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新たなる世界
虎牢関 その三
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虎牢関陥落!
反董卓勢からすれば朗報…になるものかと思ったら、やはり袁紹やら袁術的には曹操主体での陥落はあまり面白い事態にはならないらしく、速攻で揉め始めた。
が、当の曹操はあまりその事自体に興味なさげらしく虎牢関要塞のメインシステムを抑えた以降は特に何をするでもなく、拠点への撤退準備を始めているとの話が聞こえてきていた。
わたしとマイナは胡軫を郭嘉たちにくれてやるのと同時に、華雄はダマで連れ去る事に決め込んで、あとはこの虎牢関から上野までのルート検討をし始めていた。
虎牢関地表の街も陥落当初こそ混乱していたが、二、三日すると恐る恐るではあるが貨物船も入って来るようになっていた。
「つまり今が上野へ向かうチャンス」
わたしはハンバーガーを頬張りながら熱弁を奮う。
「華雄ちゃんもそれで良いですよね?」
「敗軍の将は語る口は持たないし、着る服も選ばんよ。…いや、だが、やはりさっきの店のワンピースはこの色よりももう少し明るい色のが良かったかな」
「迷ってましたもんねぇ。ふたつとも買えば良かったのに」
マイナと華雄は何故か、本当に何故か打ち解けていた。
華雄は華雄で現状の肉体に満足しているようでもっぱらファッション関係の質問をマイナに投げ掛け続けている。
あくまでも今現在の自分のロリ体型に映えるような衣装を要望しているようだ。マイナ的にはリアルお人形遊びになってしまっており、まあ双方それなりに幸せそうではある。
「まずまず商船の往来は戻ってますけど、流石に旅客船はまだ泊まらないですしね。具体的にここを出る手段が…」
「船ならあるぞ」
深刻そうなマイナの表情とは対称的なまでに何も考えていない表情の華雄が、ポロリと口にした。
「董相国より賜った小型艇だがな。小人数なら逆に都合が良かろう」
「大丈夫?反董卓連合から狙われない?」
「まあ狙われるわな。なんなら星から出た瞬間に撃ち落とされかねまいな。だが大気圏を突破さえ出来れば即ワープに入ってしばらくすれば上野に着くって寸法だ」
「…魅力的な高性能艇って訳?」
「そりゃ、相国直々の下賜品だからな。個人で使うにゃ過ぎた逸品よ」
わたしは華雄の口振りに余裕を感じ、
「イケる、って公算ある感じ?」
「まだこのあたりが混乱してる間ならな。お前たちは曹操と近しい訳だから、そこだけ話通せれば…まあ怖いのは孫堅くらいか。袁紹袁術の類はどうとでもなろう」
「…なるほど。無くは無いかな。出来そうかどうかも含めて、ひさびさ曹操に会って様子見するか」
ハンバーガーの包み紙を丸めながら、わたしは席を立った。
ひとり、要塞中枢…胡軫、華雄と戦ったあの場所へと向かう。曹操が占拠している今はまだ顔パスで入り込む事が許されている。
「…曹操様はお忙しいのだ、いくらお前が先の戦のMVPだとしても軽々しくは会えん。会わせるもんか!」
…許されてる…筈なんだが、おかしいな?郭嘉だけは頑として譲らない。
「嫌われたものだな。カリカリしやがって、チョコでも食うか?お前そんなだから早死にすんだよ」
揶揄を通り越して野次に近い言葉を郭嘉に投げかけ、わたしは意地悪く笑った。
「人が気にしてる天命を…まあいい、確かに短命ではおちおちお仕えもしておれんのは本当だからな。」
「ではそこのMVPも含めて、今宵は宴でも開いて慰労するとするか」
郭嘉の背後から不意にそんな声を掛けてきたのは、他ならぬ曹操その人だった。
やはり曹操を呼びたければ噂をするに限る。…ホントか?それもそれで怖いな。
「慰労の宴もありがたいんですが、そろそろわたしらはここをお暇しようかと思ってるんですが」
「まあそう急くな。それは我々も同じ事だ。上野へ行きたいんだったか。なら我らがここを引き揚げるのと一緒で良かろう?」
「そんなに近々引き揚げるので?」
「まあ遠からずだな。…お前と仲良しの郭嘉の方がよく知っておるぞ。聞いたらどうだ」
曹操は脇侍を従え笑いながら去っていった。
「「なかよして。」」
わたしと郭嘉はハモった。
「…撤収マジなん?」
ああ言われたからには。わたしはフランクに郭嘉に聞いてみた。
「…仮にそうだとして喋るかこんなトコで」
確かに。この辺…要塞司令部区画とはいえ普通に人が行き交う所でベラベラ喋り始められてもこちらも困る。
…情報の真贋の判定に。
周囲を行き交うのは基本的には曹軍だろうが、一部は胡軫司令官時代のオペレーターやらなんやらもそのまま業務に就いていたりもする。まあ引継ぎ前提だろうが、胡軫自体それほど好かれてもいなかったらしく、胡軫降伏後そのまま曹軍に入ったのも結構居たようだ。
ちらちらこちらを興味津々に眺めてくるのがいるのは、彼らにとっての関心事、この虎牢関がどうなるか、が曹操麾下随一の軍師郭嘉の口から語られるやも知れない空気が醸し出されているから…ではあるが。
「ま、そらそうだわ。そういうのはペラペラ喋って良い事じゃないわね」
「そういう事だ。まあそれより聞いたな?今宵は宴と決まったようだ。後でまたここへ来い。…ちゃんとあの小娘二人とも連れてくるんだぞ」
「えー郭嘉ロリコンだったん、ショックだわー」
「華雄だけでも連れて来い」
「バレてたか…」
まあ、そらそうか。
反董卓勢からすれば朗報…になるものかと思ったら、やはり袁紹やら袁術的には曹操主体での陥落はあまり面白い事態にはならないらしく、速攻で揉め始めた。
が、当の曹操はあまりその事自体に興味なさげらしく虎牢関要塞のメインシステムを抑えた以降は特に何をするでもなく、拠点への撤退準備を始めているとの話が聞こえてきていた。
わたしとマイナは胡軫を郭嘉たちにくれてやるのと同時に、華雄はダマで連れ去る事に決め込んで、あとはこの虎牢関から上野までのルート検討をし始めていた。
虎牢関地表の街も陥落当初こそ混乱していたが、二、三日すると恐る恐るではあるが貨物船も入って来るようになっていた。
「つまり今が上野へ向かうチャンス」
わたしはハンバーガーを頬張りながら熱弁を奮う。
「華雄ちゃんもそれで良いですよね?」
「敗軍の将は語る口は持たないし、着る服も選ばんよ。…いや、だが、やはりさっきの店のワンピースはこの色よりももう少し明るい色のが良かったかな」
「迷ってましたもんねぇ。ふたつとも買えば良かったのに」
マイナと華雄は何故か、本当に何故か打ち解けていた。
華雄は華雄で現状の肉体に満足しているようでもっぱらファッション関係の質問をマイナに投げ掛け続けている。
あくまでも今現在の自分のロリ体型に映えるような衣装を要望しているようだ。マイナ的にはリアルお人形遊びになってしまっており、まあ双方それなりに幸せそうではある。
「まずまず商船の往来は戻ってますけど、流石に旅客船はまだ泊まらないですしね。具体的にここを出る手段が…」
「船ならあるぞ」
深刻そうなマイナの表情とは対称的なまでに何も考えていない表情の華雄が、ポロリと口にした。
「董相国より賜った小型艇だがな。小人数なら逆に都合が良かろう」
「大丈夫?反董卓連合から狙われない?」
「まあ狙われるわな。なんなら星から出た瞬間に撃ち落とされかねまいな。だが大気圏を突破さえ出来れば即ワープに入ってしばらくすれば上野に着くって寸法だ」
「…魅力的な高性能艇って訳?」
「そりゃ、相国直々の下賜品だからな。個人で使うにゃ過ぎた逸品よ」
わたしは華雄の口振りに余裕を感じ、
「イケる、って公算ある感じ?」
「まだこのあたりが混乱してる間ならな。お前たちは曹操と近しい訳だから、そこだけ話通せれば…まあ怖いのは孫堅くらいか。袁紹袁術の類はどうとでもなろう」
「…なるほど。無くは無いかな。出来そうかどうかも含めて、ひさびさ曹操に会って様子見するか」
ハンバーガーの包み紙を丸めながら、わたしは席を立った。
ひとり、要塞中枢…胡軫、華雄と戦ったあの場所へと向かう。曹操が占拠している今はまだ顔パスで入り込む事が許されている。
「…曹操様はお忙しいのだ、いくらお前が先の戦のMVPだとしても軽々しくは会えん。会わせるもんか!」
…許されてる…筈なんだが、おかしいな?郭嘉だけは頑として譲らない。
「嫌われたものだな。カリカリしやがって、チョコでも食うか?お前そんなだから早死にすんだよ」
揶揄を通り越して野次に近い言葉を郭嘉に投げかけ、わたしは意地悪く笑った。
「人が気にしてる天命を…まあいい、確かに短命ではおちおちお仕えもしておれんのは本当だからな。」
「ではそこのMVPも含めて、今宵は宴でも開いて慰労するとするか」
郭嘉の背後から不意にそんな声を掛けてきたのは、他ならぬ曹操その人だった。
やはり曹操を呼びたければ噂をするに限る。…ホントか?それもそれで怖いな。
「慰労の宴もありがたいんですが、そろそろわたしらはここをお暇しようかと思ってるんですが」
「まあそう急くな。それは我々も同じ事だ。上野へ行きたいんだったか。なら我らがここを引き揚げるのと一緒で良かろう?」
「そんなに近々引き揚げるので?」
「まあ遠からずだな。…お前と仲良しの郭嘉の方がよく知っておるぞ。聞いたらどうだ」
曹操は脇侍を従え笑いながら去っていった。
「「なかよして。」」
わたしと郭嘉はハモった。
「…撤収マジなん?」
ああ言われたからには。わたしはフランクに郭嘉に聞いてみた。
「…仮にそうだとして喋るかこんなトコで」
確かに。この辺…要塞司令部区画とはいえ普通に人が行き交う所でベラベラ喋り始められてもこちらも困る。
…情報の真贋の判定に。
周囲を行き交うのは基本的には曹軍だろうが、一部は胡軫司令官時代のオペレーターやらなんやらもそのまま業務に就いていたりもする。まあ引継ぎ前提だろうが、胡軫自体それほど好かれてもいなかったらしく、胡軫降伏後そのまま曹軍に入ったのも結構居たようだ。
ちらちらこちらを興味津々に眺めてくるのがいるのは、彼らにとっての関心事、この虎牢関がどうなるか、が曹操麾下随一の軍師郭嘉の口から語られるやも知れない空気が醸し出されているから…ではあるが。
「ま、そらそうだわ。そういうのはペラペラ喋って良い事じゃないわね」
「そういう事だ。まあそれより聞いたな?今宵は宴と決まったようだ。後でまたここへ来い。…ちゃんとあの小娘二人とも連れてくるんだぞ」
「えー郭嘉ロリコンだったん、ショックだわー」
「華雄だけでも連れて来い」
「バレてたか…」
まあ、そらそうか。
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