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第四十六話 魔法のメガネと頼み事
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「いやぁ、すまないすまない。こんなに面白い冗談は久しぶりだ」
ひとしきり笑ったあとも、ライハスはまだ笑いの名残を抑えながら言った。
「しかしエーナ、いくら魔導書を読みたいからといって、そんな冗談で私をごまかそうというのは感心しないな。魔導書はどんなに初歩的でありきたりなものであっても、魔法使い以外が手を出してはいけないものだ。興味があるのはわかるが、素人が触れていいものではないんだ」
私を諭すように、彼はそう進言する。
弟子、というのは騙しているわけでも冗談を言っているわけでもないのだけれど……。
「ライハス様、エーナさんが言っていることは嘘ではありません。彼女は本当にアピロさんに弟子入りした魔法使い見習いです」
トラファムがライハスの発言に対し、そう進言する。
「……彼女は本当にアピロの弟子だと言いたいのかね?」
その言葉に対して、怪訝そうな表情を向けるライハス。
「エーナさん、ライハス様へ簡単にこれまでの経緯を説明していただけますでしょうか。ライハス様が先ほど仰っていたように、魔法のことは無関係な方に教えることが制限されています。あなたが本当にアピロさんの弟子であるということを信じてもらうためにも、お願いします」
「わかった。少し長くなっちゃうかもしれないけど……」
トラファムに促され、私はこれまでの経緯をできるだけかいつまんで説明した。
村での事件、アピロさんとの出会い、そして紆余曲折ありアピロさんの弟子となり、来年から魔法学院へ通うこと、その事前勉強を行っていたということ。
ライハスは最初こちらを疑うような目つきだったが、話をするにつれ徐々に表情は変わっていき、話が終わる頃には真剣な顔つきになっていた。
「なるほど、それで魔法の事前勉強のためにアピロに読むよう言われていた本が読めず、私のもとを訪ねた、と。確かに嘘を言っているようにも思えないし、それにトラファムの証言もある。疑ってしまい、すまなかった。誠に申し訳ない、エーナ・ラヴァトーラ」
ライハスは真剣な面持ちで私に謝罪をしながら、頭を下げる。
「いえ、確かに突然『弟子です』なんて言われても信じられないと思いますし、仕方ないですよ。今までも大体みんなびっくりしたり、疑われたりしましたから……」
「とはいえしかし、まさか彼女が弟子を取るとはね。自分のこと以外まったく興味がないものだと思っていたが……まさに奇想天外。とんでもないことが起こるものだ」
ライハスはやれやれと口にしながら書斎机へと向かい、備え付けられた引き出しを開き、何やらごそごそと物を探し始めた。
「さて、確かこの辺に……あの子が使わなくなったあと仕舞っておいたはずだが……
おお、あったあった、これだ」
そう言って彼は私の前に歩いてくると、引き出しから取り出したものを差し出した。
「これって……メガネ、ですか?」
「そう、メガネ。まだ解読系の魔法が使えない見習い向けに、解読の魔法文字が刻まれた特殊な物だ。これを着ければ、一般的に流通している初歩的な魔導書の大体は解読できるはずだ。それをかけて本を眺めてみるといい」
ライハスから渡されたメガネをかけ、促されるようにおそるおそる読み解くことのできなかった魔導書を開く。
そして目に映ったのは……訳のわからない単語の羅列ではなく、この魔導書の注意書きや目次、基礎魔法についての説明など、明らかに屋敷で読んでいたときとは違う、きちんとした本の内容であった。
「すごい、ちゃんと全部文章になってるし、魔法についての説明が書いてある!」
「どうやら読めたようだね。それがあれば行き詰っていた事前学習もはかどるだろう。もう使うこともないだろうし、そのメガネは君に譲ろう」
「え、いいんですか? 結構お高いものだったりするんじゃ……」
「まあ確かに値段はそれなりにするものだが、私の引き出しに入ったままでは朽ちていくだけだ。それなら使う必要がある者が持っていたほうが、道具としても幸せだろう。先ほどの非礼もあるし、君が使いなさい」
「なんかお願い事をしに来た立場なのに、悪い気もするけど……じゃあ、お言葉に甘えてありがたく貰っちゃいます」
ライハスの厚意に甘え、メガネを頂くことにした。
本当にただこちらのわがままで訪ねてきただけなので、ちょっと悪い気もするのだが……。
「しかしアピロの奴、魔法の『ま』の字すらまだ知らない弟子に、解読方法について何も説明していなかったのか。まったく、今まで人に物を教えたことは……確かに考えてみれば、あいつはそんなことまったくなかったな。希代の天才には、そこを察することもできなかったか」
彼は皮肉めいた口調であきれたようにそう呟き、ため息をつく。
はは、と苦笑いを浮かべながら、いただいたメガネを外してそれを眺める。
「それにしても、新品みたいなメガネですね。ライハスさんが昔使っていたものとは思えないです」
「いや、それは私が使っていたものではないよ。そのメガネは、姪が魔法の勉強を始めるときにプレゼントとして買ってあげたものだ」
「え、そうなんですか。プレゼントしたものを私にあげて大丈夫なんでしょうか?」
「ああ、問題はないよ。渡したはいいんだが、とても筋の良い子でね。あっという間に使わなくなってしまったんだ。それ以来引き出しの中で埃をかぶっている状態だったのさ。だから気にせず君が使ってくれ」
「そうなんですか。魔法の勉強ってことは、その子も魔法使いに?」
「ああ、二年ほど前から魔法学院に通ってるよ。今年で15になるかな」
「15ってことは、私より一つ下ですね……って、あれ? 一つ下なのに2年前から通ってる?」
「大体は師のもとで修行した後、14か15ぐらいで入学するのが一般的だからね。
まあ、別に入学する年齢が厳密に決まっているわけではないから、同じ学年でも年齢の差はわりとあるよ」
「あのー、その話初耳なんですけど。ってことは、私が入学するときの同級生たちは年下ばっかりに……なんかすごい気まずい気持ちになりそう」
「そんなに気にすることでもないさ。学問を学ぶのに年なんて関係ないからね」
珍しいことではないよと、笑いながら念を押してくれる。
とはいえ、まさか年上として入ることになるとは……少し凹む。
「あれ、でも2年前に入って今15ってことは、その姪の方は13歳で学園に入ったってことに……」
「そうだよ。さっきも話をしたが、すごく筋のいい子でね。あっという間に基礎を覚えて、私のもとで教えられることがなくなってしまってね。少し早いが、学園に入学という運びになったのさ」
「まあ君のお師匠にくらべれば大したことはないがね」と最後に付け足す。
あの人に比べれば、大抵の魔法使いは有象無象になりそうだが……。
「そうだ、メガネのお礼というわけじゃないが――ひとつ、頼み事を聞いてもらえないか」
「頼まれごと、ですか?」
「ああ。先ほども言ったとおり姪がいるのだが、彼女から届いた手紙の返信を書いていてね。これを彼女のいる学院まで届けてはくれないだろうか」
「学院って、魔法学院までってことですか?」
「そう。私は手紙のやり取りをするための動物を飼っていなくてね。いつもなら知人に頼んで代わりに届けてもらっているのだが、今は遠出をしているようで連絡がつかないんだ。だから、代わりに届けてほしいというわけだ」
机に置いてあった蝋のついた手紙を手に取り、私へと差し出す。
「私、まだ生徒でもないし魔法学院と関係ないんですけど、尋ねて大丈夫なんですかね?」
「もう入学も決まってるし、指輪もあるのなら問題はないよ。それにトラファムも何度か用事で足を運んだことがあるだろ?」
「確かに何度か訪ねたことはありますが、あの時はアピロさんも一緒だったので、そこらへんの事情はあまり詳しくないのですが……」
「そうか……確かに無理強いするのは良くない。すまないね、変なことを言ってしまって」
「今のことは忘れてくれ」と、少し気落ちした声で笑いながらライハスは言う。
その様子に、私は罪悪感を覚えてしまう。
お世話になっておいて、頼み事を断るというのはかなり図々しい。
トラファムはまだしも、私が断るというのは……。
「あの、そのお手紙、学院までお届けしますよ。場所もちょうど知りたかったですし」
親切にしてくれた方を無碍にするわけにはいかない。
そう思い、そう口にした。
そして私は、この一言を後にひどく後悔するのであった。
ひとしきり笑ったあとも、ライハスはまだ笑いの名残を抑えながら言った。
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私を諭すように、彼はそう進言する。
弟子、というのは騙しているわけでも冗談を言っているわけでもないのだけれど……。
「ライハス様、エーナさんが言っていることは嘘ではありません。彼女は本当にアピロさんに弟子入りした魔法使い見習いです」
トラファムがライハスの発言に対し、そう進言する。
「……彼女は本当にアピロの弟子だと言いたいのかね?」
その言葉に対して、怪訝そうな表情を向けるライハス。
「エーナさん、ライハス様へ簡単にこれまでの経緯を説明していただけますでしょうか。ライハス様が先ほど仰っていたように、魔法のことは無関係な方に教えることが制限されています。あなたが本当にアピロさんの弟子であるということを信じてもらうためにも、お願いします」
「わかった。少し長くなっちゃうかもしれないけど……」
トラファムに促され、私はこれまでの経緯をできるだけかいつまんで説明した。
村での事件、アピロさんとの出会い、そして紆余曲折ありアピロさんの弟子となり、来年から魔法学院へ通うこと、その事前勉強を行っていたということ。
ライハスは最初こちらを疑うような目つきだったが、話をするにつれ徐々に表情は変わっていき、話が終わる頃には真剣な顔つきになっていた。
「なるほど、それで魔法の事前勉強のためにアピロに読むよう言われていた本が読めず、私のもとを訪ねた、と。確かに嘘を言っているようにも思えないし、それにトラファムの証言もある。疑ってしまい、すまなかった。誠に申し訳ない、エーナ・ラヴァトーラ」
ライハスは真剣な面持ちで私に謝罪をしながら、頭を下げる。
「いえ、確かに突然『弟子です』なんて言われても信じられないと思いますし、仕方ないですよ。今までも大体みんなびっくりしたり、疑われたりしましたから……」
「とはいえしかし、まさか彼女が弟子を取るとはね。自分のこと以外まったく興味がないものだと思っていたが……まさに奇想天外。とんでもないことが起こるものだ」
ライハスはやれやれと口にしながら書斎机へと向かい、備え付けられた引き出しを開き、何やらごそごそと物を探し始めた。
「さて、確かこの辺に……あの子が使わなくなったあと仕舞っておいたはずだが……
おお、あったあった、これだ」
そう言って彼は私の前に歩いてくると、引き出しから取り出したものを差し出した。
「これって……メガネ、ですか?」
「そう、メガネ。まだ解読系の魔法が使えない見習い向けに、解読の魔法文字が刻まれた特殊な物だ。これを着ければ、一般的に流通している初歩的な魔導書の大体は解読できるはずだ。それをかけて本を眺めてみるといい」
ライハスから渡されたメガネをかけ、促されるようにおそるおそる読み解くことのできなかった魔導書を開く。
そして目に映ったのは……訳のわからない単語の羅列ではなく、この魔導書の注意書きや目次、基礎魔法についての説明など、明らかに屋敷で読んでいたときとは違う、きちんとした本の内容であった。
「すごい、ちゃんと全部文章になってるし、魔法についての説明が書いてある!」
「どうやら読めたようだね。それがあれば行き詰っていた事前学習もはかどるだろう。もう使うこともないだろうし、そのメガネは君に譲ろう」
「え、いいんですか? 結構お高いものだったりするんじゃ……」
「まあ確かに値段はそれなりにするものだが、私の引き出しに入ったままでは朽ちていくだけだ。それなら使う必要がある者が持っていたほうが、道具としても幸せだろう。先ほどの非礼もあるし、君が使いなさい」
「なんかお願い事をしに来た立場なのに、悪い気もするけど……じゃあ、お言葉に甘えてありがたく貰っちゃいます」
ライハスの厚意に甘え、メガネを頂くことにした。
本当にただこちらのわがままで訪ねてきただけなので、ちょっと悪い気もするのだが……。
「しかしアピロの奴、魔法の『ま』の字すらまだ知らない弟子に、解読方法について何も説明していなかったのか。まったく、今まで人に物を教えたことは……確かに考えてみれば、あいつはそんなことまったくなかったな。希代の天才には、そこを察することもできなかったか」
彼は皮肉めいた口調であきれたようにそう呟き、ため息をつく。
はは、と苦笑いを浮かべながら、いただいたメガネを外してそれを眺める。
「それにしても、新品みたいなメガネですね。ライハスさんが昔使っていたものとは思えないです」
「いや、それは私が使っていたものではないよ。そのメガネは、姪が魔法の勉強を始めるときにプレゼントとして買ってあげたものだ」
「え、そうなんですか。プレゼントしたものを私にあげて大丈夫なんでしょうか?」
「ああ、問題はないよ。渡したはいいんだが、とても筋の良い子でね。あっという間に使わなくなってしまったんだ。それ以来引き出しの中で埃をかぶっている状態だったのさ。だから気にせず君が使ってくれ」
「そうなんですか。魔法の勉強ってことは、その子も魔法使いに?」
「ああ、二年ほど前から魔法学院に通ってるよ。今年で15になるかな」
「15ってことは、私より一つ下ですね……って、あれ? 一つ下なのに2年前から通ってる?」
「大体は師のもとで修行した後、14か15ぐらいで入学するのが一般的だからね。
まあ、別に入学する年齢が厳密に決まっているわけではないから、同じ学年でも年齢の差はわりとあるよ」
「あのー、その話初耳なんですけど。ってことは、私が入学するときの同級生たちは年下ばっかりに……なんかすごい気まずい気持ちになりそう」
「そんなに気にすることでもないさ。学問を学ぶのに年なんて関係ないからね」
珍しいことではないよと、笑いながら念を押してくれる。
とはいえ、まさか年上として入ることになるとは……少し凹む。
「あれ、でも2年前に入って今15ってことは、その姪の方は13歳で学園に入ったってことに……」
「そうだよ。さっきも話をしたが、すごく筋のいい子でね。あっという間に基礎を覚えて、私のもとで教えられることがなくなってしまってね。少し早いが、学園に入学という運びになったのさ」
「まあ君のお師匠にくらべれば大したことはないがね」と最後に付け足す。
あの人に比べれば、大抵の魔法使いは有象無象になりそうだが……。
「そうだ、メガネのお礼というわけじゃないが――ひとつ、頼み事を聞いてもらえないか」
「頼まれごと、ですか?」
「ああ。先ほども言ったとおり姪がいるのだが、彼女から届いた手紙の返信を書いていてね。これを彼女のいる学院まで届けてはくれないだろうか」
「学院って、魔法学院までってことですか?」
「そう。私は手紙のやり取りをするための動物を飼っていなくてね。いつもなら知人に頼んで代わりに届けてもらっているのだが、今は遠出をしているようで連絡がつかないんだ。だから、代わりに届けてほしいというわけだ」
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「私、まだ生徒でもないし魔法学院と関係ないんですけど、尋ねて大丈夫なんですかね?」
「もう入学も決まってるし、指輪もあるのなら問題はないよ。それにトラファムも何度か用事で足を運んだことがあるだろ?」
「確かに何度か訪ねたことはありますが、あの時はアピロさんも一緒だったので、そこらへんの事情はあまり詳しくないのですが……」
「そうか……確かに無理強いするのは良くない。すまないね、変なことを言ってしまって」
「今のことは忘れてくれ」と、少し気落ちした声で笑いながらライハスは言う。
その様子に、私は罪悪感を覚えてしまう。
お世話になっておいて、頼み事を断るというのはかなり図々しい。
トラファムはまだしも、私が断るというのは……。
「あの、そのお手紙、学院までお届けしますよ。場所もちょうど知りたかったですし」
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