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第三十七話 魂の色②
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「手を加えられてる?」
相も変わらず突然言われた事を理解できず私は同じことをつぶやいてしまう。
「いや、確証があるわけではないよ。元もそういった魂だった可能性も大いにありえる……あり得るがしかしそんな魂は見たことがない。エーナ君、生まれや育ちに何か特殊な点などはないかね?」
「特に特別って事はないと思いますけど、強いて言うなら母親が魔法使いだったくらいで……」
「ふむ、親が魔法使いか。魔法界隈ではさして珍しい事でもないし。にしても非常に興味深いなぁ君の魂は、君さえよければじっくり調べさせてもらえないかな?」
「調べるって、何をするんですか?」
「そうだな、まずは魔力を抽出・検査、その後は魂に干渉できるよう君の体にいろいろな処置を施さないとだな」
「えっと、なんかいろいろと危険な雰囲気がするのでお断りします」
魔力の検査はまだしも体を弄られるのは気持ちのいいものではない。
考えただけで寒気がする。
「それは残念、もし気が変わったら声をかけてくれ。報酬はそれなりだすからね」
「エーナさん、お金に困っても絶対こいつのお世話にはなっちゃだめっすよ」
キャトに釘を刺される。おそらくそんな日は来ないと思うけれど。
「さて、また質問の続きを……と言いたいところだったのだがどうやら時間切れらしいな」
残念だ、と口にしてやれやれというポーズをとるノンヌメロ。
「ちょっと待つっす!私の質問にはちゃんと答えてないしまだ聞きたい事が山ほどやるっす!!」
「いやぁ私も君たちとの会話をもう少し楽しみたいんだがしかしだね、ほら窓の外、見た前あれを」
ノン・ヌメロがそう言って窓の外を指さす。
その先にあったのはこちらに向かってにっこりと笑いながら手を振る先ほど用事があるという事で別れた一人の女性の姿があった。
「もしかして、いやもしかしなくてもだけれども、君たちは彼女の関係者かね?」
「関係者になると……思います」
「なるほどね。いやー君達に何もしてなくてよかったよ、もし君達がケガでもしていたら」
「ケガがでもしていたら、どうなっていたのかしらね」
横から聞こえた声に振り向くと、そこには先ほどまで外で手を振っていたはずの女性、アピロさんの姿があった。
「私の用事は済んだから二人を探していたんだけど、面倒なのに絡まれてるわね二人とも」
こちらに微笑んだ後、不愉快なものを見るような目で向かいに座るノン・ヌメロをねめつける。
「面倒とは言ってくれるなぁ。君の方が数十倍、いや数百倍は面倒だと思うがねアピロ」
視線をものともせず男は軽口を叩く。
その発言にアピロさんは眉を顰める。
ぴりぴりとした空気が流れる。
まずい、この感じは絶対にただ事ではない何かが起こる前兆でしかない。
明らかに怪しい男であるノン・ヌメロと明らかにとんでもないであろう魔法使いである事をこの数日間感じ取ってきたアピロの組み合わせ、こんな二人の組み合わせで何も起こらないはずがない。
(やばい、これ何とかしないと……)
心の中でそう思うも、どうすればいいのかはすぐに思いつかない。
いや、とにかく何でもいいからこの雰囲気をなんとかしなければいけない。
「えっと、お二人はその知り合い……なんですか?」
思い切って口にそう口にだす。
すると二人の目がギロっとこちらへ向く。
感じる圧で体全体が強張る、が感じたのは一瞬だけで二人は同時に深いため息を付く。
「まあ腐れ縁っていうやつかなぁ。別に好きで邂逅してるわけじゃないんだけど」
「同じく、毎度毎度私の前に出てきてはいろいろと引っ掻き回して迷惑なのよね。
それで、今回はこの子達を捕まえてどんな事をしようとしていたわけ?」
「失礼だな、別に何もしてはいないさ。ただ少し話をしたかっただけさ、本当にね。
何せそこのお嬢さんの色が珍しかったものでね。……いや待てよ、アピロお前もしかしてこのお嬢さんの事について何か知っているんじゃ」
ノン・ヌメロが言葉の先を紡ごうとした瞬間、先ほどよりもピリピリとした、いやそれどころではなくあたり一面が凍り付くんじゃないかと思うくらいの悪寒が全身を走る。
「おっと、これ以上はあまり首を突っ込まない方がよさそうだ。
別に知ってどうこうしようというわけではないんだが、やはり気になってしまってね。まあ今日のところはお暇するとしようかな。では災厄の魔女にお嬢さん方またいずれどこかで」
そう言って、ノン・ヌメロは軽い口どりで別れの挨拶を済ませるとそそくさと逃げるように店を出ていった。
「相も変わらずって感じねあの男は。二人とも無事?ケガとかはない?」
先程の雰囲気が嘘のような優し気な声色で私達にアピロさんはそう声をかける。
「ただ話をしてただけで特には何もされてないので大丈夫です。ね、キャト?」
「私も大丈夫ッス。なんかいろいろ聞き出そうとしてたみたいっすけど、お互いそれについては無知で助かったすね、ああいうの手段を択ばなさそうな輩には隠し事はむつかしいっすから……。というかよく考えるとあのまま逃がしてよかったんすかねあの自称大天才、一応数日前の事件の関係者というか黒幕っぽい感じだったんすよねエーナさん?」
「あ、そういえばそうだ。アピロさんもいるし捕まえて貰うべきだったんじゃ」
「あらそうなの?まあ別に捕まえってもよかったけれど、あれと揉め事を起こすならそれなりの被害は被るわよ?」
「それなりってどれくらいですか?」
「そうね、まあこの辺り一帯の建物と住民の無事は保証できないわ」
大体あそこらへんくらいまでかしら?といいながら窓の外を指をさす。
「どうやら逃がすのが一番いい選択肢だったみたいっすねエーナさん……」
「そうね、なんだかんだ何事もなくあの場は終わってよかったのかも」
そうキャトと会話しながら大事にならず済んだ事をほっとする。
「あのー、すいません。先ほど出て行かれた方はご友人の方でしょうか」
とりあえずはひと段落だと私とキャトが安堵していると様子を窺うように店員が私達にそう声をかけてきた。
「あの男とは友人というわけではないけれど何か御用?」
「いえ、その先ほどの方が頼まれた飲み物などの代金が支払われていないのでもしお知り合いの方であれば変わり支払っていただきたいのですが……」
全部で合計この金額になるんですが、と店員はアピロさん相手に金額を伝える。
それを聞いたアピロさんはなるほど、ニコニコしながら私達の方へと振り向いて
「次に会ったら四肢をもいで湖に沈めましょうか」
と同意を求めてくるのであった。
相も変わらず突然言われた事を理解できず私は同じことをつぶやいてしまう。
「いや、確証があるわけではないよ。元もそういった魂だった可能性も大いにありえる……あり得るがしかしそんな魂は見たことがない。エーナ君、生まれや育ちに何か特殊な点などはないかね?」
「特に特別って事はないと思いますけど、強いて言うなら母親が魔法使いだったくらいで……」
「ふむ、親が魔法使いか。魔法界隈ではさして珍しい事でもないし。にしても非常に興味深いなぁ君の魂は、君さえよければじっくり調べさせてもらえないかな?」
「調べるって、何をするんですか?」
「そうだな、まずは魔力を抽出・検査、その後は魂に干渉できるよう君の体にいろいろな処置を施さないとだな」
「えっと、なんかいろいろと危険な雰囲気がするのでお断りします」
魔力の検査はまだしも体を弄られるのは気持ちのいいものではない。
考えただけで寒気がする。
「それは残念、もし気が変わったら声をかけてくれ。報酬はそれなりだすからね」
「エーナさん、お金に困っても絶対こいつのお世話にはなっちゃだめっすよ」
キャトに釘を刺される。おそらくそんな日は来ないと思うけれど。
「さて、また質問の続きを……と言いたいところだったのだがどうやら時間切れらしいな」
残念だ、と口にしてやれやれというポーズをとるノンヌメロ。
「ちょっと待つっす!私の質問にはちゃんと答えてないしまだ聞きたい事が山ほどやるっす!!」
「いやぁ私も君たちとの会話をもう少し楽しみたいんだがしかしだね、ほら窓の外、見た前あれを」
ノン・ヌメロがそう言って窓の外を指さす。
その先にあったのはこちらに向かってにっこりと笑いながら手を振る先ほど用事があるという事で別れた一人の女性の姿があった。
「もしかして、いやもしかしなくてもだけれども、君たちは彼女の関係者かね?」
「関係者になると……思います」
「なるほどね。いやー君達に何もしてなくてよかったよ、もし君達がケガでもしていたら」
「ケガがでもしていたら、どうなっていたのかしらね」
横から聞こえた声に振り向くと、そこには先ほどまで外で手を振っていたはずの女性、アピロさんの姿があった。
「私の用事は済んだから二人を探していたんだけど、面倒なのに絡まれてるわね二人とも」
こちらに微笑んだ後、不愉快なものを見るような目で向かいに座るノン・ヌメロをねめつける。
「面倒とは言ってくれるなぁ。君の方が数十倍、いや数百倍は面倒だと思うがねアピロ」
視線をものともせず男は軽口を叩く。
その発言にアピロさんは眉を顰める。
ぴりぴりとした空気が流れる。
まずい、この感じは絶対にただ事ではない何かが起こる前兆でしかない。
明らかに怪しい男であるノン・ヌメロと明らかにとんでもないであろう魔法使いである事をこの数日間感じ取ってきたアピロの組み合わせ、こんな二人の組み合わせで何も起こらないはずがない。
(やばい、これ何とかしないと……)
心の中でそう思うも、どうすればいいのかはすぐに思いつかない。
いや、とにかく何でもいいからこの雰囲気をなんとかしなければいけない。
「えっと、お二人はその知り合い……なんですか?」
思い切って口にそう口にだす。
すると二人の目がギロっとこちらへ向く。
感じる圧で体全体が強張る、が感じたのは一瞬だけで二人は同時に深いため息を付く。
「まあ腐れ縁っていうやつかなぁ。別に好きで邂逅してるわけじゃないんだけど」
「同じく、毎度毎度私の前に出てきてはいろいろと引っ掻き回して迷惑なのよね。
それで、今回はこの子達を捕まえてどんな事をしようとしていたわけ?」
「失礼だな、別に何もしてはいないさ。ただ少し話をしたかっただけさ、本当にね。
何せそこのお嬢さんの色が珍しかったものでね。……いや待てよ、アピロお前もしかしてこのお嬢さんの事について何か知っているんじゃ」
ノン・ヌメロが言葉の先を紡ごうとした瞬間、先ほどよりもピリピリとした、いやそれどころではなくあたり一面が凍り付くんじゃないかと思うくらいの悪寒が全身を走る。
「おっと、これ以上はあまり首を突っ込まない方がよさそうだ。
別に知ってどうこうしようというわけではないんだが、やはり気になってしまってね。まあ今日のところはお暇するとしようかな。では災厄の魔女にお嬢さん方またいずれどこかで」
そう言って、ノン・ヌメロは軽い口どりで別れの挨拶を済ませるとそそくさと逃げるように店を出ていった。
「相も変わらずって感じねあの男は。二人とも無事?ケガとかはない?」
先程の雰囲気が嘘のような優し気な声色で私達にアピロさんはそう声をかける。
「ただ話をしてただけで特には何もされてないので大丈夫です。ね、キャト?」
「私も大丈夫ッス。なんかいろいろ聞き出そうとしてたみたいっすけど、お互いそれについては無知で助かったすね、ああいうの手段を択ばなさそうな輩には隠し事はむつかしいっすから……。というかよく考えるとあのまま逃がしてよかったんすかねあの自称大天才、一応数日前の事件の関係者というか黒幕っぽい感じだったんすよねエーナさん?」
「あ、そういえばそうだ。アピロさんもいるし捕まえて貰うべきだったんじゃ」
「あらそうなの?まあ別に捕まえってもよかったけれど、あれと揉め事を起こすならそれなりの被害は被るわよ?」
「それなりってどれくらいですか?」
「そうね、まあこの辺り一帯の建物と住民の無事は保証できないわ」
大体あそこらへんくらいまでかしら?といいながら窓の外を指をさす。
「どうやら逃がすのが一番いい選択肢だったみたいっすねエーナさん……」
「そうね、なんだかんだ何事もなくあの場は終わってよかったのかも」
そうキャトと会話しながら大事にならず済んだ事をほっとする。
「あのー、すいません。先ほど出て行かれた方はご友人の方でしょうか」
とりあえずはひと段落だと私とキャトが安堵していると様子を窺うように店員が私達にそう声をかけてきた。
「あの男とは友人というわけではないけれど何か御用?」
「いえ、その先ほどの方が頼まれた飲み物などの代金が支払われていないのでもしお知り合いの方であれば変わり支払っていただきたいのですが……」
全部で合計この金額になるんですが、と店員はアピロさん相手に金額を伝える。
それを聞いたアピロさんはなるほど、ニコニコしながら私達の方へと振り向いて
「次に会ったら四肢をもいで湖に沈めましょうか」
と同意を求めてくるのであった。
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