確かに…なんでだろう?」
何か理由くらいあんだろくらいに思って軽く聞いたつもりだったが、茶長低無は自分にも分からないらしく首を捻っていた。
この感じは…なんとなく覚えが。
「そうか…あんたもガチャ勇者でここへ来る前の記憶無い系か…ま、レアリティは行っても星三くらいだろうけど」
「キミネェ!!」
星三発言がいたく気に食わなかったか、茶長低無が真っ赤になって怒った。
が、すぐに冷静になり、
「てことは、キミも…」
「まあ、わたしは星九くらいの封筒装飾バリバリのウルトラレアだけどね…」
わたしは溜息を吐きながら気楽そうな星三を見た。
「いちいちイラつく奴…でも、まあ。ここで無駄にやりあっても仕方ないか…正直キミに無残に殺された猊下の配下の勇者たちとも、そんな話はしてたわ。ここに来るまでの記憶がボンヤリしてるって」
「なんか表現キツくない?」
「事実でしょ」
「正当防衛!正当防衛です!」
「…まあ、確かに…猊下の命令はキミを倒す事ではあったけど…思えばそれも色々微妙だけどね」
「何が?」
茶長低無は若干、こちらをバカにしたような目で見ながら、
「だって、墓所の最後の敵を倒すのには結局キミの力を最初からアテにしてたみたいだったし。」
わからんのか?みたいな顔しやがって…
「確かに途中からは試練みたいになってたわな。意味も無く急に煽ってきたりもあったけど」
「いや…まあ…」
あれはキミが小声で悪口言ったのを聞き逃さず皆殺しにしようと…
ものすごい小さな声でそんな世迷言を言い出した茶長低無を満面の笑顔で見つめると、何故か黙った。
「聞こえるんだこのくらいで…こわ」
「命を惜しむか…ま、よかろ」
わたしはキングオブソーズをカードに戻し、カジノ車両内ににわかに満ちた緊迫した空気も和らいだ。
「で、あのペイルガンが持ってったチェス盤みたいなのは結局なんなんなん?」
「拍子抜けよねホント。わたしたちももっと何か物凄いマジックアイテムかなにかだと期待してたのに。あれは正真正銘ただのゲーム盤らしいわ。あそこに眠る王が生前一番遊んだ、っていう事らしいけど」
「はぁ」
ちょっと意味が分からなかったが、まあ骨董趣味的な観点だと価値があるのだろうな。
「あの盤の為にキミに無残に殺された大アルカナ二十二傑があまりにも不憫…」
「死なせといてやれ。ここから先の激しい戦いにはどのみちついてはこれまい…」
わたしは二枚目のアジフライがひたひたになるまでソースをかけてもらいながら、茶長低無に事実を告げた。
「かけすぎじゃないのキミ?」
「いや憧れるじゃんこういうの?」
「…分からなくも、ないけど」
噛むと先程のパリパリ感は大分ソースに塗れてしんなりと失われていたが、やはり辛いくらいに大量にかかったソースは…
「やり過ぎだわ。適量、ってのが世の中にはやっぱりあるわな」
「でしょうねえ」
茶長低無もいつのまにかモツ煮を空にし、アジフライを買っていた。ソースはあくまでも少な目だ。
「あーパリパリだわ」
満足そうに喰む茶長低無に若干の殺意を覚えた。
「ま、ギャンブルはほどほどに、っちゅうこっちゃで。この世界はどのみちガチャっちゅう一番デカイギャンブルみたいなもんもある訳やしな」
「違いないわね」
舌がびりびりしながらもソース塗れアジフライを完食し、わたしはマイナの方へ歩み寄る。
「また勝っちゃいましたー!上野着いたらお昼っからダメになるまで呑み倒しましょうねー奢りますよーえへへー」
チップの山を抱えながら満面の笑顔を浮かべるマイナが、これまで一緒にいた人間と同じ人間には見えなかった…
がっつりカジノで遊び倒し、食べ倒してから三人で客車へ戻る。
しばらくとりとめもない話をしていたが、いつしか眠っていた…
起きたのは、物凄い衝撃と共に車両間の扉に叩きつけられ、あわやアジフライをリバースしそうになった瞬間であった。
そうか、もう御徒町に着くのか…大の字の姿勢のまま扉に張り付いたままわたしはそんなことを考えていた。
わたしの横には同じく受け身を取り損ねたらしい茶長低無が無様に尻丸出しでガクガク揺れ、マイナはと言えば何も感じないかのようにふつうに横向き座席に座っている。
「なんかコツとかあるんかー!?」
叫ぶわたしに、
「確か…何レベルになったかのタイミングで、無効になるルールっぽいですよ?」
「マジか」
【大気圏再突入時の影響無効(パッシブ)】か…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...