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ジュリアス陛下のお見合い 2
午後のお茶の時間に合わせて、王宮のそばの迎賓館で、ジュリアス陛下のお見合いが始まった。
ラーラは、同郷だと言う、お見合い相手が、気になり、迎賓館の警護をしていた、騎士のイルと、エルに頼み、窓から覗き見る事にした。
「イル、エルありがと。後で二人が怒られたりしないかな?」
「俺たちなら、大丈夫だよ、ラーラ。ぷっ、ふふ、あははは あ、あの窓から、中の様子が見えるよ?ぶぁはっはは!」
何故か大爆笑のイルが、大きな窓を指差した。
「ふふっ、ぷふ、いつもソフィと仲良くしてくれてありがとう。くっくく、ソフィはね、ラーラのくれた指輪をとても大事にしているんだよ?だ、ダメだ腹が捩れる!」
ソフィにあげた指輪は、幸せな事が、たくさん起こる呪いをかけた指輪なんだ。ソフィにとっての幸せだよ。
大切にしてくれて、嬉しいなぁ。
でも、エルも、笑いを噛み殺しているのは、何でだろう?
迎賓館の窓からこっそりと中を覗き見ると、取り巻き護衛のABCと、ジュリアス陛下が言い争っていた。
「どこがラーラとそっくりな魔術師の男の子なんだぁぁぁ!ラーラと正反対な、デッカいごっついアルファの男性ではないか!」
陛下の前の椅子には、陛下が見上げるほど大きく、鍛え抜かれた、屈強な体躯のアルファの青年が立っていた。
あ、あれ?見覚えがある様な、、、。誰だっけ?
「陛下、失礼ですよ。黙りなさい。」
「そうですよ、わざわざ、この国まで来て頂いたのに。」
「お見合いは、今すぐ中止だ!これは、隣国の若者との、交流茶会にしてくれ~」
「「「「陛下!」」」」
焦ったABCに、口を塞がれ、椅子に縛られた状態で、座らされた陛下に、お見合い相手であろう、向かいに座った屈強な青年が答えた。
「私は、構いませんよ?西コルヌの国王より、こちらの陛下が、大魔術師ラーファに似た若者と、お見合いがしたいと、申し出があったと、聞いて、来たのですが、、、」
「え?あれ?いいえ、西コルヌの国王陛下には、魔術が得意なラーラに似た若者に、お見合いを申し込みました。すみません。行き違いがありましたね。」
と、取り巻きC。
「リドリー様、大変失礼しました。最高級のお茶をご用意いたしました。美味しいんですよ?どうぞ、お召し上がり下さい。お菓子も、たった今、焼き上がったばかりですよ?どうぞ。シェフは、お菓子作りが得意なんですよ~。は、ははっ」
取り巻きBは、リドリーの目の前に、お茶や、お茶菓子をたくさん並べ、誤魔化そうとしている。
「最近の、西コルヌ王国の、現状を教えてください。今流行は、どんな事ですか?犯罪発生率の変化はありましたか?就職率はどうですか?出生率に変化はありますか?物価の価格変動はありますか?」
「知るか。あの国は、1000年前と変わらない生活だ。」
しれっと、取り巻きAが、お見合いから、意見交換会に、移行しようとするところが、小賢い。
「…しかし、ラーラ?ああ、あの、顔だけの、落ちこぼれか?俺は、あのクズと、同郷なだけで、呼び出されたのか?腹立たしいな。」
「え?ラーラちゃんは、優秀ですよ?魔力量は…あれですけど、ね?」
「顔だけなんて、、、コピアーナの為に、自分の番を独占しない事を選ぶ、優しい子ですよ?」
「リドリー様、行き違いがあり、申し訳ございませんでした。でも、ラーラちゃんは、顔だけではありません。コピアーナでは、ラーラちゃんの作った呪いのかかったお守りや、アクセサリーが、大人気なんですよ?」
「ラーラの、呪い?はっ!笑える。あのクズの作る商品が人気だと?大した事の無い国だなぁ。かわいいオメガの陛下が居るのなら、この国を貰おうかと思ったのにな。」
足を組み、ティーカップを上からガッツリと握り、お茶を飲むリドリーを、周囲の人々が汚い物を見る目で見つめていた。
「リドリー殿、本日は、ご足労ご苦労であった。行き違いがあり、誠に申し訳ない。せめて、お茶と、お菓子で楽しんで行ってくれ。失礼する。」
珍しく公の場での喋り方の陛下が、死んだ魚の目で無表情のまま退席した。
「ああ、本当に、失礼だよ。あんなクズと、似ているなんて、間違いは。」
出されたお茶とお菓子がなくなったところで、不満顔のリドリーも立ち上がって帰ろうとドアを出た。
その途端、
「ラーラは、優秀だよ。リドリー殿。」
「ラーラに、謝罪を要求する。」
「うっ、はぁ?何をする?!」
騎士のイルとエルが、リドリーを魔力で拘束して、リドリーの首に刀を突きつけた。
「ふぁぁ?イル、エル、ダメだよ。国賓でしょ?僕は、大丈夫だよぉ?」
必死でイルとエルを止める僕を背中に庇い、アーロンが刀を抜いて目の前に立った。
「あっ、、、アーロン、、、」
「茶会が終わったら、国賓では無いな。コイツは、国を乗っ取りに来た危険人物だ。」
リドリーが、うっと、小さく呻いて、体の半分が土にめり込んだ。
ギチギチと音を立ててアーロンが魔力でリドリーの舌を潰していた事には、誰も気付かなかった。
「アーロン?いたの?ダメだよ!国際問題に、なっちゃうよ?この人、西コルヌの、大魔術師の息子さんだよ。偉い人なんだよ?」
「そうか、この国では、唯の人だな。子供の頃、コイツに、嫌な事をされていたな?ラーラ。」
「え?どうして、分かったの?リドリーには、西コルヌの、プレスクールに入った時に、男なのか、女なのか、どっちか見せろって言われて、みんなの前で裸にされただけだよ?あ、あと、会う度にイジメられたけど、子供の頃の事だよ?」
「身包み剥がして、拘束しろ。」
騎士団のみんなが集まって来て、アーロンの指示で、リドリーが、拘束される。
「きゃーダメだよ。アーロン、僕クズって言われるくらい平気だから!」
「平気ではない。それに、そこではない、ラーラ。俺の番の裸を見たんだ。目を潰す!いいや、自分が死ぬ姿を、その目で見てから、潰すか。ラーラの心を傷つけたんだ。ただでは済まさない。」
「ぐぇぇっ」
リドリーの、喉から、変な音が漏れた。
「ラーラちゃん、この国の全員が、アーロンと同じ気持ちですよ?」
「ラーラちゃんを侮辱して、謝罪がないとは、この国では死刑レベルの重罪ですよ?」
「え?国を乗っ取る事より、そっちが重罪なの?」
「ええ、そうです。僕たちのかわいいラーラちゃんを、傷つけるなんて、許されません。」
騎士たちが、口々に言う。
「えぇぇ???」
リドリーは、その後、王都の中央通りの噴水広場に、裸同然で、拘束される事になった。
「ママぁ、あれなあに?」
「しっ、見ちゃだめよ!変態の犯罪者だから!」
「体だけ鍛えた犯罪者ですって、いやぁねー」
「裸で国を乗っ取りに来たの?怖いわぁ。頭の中身が怖いわぁ。」
『ふひふーーー!』
魔力で拘束されたリドリーは、「違う」と、叫びたかったが、アーロンに舌を潰されたままだった為、出来なかった。
何より、すぐにでも謝罪をしたかったが、叶わなかったのだ。リドリーは、この時、生まれて初めて反省をした。
「重罪を犯したの?嫌だわー。でも、可愛い~。ほほほほ」
「良い物持ってるわねー。この子。うふふふ」
毎日リドリーの様子を見に来る、雄姉さんのファンも出来た頃、西コルヌと、コピアーナの交渉が始まった。
アーロンの意向で、ゆ~っくりと進んだ交渉の末、大魔術師の父親ラーファと、リドリーが、陛下とラーラに謝罪する形で、リドリーの身柄は、目も、舌も無事な状態で、送り返されることになった。
ラーラが、必死に、子供の頃の出来事だと、アーロン団長を説得した結果だった。
「ふひはへんへひは。にほほこほくひひはひひりまへん。」
こうして、1ヶ月程経った頃、ようやく、一件落着となったのでした。
この頃、リドリーのファンの2人の、雄姉さんが、西コルヌ王国へ移住したのは、あまり知られていない。
「アーロン、僕の為に怒ってくれて、ありがとう。」
「当たり前だ。俺の優秀な魔術師ラーラ、愛してる。嫌な事は、忘れて、愛で記憶を上書きしよう?」
「あぁ!だ、ダメだよ、今は、ルルが起きちゃうよぉ。あっ、やぁ、ぁぁ、」
「嫌なの?ラーラは最近、嫌ばかりだな?」
「そんな事ないよ、あ、ぁ、ぁ、指が、入っちゃうよぉ。」
「挿れてるの。ラーラの中、あったけ~、もう、こんなに濡れてるのに、本当にやめるの?」
「ひぅ、前も、胸も、一緒に触ったらダメだよぉ。ぁん、ん、ん、んぁ、意地悪ぅ~~~!」
「違うよ、愛があふれているんだ。俺の愛に応える気持ちがあるのなら、四つん這いになって、お尻を上げて、『アーロンお願い挿れて』って、言ってみて?」
「や、やだぁ~!無理だよぉ」
「出来るよね?ラーラ。たまには、ベッドに運ばれる前に、リビングで優しく、ヤリたくない?ベッドで強制的にするのと、リビングのソファーで、優しくするの、どっちが良いの?」
「や、優しく、腕枕で、、、ベッドで添い寝だけコースは、有りますか?」
「ねーな。他は、、、発情薬飲ませるコースか、ゾネのオメガオイルコースだな。」
「~~~。」
「ラーラ、どっちが良いですか?」
「じ、じゃあ、、、や、優しく、優しさあふれる、番想いの、優しい、優しい、優しいコースでお願いします、、、。」
「あぁ。任せとけ。俺はいつも、番想いだし、優しいからな。」
その後、発情期明けでも無いラーラが、数日間、ヘロヘロになった姿で、学園で目撃されていました。
ラーラは思いました。ベッド以外でも、いつも通りなら、ベッドで強制的にされるのと、変わらないと。
一方、ソニアと、ジョルジュの家では、
「やれやれ、お疲れ様ソニア。人騒がせな、見合いだったなぁ?陛下も、今回の件で、諦めたかなぁ?」
「本当に、陛下の番はどこにいるんだか、、、。」
「まぁ、今は、陛下の事は、忘れて2人の時間を楽しもうね?愛しい、ソニア」
「うん。そうだね、ジョルジュ愛してる。」
こちらも、数日間、夜に部屋の灯りが消える事は無かったそうです。
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ニヤ。さんの考える設定大好きです!これからも作品楽しみにしています🥹💞
すゆゆさんコメントありがとうございます。愛のある優しい世界を意識して書いてみました。これからも頑張りますので、また見て下さいね😭🙏