チラ見のぞき見ホッピング

流音あい

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6話 遊園地で告白

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「最初の頃、遊園地デートはまだ早いみたいなこと言ってましたよね」
「あったわね、そんなこと」
 映画デートやバーでのデートを繰り返した後、遊園地に誘ってみたら頷いてくれた。
「今日遊園地デート出来るということは、前よりも俺たちの仲が進展したってことですよね」
「かもしれないわね」
 今日も彼女のペースだが、俺だって負けてはいない。何せ脈ありなのはわかっている。これは勘違いじゃないはずだ。
「じゃあまず何乗りましょうか」
「それが問題ね。さて、私はまず何に乗りたいでしょう」
 くるりと俺の方に向き直り、悪戯な笑みで聞いてくる。まったく可愛いな。
「そうですね。まあいきなり激しいものから行くか、少し落ち着いたものから行くか」
「ほう。つまり絶叫系は視野に入れてるってことですね?」
「もちろんです。カズミさんが面白がって事前情報教えてくれないので、ちゃんとその辺は考えてますよ。ちなみに俺は絶叫系いけるんで、どっちでも大丈夫です」
「ふうん?」
 彼女が探るように俺を見る。強がっていないかどうか見てるんだろう。実際乗れるからどんとこいだ。余裕の表情で胸を張る。
「じゃ、私は乗れそうに見える?」
「はい。好きそうに思います」
 彼女の口角が吊り上がる。
「正解。絶叫系大好き。じゃあまずはあれ乗りましょう。次あっちね」
 最初に指を差したのは、目の前に見えているジェットコースター。次いで指を向けたのは上下に動くタイプのアトラクション。
「さ、いくわよ」
「喜んで」
 駆け足になった彼女に続いて俺も走った。

 テンションマックスで走り回り、六種類目のアトラクションの列に並んだ時に彼女が言った。
「大丈夫? ついてこれてる?」
「大丈夫ですよ。俺もこういうの好きなんで」
「最初のデートでこれだときつかったでしょ」
「ああ、それでまだ早いって言ってたんですね」
「そう。最初からテンション上がっちゃうとまともな会話とか出来ないじゃない? っていうか私がそうなだけなんだけど。相手のこと知るよりアトラクション優先しちゃう」
「まあそういう場所ですからね。順番待ちの時間も考えなきゃいけないし」
「そう、それなのよ。効率よく回るには上手く待ち時間を計算しないといけないでしょ。でも体力も違うし、のんびり回りたいタイプの人もいるから、そういう時は無理させるのも悪いからね」
「へえ、そこは気にするんですね」
「どういう意味よ」
「いや、だったら先に教えてくれてもいいのになって思っただけですよ。俺は当日までカズミさんが絶叫系好きなのか、のんびり回るタイプなのかわからなかったし」
「私だってそうよ。平坂くんがどっちのタイプかはわからないもの。だから今日で見極めなくちゃね。あなたが無理してないかどうか」
「無理してたらどうするんですか」
「ペース落とすわ。今日は十分楽しめたから、平坂くんを労わってあげなくちゃ」
「じゃあ逆に俺がもっと激しいの好きだったら?」
「付き合うわよ。ぶっ倒れるまで」
 順番が回ってきたので乗り込んだ。今度はスクリーンを見ながら座席が揺れるタイプのものだ。
「待ち時間の間も楽しいかどうかも、相性を量るには大切よね」
「同感です」
 そうして俺たちはまたアトラクションを楽しんだ。



「あれはまだ早いですか」
 すっかり辺りも暗くなり、月明かりよりも騒がしい遊園地のライトが映える頃、ひとつのアトラクションに目を向けた。
「今だと夜景もきれいですよ」
「そうでしょうね」
 見つめる先にはゆっくりと回る観覧車。多くのカップルが並んでいる。
「ああいうのは恋人同士が乗るのが定番ですよね」
「そうね」
「俺たちはまだ付き合っていませんが」
「ええ、そうね」
「カズミさん」
 もう彼女の方も何を言うかわかっているはずだ。流れもタイミングも合っている。今日こそは。
「俺と付き合ってください」
 沈黙が落ちる。今日は即座の否定がない。彼女の俺を見つめる瞳。やはりこの流れは。
「やめておくわ」
「なんでですか。そろそろもういいでしょう」
「だってこの流れだとOKしたら観覧車に乗るでしょ」
「観覧車嫌いなら乗らなくていいですよ」
「別に嫌いじゃないけど、今日は困るじゃない」
「何がですか」
「乗ったらキスしちゃいそう」
 予想外過ぎる言葉に絶句する。たっぷり五秒は沈黙したあと、俺は叫んだ。
「いいじゃないですか!」
「まだダメー」
 そう言って笑う彼女は、無邪気な子供のようで、清純な少女のようで、けれどどこか蠱惑的でもあって。出口に向かう彼女を見つめながら俺は心の中で叫んでいた。
 なんでやねん!
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