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第四十一話 世界の裏側、宝探し
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世界の涙。
それは断片世界から稀に見つからる貴重な品々の中でも極めて珍しいとされる宝石。
色は淡いブルーで美しく透きとおり、その名の通り一粒の涙のような形状をしている。とは言え見た目だけならただの宝石であり、見つかりづらいという点を除けば表の世界にある多種多様な宝石たちよりも秀でているというわけではなくその希少価値により一部の貴族達が欲しがる程度である。
だがこの宝石はただ単純に希少性に乏しいだけではない。
希少性に乏しいだけでは大体的に魔法協会から取引を禁止されるなんてことはない。
別の理由があるのだ。
それは
「魔力貯蔵?」
「そうっす、世界の涙にはそのサイズからは想像できないほどの魔力を蓄える事ができるんすよ」
「そうなんだ、魔力を貯めるって私はあんまりイメージできないけど……、というより魔力って別の何かに貯めたりできるんだ」
「できるっすよ、大体の物には魔力を貯め込めるっす。とはいえ物によって貯めにくいやすいはあるし貯め込める量にも違いがあるっす。ちなみに魔力自体が結晶になって固まってたりするものもあるっすよ、まあこれも希少らしくて実物は見た事ないっすけどね」
「なるほど、でその世界の涙はどれくらいの魔力を蓄える事ができるの?」
「どれくらいって、そりゃあ取引禁止にされるくらいだからすんごい量なんすよ」
「すんごいって、どれくらい?」
「どれくらいってだからすんごい量」
「すんごい量って?」
「すんごい量だから、そのすんごい……、まあともかくとーーてもたくさんの普通じゃ考えられないくらいの魔力が貯め込めるすーーーんごいやつなんすよ」
「キャトもわかんないくらい凄い量なのね……。
とまあとりあえず、その世界の涙がすごーく貴重ですごーく凄い事はなんとなくわかったんだけど」
「だけど?」
「なんで私達は今、またこのとんでもない場所にきてるのかな?」
私はあたり見渡す。
色褪せた道、色褪せた空、色褪せた崩れた建物。
非現実的な灰色の滅びた古の地。
断片世界である。
「なんでってそりゃ……、なんでなんでしょうね」
「もうなんていうか、この世界いい思い出が全然ないんだけど。
いやもう本当に今すぐ帰りたい、帰ろうキャト」
「ムリッスヨー、だって私達……いま絶賛迷子じゃないっすか」
はぁ、と二人合わせて大きなため息が漏れる。
説明しよう、事の発端を。
事の発端、それはアピロさんのとある一言
「よし、調達できなかったのなら仕方ないし、探しに行きましょう」
「何をですか?」
「世界の涙よ」
「どこにっすか?」
「断片世界に」
「嫌です」
「嫌っす」
この会話の後、有無を言わさず私達は無理やり引きずり連れ出され
「はい、着いた。ここはちょっと前に見つけたんだけど、この入口から入った場所はまだ誰にも見つかってなくて荒らされてなさそうなのよ。だから多分きちんと手分けして探せば何かしらの前世界の遺物はみつかるとおもうの。まあ変なモノがまた出てきてちょっかいを出してくる可能性はあるから、みんな視界に見える範囲内でお宝探しと行きましょうか」
以上が断片世界に再び足を踏み入れた経緯である。
「で、結局アピロさんは視界に見える範囲とか言いながらいつの間にかいなくなってるし」
「あの魔女を探しに歩き回ってたら帰り道がわからなくなるし」
「「はぁ……」」
再び二人そろっての大きなため息。
「今のところまだ怪物には襲われてないけど……」
「まあ時間の問題っすね。ここも結局は未調査っすから、協会が管理してる場所なら道しるべやら何やらがあってもおかしくはないんすけど」
あたりをぐるっと見渡してみるが崩れた建物や大きな岩など外に出るための手がかりになるようなものは見当たらない。
せめて歩いてきた道が分かればいいのだが、この場所は似たような景色が多く本当に先ほど通った道なのか判断がつかないのだ。
「とりあえずは歩き回らずに一旦ここで待ちましょうキャト。多分アピロさんなら探しに来てくれるわよ」
「そうだといいんすけどねぇ。ただあんまりここには長居したくないんすけど」
「そうよね、いつあの影みたいな化物に襲われるかわからないし」
「いやぁそれもそうなんすけど、あんまり長くいるとこっち側の世界に体が馴染んじゃう可能性があるっすから……」
「馴染む?なにそれ」
「そういえば結局説明しそびれてたっすね。
エーナさん、この前なんでみんなこの世界の近道を使わないのかって話をしたのて覚えてますか?」
「うん、覚えてる。タリアヴィルに向かう途中で私が聞いた奴。
結局その後あの化物達に襲われてその理由を嫌と言う程知ったけどね」
「まあ確かにあの化物共も理由の一つといえばそうなんすけど、それだけじゃないんすよ。まあなんというかここ長くいると馴染む……というよりは取り込まれるんすよ」
「取り込まれる?」
「そうっす。簡単に言えばこっちの世界の住人にされちゃうって事っす」
それは断片世界から稀に見つからる貴重な品々の中でも極めて珍しいとされる宝石。
色は淡いブルーで美しく透きとおり、その名の通り一粒の涙のような形状をしている。とは言え見た目だけならただの宝石であり、見つかりづらいという点を除けば表の世界にある多種多様な宝石たちよりも秀でているというわけではなくその希少価値により一部の貴族達が欲しがる程度である。
だがこの宝石はただ単純に希少性に乏しいだけではない。
希少性に乏しいだけでは大体的に魔法協会から取引を禁止されるなんてことはない。
別の理由があるのだ。
それは
「魔力貯蔵?」
「そうっす、世界の涙にはそのサイズからは想像できないほどの魔力を蓄える事ができるんすよ」
「そうなんだ、魔力を貯めるって私はあんまりイメージできないけど……、というより魔力って別の何かに貯めたりできるんだ」
「できるっすよ、大体の物には魔力を貯め込めるっす。とはいえ物によって貯めにくいやすいはあるし貯め込める量にも違いがあるっす。ちなみに魔力自体が結晶になって固まってたりするものもあるっすよ、まあこれも希少らしくて実物は見た事ないっすけどね」
「なるほど、でその世界の涙はどれくらいの魔力を蓄える事ができるの?」
「どれくらいって、そりゃあ取引禁止にされるくらいだからすんごい量なんすよ」
「すんごいって、どれくらい?」
「どれくらいってだからすんごい量」
「すんごい量って?」
「すんごい量だから、そのすんごい……、まあともかくとーーてもたくさんの普通じゃ考えられないくらいの魔力が貯め込めるすーーーんごいやつなんすよ」
「キャトもわかんないくらい凄い量なのね……。
とまあとりあえず、その世界の涙がすごーく貴重ですごーく凄い事はなんとなくわかったんだけど」
「だけど?」
「なんで私達は今、またこのとんでもない場所にきてるのかな?」
私はあたり見渡す。
色褪せた道、色褪せた空、色褪せた崩れた建物。
非現実的な灰色の滅びた古の地。
断片世界である。
「なんでってそりゃ……、なんでなんでしょうね」
「もうなんていうか、この世界いい思い出が全然ないんだけど。
いやもう本当に今すぐ帰りたい、帰ろうキャト」
「ムリッスヨー、だって私達……いま絶賛迷子じゃないっすか」
はぁ、と二人合わせて大きなため息が漏れる。
説明しよう、事の発端を。
事の発端、それはアピロさんのとある一言
「よし、調達できなかったのなら仕方ないし、探しに行きましょう」
「何をですか?」
「世界の涙よ」
「どこにっすか?」
「断片世界に」
「嫌です」
「嫌っす」
この会話の後、有無を言わさず私達は無理やり引きずり連れ出され
「はい、着いた。ここはちょっと前に見つけたんだけど、この入口から入った場所はまだ誰にも見つかってなくて荒らされてなさそうなのよ。だから多分きちんと手分けして探せば何かしらの前世界の遺物はみつかるとおもうの。まあ変なモノがまた出てきてちょっかいを出してくる可能性はあるから、みんな視界に見える範囲内でお宝探しと行きましょうか」
以上が断片世界に再び足を踏み入れた経緯である。
「で、結局アピロさんは視界に見える範囲とか言いながらいつの間にかいなくなってるし」
「あの魔女を探しに歩き回ってたら帰り道がわからなくなるし」
「「はぁ……」」
再び二人そろっての大きなため息。
「今のところまだ怪物には襲われてないけど……」
「まあ時間の問題っすね。ここも結局は未調査っすから、協会が管理してる場所なら道しるべやら何やらがあってもおかしくはないんすけど」
あたりをぐるっと見渡してみるが崩れた建物や大きな岩など外に出るための手がかりになるようなものは見当たらない。
せめて歩いてきた道が分かればいいのだが、この場所は似たような景色が多く本当に先ほど通った道なのか判断がつかないのだ。
「とりあえずは歩き回らずに一旦ここで待ちましょうキャト。多分アピロさんなら探しに来てくれるわよ」
「そうだといいんすけどねぇ。ただあんまりここには長居したくないんすけど」
「そうよね、いつあの影みたいな化物に襲われるかわからないし」
「いやぁそれもそうなんすけど、あんまり長くいるとこっち側の世界に体が馴染んじゃう可能性があるっすから……」
「馴染む?なにそれ」
「そういえば結局説明しそびれてたっすね。
エーナさん、この前なんでみんなこの世界の近道を使わないのかって話をしたのて覚えてますか?」
「うん、覚えてる。タリアヴィルに向かう途中で私が聞いた奴。
結局その後あの化物達に襲われてその理由を嫌と言う程知ったけどね」
「まあ確かにあの化物共も理由の一つといえばそうなんすけど、それだけじゃないんすよ。まあなんというかここ長くいると馴染む……というよりは取り込まれるんすよ」
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