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第十四話 初めての選択
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「執行者……?」
彼の口にした言葉を私は疑問としてそのまま口にしていた。
「ええ。私は執行者、簡単に言えば魔法に関する問題が起きた際にその調査や対応など問題の解決をするのが仕事の一つです」
彼はそう説明を行うと深く一礼する。
「私は現在不正な魔装具についての調査の任にも就いています。ですので先程お話しをしました通り、ご友人が所持している不正魔装具の回収、そしてその出所を突き止めたいと考えています」
「って事は、この村に来たのもその件でウルを疑って後を着いてきたんですか?」
「いえ、この村を訪れたのは完全に私用です。とある届け物と、世話になっている方への挨拶をしに来たのですよ。
昨日アメリー嬢の家を私が訪れた事は覚えていますね?その際入れ替わりでウル様とすれ違ったのですが、その時に彼女から怪しい気配……言わば魔法の残滓とでも言いましょうか、そんな気配を感じました」
思い返してみれば確かにカトルさんはちょうどウルと入れ替わるようなタイミングでアメリーの家を訪れていた。
「その後話の途中でエーナ様が気を失ってベッドへ運んだ後にアメリー嬢にご友人であるウル様の事をいろいろと伺いました。聞けば近頃様子が少しおかしいという事だったのでもしやと思い彼を通じて様子を伺っていたところエーナ様に魔法を行使する瞬間を目撃したという事です」
彼は腕に止まってるカラスの頭を優しく撫でながらそう言った。
「さて、話を戻しましょう。
申しました通り私の目的は魔装具の回収とその出所の情報が欲しい。そこでエーナ様、貴女には魔装具の入手経路についての情報をウル様から引き出して欲しいのです」
「あの……その件なんですけど、私よりカトルさんが直接ウルを捕まえて聞き出した方が早いんじゃないですか?」
それについては疑問だった。
私にかけられた魔法を解いたのは彼である。
何の力もない私が関与するよりもカトルさんが直接ウルの相手をした方が手っ取り早いはずだ。
「回収だけであればそうしたいのですが、情報を引き出すとなるとそうはいかないのです」
そう言うカトルさんの顔は先ほどよりも少し険しい顔つきになる。
「具体的な条件は不明ですが、現在広まっている不正魔装具は使用者から無理やり取り上げる、または使用者が危機陥るなどいった状況になった場合、その提供元や流通経路の機密保持のためなのか……使用者のここ、簡単に言えば記憶をつかさどる部分に何らかの操作を行うための仕組みが備わっています」
彼は人差し指で自分の頭を指し示す。
「記憶の……操作?」
「はい、仮に私が彼女に直接接触して情報を聞き出そうとした場合、私が魔装具を取り上げる、もしかすれば私が相対した時点で彼女の記憶に何らかの欠落を与えることになるでしょう」
「記憶の欠落ってどうなっちゃうんですか?」
「基本的にはその魔装具に関する情報が記憶から消えることがほとんどです。
入手先や魔装具を使って行った一連の出来事、関係性のある部分の情報が抜け落ちる。本当に、綺麗にね」
ばつが悪そうにそう彼は話す。
「こういった記憶を操作する魔法は非常に高度な魔法です。魔装具だけでは再現は不可能。おそらく、魔装具を受け渡す際に何らかの魔法を提供する相手にかけているのでしょう。魔装具を提供する条件の一部として」
今までの話は私にとっては未知の情報だらけ、完全に理解することはできない。
けれど、なんとなくではあるが状況を理解した
彼、アルバート・カトルは魔法に関する問題を解決することを仕事としている人。
ウルが不正に魔法を使うことのできる道具を手に入れそれを私に使い悪用してた事。
そして、その道具をウルから取り上げたり秘密が漏れるような状態になると、それに関する記憶が消えてしまう事。
だから、なんとなくだけどわかってきた、彼が言いたい事が。
「本題に戻ります。本来であれば今回のエーナ様のように、不正魔装具による被害が出てしまった場合、被害の拡大を防ぐため記憶の欠落は致しかないとして回収を強行する場合がほとんどです。ですが、今回は少々特殊な状況になりました。
それは、魔装具の使用者であるウル様があなたに執着していることです。
つまり……」
「ウルが執着している私なら、ウルの敵としては認識されない。
だから私ならウルからその道具に関する情報を聞くことができるかもしれない……という事ですか?」
その言葉を聞いてか、彼は驚くように一瞬目を丸くする。
「エーナ様のご明察とおりです。
あなたであれば、ウル様に敵として認識されず、且つ秘密を探るものとして判断される可能性が低い。問答をしているうち認識が変わってしまう可能性もありますが、だとしても現状は情報不足。私としては少しでも手掛かりが欲しい。
エーナ様には危険な事を任せまてしまいますが、どうか力を貸していただけないでしょうか、もちろん私としてもできる限りの助力は致します」
彼は深々私に対して頭を下げる。
人に頭を下げてお願いをすることをあってもされた事なんていままで私にはなかった。
本当に、本当にいろいろなことがありすぎて、情報も感情も今の私にはまったく整理ができない。これはこの数日何度も何度も思っている事だ。
正直に言えば、今すぐにこの場から逃げたり、こんなわけのわからない状態の私に役は務まらない。
けれど、一つだけ、一つだけちゃんと理解できている事がある。
それはウルが、彼女が魔法を悪用しに迷惑をかけているかもしれないという事だ。
あんな態度や対応を取られたけどウルは私の友達、その事実はかわらない。
力になれるかはわからない、けどこのままにすることはできない
だから友達が間違ったことをしているのなら、私がやるべき事は決まっている。
「わかりました、私にも……手伝わせてください」
彼の口にした言葉を私は疑問としてそのまま口にしていた。
「ええ。私は執行者、簡単に言えば魔法に関する問題が起きた際にその調査や対応など問題の解決をするのが仕事の一つです」
彼はそう説明を行うと深く一礼する。
「私は現在不正な魔装具についての調査の任にも就いています。ですので先程お話しをしました通り、ご友人が所持している不正魔装具の回収、そしてその出所を突き止めたいと考えています」
「って事は、この村に来たのもその件でウルを疑って後を着いてきたんですか?」
「いえ、この村を訪れたのは完全に私用です。とある届け物と、世話になっている方への挨拶をしに来たのですよ。
昨日アメリー嬢の家を私が訪れた事は覚えていますね?その際入れ替わりでウル様とすれ違ったのですが、その時に彼女から怪しい気配……言わば魔法の残滓とでも言いましょうか、そんな気配を感じました」
思い返してみれば確かにカトルさんはちょうどウルと入れ替わるようなタイミングでアメリーの家を訪れていた。
「その後話の途中でエーナ様が気を失ってベッドへ運んだ後にアメリー嬢にご友人であるウル様の事をいろいろと伺いました。聞けば近頃様子が少しおかしいという事だったのでもしやと思い彼を通じて様子を伺っていたところエーナ様に魔法を行使する瞬間を目撃したという事です」
彼は腕に止まってるカラスの頭を優しく撫でながらそう言った。
「さて、話を戻しましょう。
申しました通り私の目的は魔装具の回収とその出所の情報が欲しい。そこでエーナ様、貴女には魔装具の入手経路についての情報をウル様から引き出して欲しいのです」
「あの……その件なんですけど、私よりカトルさんが直接ウルを捕まえて聞き出した方が早いんじゃないですか?」
それについては疑問だった。
私にかけられた魔法を解いたのは彼である。
何の力もない私が関与するよりもカトルさんが直接ウルの相手をした方が手っ取り早いはずだ。
「回収だけであればそうしたいのですが、情報を引き出すとなるとそうはいかないのです」
そう言うカトルさんの顔は先ほどよりも少し険しい顔つきになる。
「具体的な条件は不明ですが、現在広まっている不正魔装具は使用者から無理やり取り上げる、または使用者が危機陥るなどいった状況になった場合、その提供元や流通経路の機密保持のためなのか……使用者のここ、簡単に言えば記憶をつかさどる部分に何らかの操作を行うための仕組みが備わっています」
彼は人差し指で自分の頭を指し示す。
「記憶の……操作?」
「はい、仮に私が彼女に直接接触して情報を聞き出そうとした場合、私が魔装具を取り上げる、もしかすれば私が相対した時点で彼女の記憶に何らかの欠落を与えることになるでしょう」
「記憶の欠落ってどうなっちゃうんですか?」
「基本的にはその魔装具に関する情報が記憶から消えることがほとんどです。
入手先や魔装具を使って行った一連の出来事、関係性のある部分の情報が抜け落ちる。本当に、綺麗にね」
ばつが悪そうにそう彼は話す。
「こういった記憶を操作する魔法は非常に高度な魔法です。魔装具だけでは再現は不可能。おそらく、魔装具を受け渡す際に何らかの魔法を提供する相手にかけているのでしょう。魔装具を提供する条件の一部として」
今までの話は私にとっては未知の情報だらけ、完全に理解することはできない。
けれど、なんとなくではあるが状況を理解した
彼、アルバート・カトルは魔法に関する問題を解決することを仕事としている人。
ウルが不正に魔法を使うことのできる道具を手に入れそれを私に使い悪用してた事。
そして、その道具をウルから取り上げたり秘密が漏れるような状態になると、それに関する記憶が消えてしまう事。
だから、なんとなくだけどわかってきた、彼が言いたい事が。
「本題に戻ります。本来であれば今回のエーナ様のように、不正魔装具による被害が出てしまった場合、被害の拡大を防ぐため記憶の欠落は致しかないとして回収を強行する場合がほとんどです。ですが、今回は少々特殊な状況になりました。
それは、魔装具の使用者であるウル様があなたに執着していることです。
つまり……」
「ウルが執着している私なら、ウルの敵としては認識されない。
だから私ならウルからその道具に関する情報を聞くことができるかもしれない……という事ですか?」
その言葉を聞いてか、彼は驚くように一瞬目を丸くする。
「エーナ様のご明察とおりです。
あなたであれば、ウル様に敵として認識されず、且つ秘密を探るものとして判断される可能性が低い。問答をしているうち認識が変わってしまう可能性もありますが、だとしても現状は情報不足。私としては少しでも手掛かりが欲しい。
エーナ様には危険な事を任せまてしまいますが、どうか力を貸していただけないでしょうか、もちろん私としてもできる限りの助力は致します」
彼は深々私に対して頭を下げる。
人に頭を下げてお願いをすることをあってもされた事なんていままで私にはなかった。
本当に、本当にいろいろなことがありすぎて、情報も感情も今の私にはまったく整理ができない。これはこの数日何度も何度も思っている事だ。
正直に言えば、今すぐにこの場から逃げたり、こんなわけのわからない状態の私に役は務まらない。
けれど、一つだけ、一つだけちゃんと理解できている事がある。
それはウルが、彼女が魔法を悪用しに迷惑をかけているかもしれないという事だ。
あんな態度や対応を取られたけどウルは私の友達、その事実はかわらない。
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「わかりました、私にも……手伝わせてください」
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