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10 ジュリアス陛下にお願い
「この国で勉強をさせてください。」
胸の前で、手を組み、膝を折った姿勢で挨拶をした。
兄のレオナルドも、援護してくれた。
「ジュリアス王よ。弟は、コピアーナ王国が、気に入っていて、しばらく、ここで生活したい様なんだ。よろしく頼む。」
虎の威を借りましょう。ふっふっふ。
兄は、ジュリアス王の周りにいた取り巻きを呼び、金貨の入った袋を渡した。
お金の力も、借りたようです。
「わー、ありがとうございます。レオナルドさん。僕、大ファンです。弟さんの事は、任せて下さい。」
「馬鹿者!主の前で堂々と、買収されるな。入学の許可は、私が出すんだぁ。」
「まぁ、まぁ、陛下。西コルヌ国王の推薦状まで、持ってきているんですよ~?」
「そうですよ、陛下。両国の友好の為にも入学くらい許可してあげて下さいよぉ。」
何だか、威厳の無い国王だなぁ。と、兄の顔を見ると、兄も笑っていた。
「コピアーナの南東部で、3日前に魔獣が出たと聞いた。騎士団の皆さんが、苦戦しているのですよね?この後、私も魔獣討伐に、参加しましょう。」
この一言で、ジュリアス王は丸め込まれた。
今回の魔獣討伐で騎士団は人手不足らしい。
もし別の場所に魔獣が出たら、陛下も討伐に出なければならないとか、、、。
う~ん、、、青年王は、魔獣討伐には、出ないタイプの王なんだぁ。
「おい、冒険者レオナルドの弟、問題を起こしたらすぐに国に追い返すからな。顔を見せろ。名は?」
僕はローブのフードを取り、顔を見せる。
「ラーラです。よろしくお願いします。」
「お、お、おま、私に求婚しているのか?私と学園に通いたいから、この私の国に、来たのか?積極的なのは、嫌いではない。むしろ、好きだぞ。」
「え?なんで?求婚なんて、してないよ?」
「わぁ、ラーラさん美しいなぁ。」
「ラーラさんに、入学許可出さないと、国の大きな損失ですよ。許可する事をお勧めしますよ。」
「誰が追い出すか!私と同じ騎士科にして、席を隣にしよう。」
「いいえ。魔術科でお願いします。」
呆れた顔の兄が、僕の首に守りの呪いのかけられたリボンを巻く。
「ラーラ。このリボンを、常に巻いていなさい。オメガは、首を愛する人にしか、見せてはいけないよ。発情止めをいつも備えて、フードで可愛いお顔は、隠しておくんだよ。たまには、様子を見に来るからね。」
頭をなでなでされて、別れを実感して涙ぐんでしまう。
「お兄ちゃん、ありがとう、、、。」
きっと一生、僕は、首を人前に出す事は、無いよ。だから、ありがとう。
このリボン、毎日巻いておくね。オメガを辞める、その日まで。
僕達が別れを惜しんでいる傍ら、ジュリアス王は、自分も、魔術科に転入すると騒いで、取り巻きに止められていた。
そして、なんと、住む部屋が見つかるまで、王宮の客室を貸してくれるらしい。
ラッキー。部屋が見つかるまで、ご厄介になります。
この日、貞操帯が、外れた事は、誰にも秘密にして下さい。
外れたこの貞操帯は、、、どうすれば良いのでしょうか?
至れり尽くせりの王宮に泊まり、ジュリアス王を避けながら、不動産物件を探す日々が、始まりました。
「庭園を散策しないか、ラーラ?」
「荷物の整理をしております。」
「夕飯を一緒に取ろう、ラーラ。」
「夕飯は頂きます。ですが、私は平民ですので、、、別で頂きますね。」
「観劇に、、、」
「ピクニックに、、、」
「街の散策は、、、」
「今、手が離せません。陛下」
「そんなに私を翻弄するなんて、小悪魔め、やはり求婚しているんだな、ラーラ?」
「していません。」
僕が王宮の客室を借りてから2日後に、騎士団の魔物討伐部隊が帰ってきたんだ。
ローブを目深に被り、柱の陰からそっと帰国報告を見ていた僕は、部隊長アーロンさんから、目が離せなくなった。
全身の血液が、沸騰した様に、駆け巡っていた。
ジュリアス陛下に止められ、近寄れなかったが、アーロン部隊長が、僕に言った。
「レオナルド殿の弟ラーラ。レオナルド殿には、この度、大変お世話になった。コピアーナ学園に通う間、困った事があったら、いつでも来なさい。私は、騎士団魔物討伐部隊の部隊長アーロンだ。」
「はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「アーロン、もう良いだろ?さっさと帰れ。」
「はぁ???ジュリアス、お前、何を隠してる?」
「何も、何も隠してない!近寄るなぁ」
「何で、レオナルド殿の弟を見せない?」
「あぁ!来るな!駄目だ。止まれぇ。」
「うわぁ。鼻水とつばを飛ばすな、ジュリアス。汚ねーなぁ。」
まるで先輩から可愛がられながらイジられる後輩のような、ジュリアス陛下に、思わず「プフフ」っと笑ってしまった。
その、ジュリアス陛下に柱の陰へ押し込まれながらではあったが、アーロンからの言葉が胸に広がり、その後、何度も何度も、僕の頭の中で、繰り返し思い出された。
「困った事があったら、いつでも来なさい。」
嬉しくて、嬉しくて、何度も何度も、脳内で反すうする。
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