現実世界では底辺でしたが、チートスキル「全知攻略サイト」で異世界を攻略します!〜最強装備・隠しダンジョン・魔王の弱点、全てお見通しです~

九葉

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第1話 異世界に転生しました。

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「魔王の弱点は首の後ろにある結晶だ!攻撃パターンは15秒ごとに変わる!次は全体攻撃が来るぞ!」

僕はスマホの画面を見ながら叫んだ。周囲の冒険者たちは驚愕の表情で僕を見つめている。

「どうして知っているんだ?」

「だって、ここに全部書いてあるから」

僕のスマホ画面には『魔王攻略ガイド』が表示されていた。攻撃パターン、隠しアイテムの場所、仲間になるキャラクターの好感度を上げる会話選択肢まで。この世界の全てがお見通しだ。

──これは僕、七瀬 ユウマが異世界に来てから3年後の話。

でも、始まりはもっと惨めなものだった。スマホに届いた36社目の不採用メールを見て落ち込んでいた、あの雨の日から全ては始まった。

「誠に恐れ入りますが、今回はご縁がありませんでした」

そう書かれた文面を読み、僕は「またか。。」そうつぶやいた。

大学はギリギリの成績で留年しそうになりながら6年かけて卒業した。サークルは入ったけど、コミュ障で三日で退部。バイトも5回クビになった経験がある。

通帳の残高はわずか8,000円。家賃の支払いが迫っているのに、親からは「もう仕送りはできない」と言われている。母親が最後に送ってきたメッセージは「いい加減自立して」という冷たい一言だった。

「はぁ...何で生まれてきたんだろう」

いつものように近所の公園に足を向ける。雨に濡れたベンチは座れる状態じゃなかったけど、屋根付きの休憩所があったから、そこに腰を下ろした。

小学生の頃からずっとこうだった。勉強もスポーツも人間関係も、何をやっても中途半端。「七瀬くんって何も取り柄ないよね」というクラスメイトの言葉が今でも耳に残っている。

高校では「ロクデナシ」というあだ名で呼ばれ、大学では存在すら忘れられる透明人間。社会に出る準備もできていない。スーツは古びて色あせ、面接では言葉に詰まり、自己PRは「頑張ります」という空疎な言葉だけ。

「世の中、不公平だよな」

スマホでメールをチェックする。合格通知なんて届いてるわけないのに。

指が滑って、無意識のうちにいつも開いているゲームアプリの攻略サイトに飛んでしまった。

「ゲームの世界なら...」

雨音をBGMに、僕は考え込んだ。ゲームの中では僕は違う自分になれる。

何より、ゲームには「攻略法」がある。努力すれば必ず報われる道筋が示されている。

「ゲームの世界なら僕も評価されるのに...現実には何の価値もないゴミクズだ」

そんなことをつぶやいた瞬間だった。

ゴロゴロ...。

遠くで雷の音がした。アプリを開いたまま空を見上げると、暗い雲の間から一筋の光が差し込んできた。

「え...?」

その光は刺すように直線的に、僕のいる場所を照らし始めた。まるでスポットライトのように。

「な、なんだこれ...!?」

スマホの画面が異様に明るく光り始める。パニックになって画面を消そうとするが、どうやっても消えない。

雷鳴がさらに大きくなり、光が増していく。全身が電気に包まれたような感覚。スマホを手放そうとしても、指が離れない。

「助け...!」

叫び声も雷鳴にかき消され、意識が遠のいていく。最後に見たのは、スマホの画面に現れた見知らぬウィンドウ。

「転移を開始します」

---

「...ッ!」

息を大きく吸い込みながら目を覚ました。

「ここは...どこ...?」

周りを見回すと、見知らぬ森の中だった。青々とした木々、聞いたことのない鳥の鳴き声、空気まで違う匂いがした。

「夢...じゃないよね」

草の上に横たわっていた僕は、ゆっくりと体を起こす。全身の筋肉が痛む。まるでマラソンを走り終えたような疲労感。服は乾いていたけど、靴は泥だらけになっていた。

「ここはどこなんだ...東京じゃないのは確かだけど...」

パニックになりかけたとき、ポケットに何か重いものがあることに気づいた。

「スマホ...!」

慌ててポケットからスマホを取り出す。画面は無傷。電源ボタンを押すと、すぐに反応した。

「電波は...圏外か」

当然だ。こんな森の中では。でも電源がついたことに安心する。と、スマホの画面を見て僕は息をのんだ。

画面には見慣れないアプリが一つだけ表示されていた。他のアプリは全て消えていて、「グランディア攻略サイト」というアイコンがある。

「攻略サイト...?」

不思議に思いながらそのアプリをタップすると、すぐに起動した。

=====================================
【グランディア攻略サイトへようこそ!】
プレイヤー:七瀬 ユウマ
レベル:1
職業:転移者(未覚醒)
現在地:初心者の森
体力:100/100
MP:30/30

【最初のクエスト】
「初心者の街までの道のり」
難易度:★☆☆☆☆(非常に簡単)
報酬:街への安全な到着、冒険者登録権

【クエスト詳細】
現在地から北に15分歩くと道が見つかります。
道を西に進むと「ベギナータウン」に到着します。
注意:夜になると森にゴブリンが出現します。日暮れ前に街に到着しましょう。
=====================================

「これは...まさか」

僕は思わず周囲を見回した。RPGのような世界に来てしまったのか?そんなバカな話があるはずない。でも、ここが日本でないことは確かだ。

「試しに...北に進んでみるか」

半信半疑のまま、スマホのコンパス機能で北を確認し、歩き始めた。木々の間を抜けていくと、確かに15分ほどで一本の道路が見えてきた。

「まさか本当に...」

手のひらの中のスマホを見つめる。もしかしたら、このアプリは本当にこの世界の攻略法を示しているのかもしれない。

道を西へ進み始めると、スマホの画面がまた変化した。

```
【新情報解禁】
「ステータス確認」機能が利用可能になりました。
「思考集中」スキルで自分のステータスを確認できます。
使用方法:「ステータス確認」と心の中で唱えてください。
```

「ステータス確認...」

心の中で唱えると、視界の端に半透明の窓が現れた。

=====================================
【七瀬 ユウマのステータス】
レベル:1
HP:100/100
MP:30/30
力:10
敏捷:12
知力:15
精神:13
運:11

【特殊能力】
「全知攻略サイト」Lv.1:この世界に関する基本情報が閲覧可能

【保有スキル】
「思考集中」Lv.1:精神を集中させることで特殊効果を発動できる
「言語理解」Lv.3:このエリアで使用される言語を理解できる
=====================================

「これは...RPGゲームそのものじゃないか」

驚きながらも、僕はなぜか落ち着いていた。この状況、どこか憧れていたものだから。ゲームの中みたいな世界に来てしまった。しかもチート級の「攻略サイト」付き。

現実世界では価値のない人間だった僕が、ここでは特別な能力を持つ存在になれる。そう思うと、胸の奥に熱いものがこみ上げてきた。

道をさらに進むと、遠くに街らしき建物が見えてきた。石造りの壁に囲まれた中世ヨーロッパ風の街並み。

「ベギナータウン...」

スマホの画面を見ると新たな情報が表示されていた。

=====================================
【クエスト進行中】
「初心者の街までの道のり」
進行度:90%
あと5分で街に到着します。
推奨行動:冒険者ギルドで登録手続きを行ってください。
ギルドは街の中央広場から北に進んだ場所にあります。
=====================================

風に乗って街の活気が伝わってくる。人々の声、商人の呼び込み、どこかで演奏される音楽。

異世界。ゲームの世界。僕はそこに立っていた。

「現実世界じゃダメダメだった僕でも、ここなら...」

胸に高鳴りを感じながら、僕は街の門へと足を進めた。スマホを握る手に少し力が入る。

「全知攻略サイト」。この能力があれば、きっと僕はこの世界でやっていける。いや、今度こそ誰かに必要とされる存在になれるかもしれない。

門が近づくにつれ、スマホの画面に最後の通知が表示された。

=====================================
【祝!最初のクエスト達成!】
報酬として「冒険者登録権」を獲得しました。
【新クエスト】
「冒険者への第一歩」が開放されました。
【次回予告】
あなたの冒険は、ここから始まります——
=====================================

ベギナータウンの門前で、僕は決意を新たにした。

「よし、今度こそ、人生やり直してみよう」

そうつぶやいて、僕は異世界での新たな一歩を踏み出した。
現実世界では底辺だった僕が、異世界では英雄になる——
そんな物語の始まりだった。
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