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20 僕のヒート
しおりを挟むお部屋に帰り、お風呂、着替えなど、ひと通り終わり、落ち着くと、ぽかぽかして来た。
もしかしたら、前回から、3か月経ってるし……。
でも、いつもと、少し違うような?
上手く言えないけど、ふわふわ眠いのに、そわそわムズムズもする気がする。
心配していた僕のお尻は、手当てが迅速で、既に違和感が、無くなっていたんだ。
軟膏は、一応付けて貰ったよ。
昼とは違い、夜は、お尻が、ピチャピチャした。
陽ちゃんは、「オヤ?」と言う顔をしていた。軟膏のせいかなぁ?
それとも、カプサイシンのせい?
もしかして、ヒートの影響で、大人のオメガの体液が出てたりするのかなぁ?
「麦穂、そろそろ、ヒートかもね。」
僕のおでこに、おでこを寄せ、熱の有無を見た陽ちゃんが、ベッドサイドで、フェロモンの数値を急いで測り、目を一瞬だけ、見開いた。
「うん。僕も、そうかもって言う思ってたんだ。大体、3か月経ったもんね。」
「ーーーあのね、麦穂、今回は、とってもフェロモン数値が高いんだ。落ち着いて聞いて」
「えっ」
「ーーもしかしたら、これからのヒートは、今迄の様に、期間中、一緒には、いられないかもしれない。」
「ええっ」
「そう言えば最近は、巣も作らなくなってきていたね」
最近の僕は、お気に入りの陽ちゃんの毛布に顔をくっ付けて、キイちゃんを抱いてヒートを過ごしているんだ。
「ーーーへ??僕、1人でヒート期間を過ごすの?」
「麦穂が大人に近付いて来てるから、一緒にいる方が危険なんだよ。オメガとアルファだとお互いのフェロモンが作用し合ってーー」
「嫌だ、嫌だぁ。僕、1人になるの?陽ちゃんはココに居ないの?」
思わず、陽ちゃんの腕にしがみついてしまった。
「隣りの部屋に居るよ。今まで通りだよ。何も変わらないよ。安心して。麦穂が起きている時は、なるべく部屋に居るし、寝ていても、30分置きに、顔を見にくる。約束する。蒼を通して、お話も24時間出来るよ。」
「うぅわぁーーーん。1人は嫌だぁぁぁ。」
何故か、感情のコントロールが効か無く成っていた。
陽ちゃんが、困った顔になっていた。困らせたく無いのに。
抱きしめられて、背中をポンポンされた。心臓が、痛いぐらい鼓動する。
どくん、どくん、どくん。
いつもなら、すぐに寝ちゃうのに、何故か眠れない。
抱きついて、陽ちゃんの首の匂いを、嗅ぎまくる。体もくっ付けてしがみ付いたり陽ちゃんの背中をサスサスと撫でる。
止まらない。どうしよう。くんか、くんか、くんか、
「はむむ、あぐ、あぐ、カプ、カプ……」
「ふふふ、落ち着くまで、吸ってて良いからね。大丈夫だよ。一緒にいるよ。」
ついでに、はむっ、はむむ、はむっ。首と肩の付け根に、唇でムニムニかじりつく。
それでも止まらない僕は、足を陽ちゃんの胴体に絡ませる。
ぎゅ~ぎゅ~。むぎゅ~むぎゅ~。
「はぁ、はぁ、はぁ、落ち着かないよぅ。どうしよぅ~。」
くん、くん、はむ、はむ。チュウ、チュウ。くん、くん、はむ、はむ。
「大丈夫だよ。さっきはごめんね。ここは安全だよ。安心して?俺も、このまま、ここにいるよ。今まで通りだよ。」
膝に僕を乗せた陽ちゃんが、背中を優しく撫でる。
苦しそうな顔の陽ちゃんから、フワァっと、暖かい何かを感じたとたん、睡気に襲われ、瞼が閉じていたんだ。
その後、小さな声が聞こえた。
「危ねぇ~。後、2年か?こんなの耐えられるのか?この上気した頬。懸命に俺を求める可愛い番。くっそ~、かわい過ぎる」
けれど、深い眠りに誘われた僕には、もう、何がなんだか、分からなかった。
強いアルファのフェロモンを、初めて浴びた僕は、全身が痺れて、動けなかったから。
それでも、ヒート用に借りた陽ちゃんの毛布に顔を近づけ、キイちゃんを抱きしめて、今まで以上に深い気持ちの良い眠りについていた。
陽一郎視点
ヤバいな。毎回毎回、徐々に麦穂のフェロモンが、濃くなる。
約束を守る為に、アルファ抑制剤は、既に服用したし、オメガ抑制剤も、服用させた。
出来る事は、やった。
今も、麦穂のロボット蒼から、隣の部屋の画像を送ってもらい、麦穂の様子を確認しながら、仕事をしている。
新素材の家を売り出す為の会社の立ち上げと、下準備だ。
家のメンテナンスを請け負う会社の設立は必須だ。が、何より、法整備がマストだな。
ふと、麦穂の顔をみて、思い立ち、仕事を止め、我が家の改善に着手する。
「換気の速度をもっと上げて、フェロモンを中和する気体を部屋に入れる方が良いか?」
安全性や、使用例の論文から確認を急ぐ。前に読んだ、『オメガと、アルファのフェロモン原理』と『オメガフェロモンの成分分析』が使えそうだ。
「部屋が広過ぎて、効果が出づらいな。小さな、ヒート用の部屋を用意しようか」
そんな事をしていると、
「陽ちゃ~ん、陽ちゃ~ん、ーーぐすん、ぐすん」
麦穂が目を覚ました。
寝ぼけているのに、ベットから、降りようとしている。
急いで、流動食を手に部屋へ行く。
「大丈夫だよ。ずっと居るからね。」
麦穂の手を引いてベットにもどす。
目が覚めている間に食事をさせて、落ちついたら、また、俺のフェロモンで前後不覚にさせて寝かそう。
「陽ちゃん、…ここに……居てね」
背中から、抱き起こし、寄りかからせて起こしていた麦穂の頭にキスをする。ついでに、吸っておこう。首に噛みつきたい衝動をどうにか抑える。
「スーゥ、スーゥゥゥ、あーーー、たまんねー。かぁわいい~」
しばらく、抱きしめたまま、背中ポンポンとリズム良く優しく叩き、意識が無い事を確認してから、ゆっくりとベッドに下ろし寝かせる。
俺の右足に、麦穂が足を絡めて挟んでいたが、そっと足を解く。
それから、また、自室へ戻る。
コレは、無理だ。耐えられない。襲ってしまう。
あの無垢な瞳の麦穂をこの俺が汚してしまう。
そんなのはダメだ。
だが、今すぐ首に、噛みつきたい衝動が止まらない。
「家全体の空気の流れを計算し直さないといけないな。」
番のフェロモンが濃過ぎて、理性が保てない。まずい、集中できないな。
あー、本能にまみれた衝動に駆られる。
後、たった2年の我慢だ。頑張れ、俺ぇ。
約束を、麦穂を守るんだ。
頑張れ~。負けるな。俺の理性。
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