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12 ラーラのまじない屋
店の看板は、魔法薬の瓶の絵にした。
風に揺られて、建物から突き出して付けた、アイアンと木製の看板が揺れた。
学校が休みの日には、一日お店を開けても良いかもね。
生活の全てが、お店の経営と、魔術の勉強だけど、この国での生活は、楽しみだなぁ。ふふふ。
将来に、少しだけ希望が見えた気がする。
僕の作った、ガラス瓶に詰めた呪いのかかった砂糖菓子は、色によって、効能が違うんだよ。
人気なのは、ピンクの恋愛守り、港町なので、ブルーの大漁のお守り、水色の航海の安全守り、も売れ筋だね。
黄色の商売繁盛、緑の学業成就、色とりどりの小瓶に入った砂糖菓子が棚に並んだ。
呪いのかかったアクセサリーも、用途別に並べた。
お金を箱に入れると、商品が手に取れる仕組みだよ。
身に付けて持ち歩く呪いをかけた、ブレスレット、指輪、ネックレス、イヤリングに、ピアス。
小さい物から、大きな物まで、形もさまざま用意していた。
それから、乾燥させた薬草も用途別に、調合して、瓶に詰めて並べている。
「痛みを和らげる薬」
「吐き気を和らげる薬」
「熱を下げる薬」
「痒み止めの薬」
10歳からコツコツと用意を始めた、僕の自慢の商品達だよ。
兄に貰った魔石で作った、お守りが、キラキラとお店の中で光っている。
商品を整理していると、さっそく、店舗の扉に付けた、乾燥させたククリの実が揺れる音がした。
カラン コロンとドアが開く。
「いらっしゃいませ。ラーラの呪い屋へようこそ。何がお望みでしょうか?」
「好きな人が、いるんです。両思いになる為に何か良い方法はありますか?」
かわいい女の子だった。頬をピンクに染めて、もじもじと入ってきた。
「えっと、あなたにピッタリな、恋のお守りがありますよ。開店祝いで、本日半額です。」
ピンクと白の小さなガラス玉のブレスレットに、好意の呪いをかける。
「お友達にも、教えるわ。ありがと。綺麗なお兄さん。」
「上手くいきます様に。またお越しください。」
カラン コロン
「ヤァ、かわいい占い師さんだね。占ってくれるかい?」
「いらっしゃいませ、何を占いますか?」
「明日の漁は、北と東どっちに行くのが良いかね?」
漁師さんだった。
「漁業ですね。」
カードをバラバラと、テーブルに置き、カードの方角を読む。
「う~ん。北北西の漁場はありますか?そこが絶好調ですって。」
「あ~分かった。エビの漁場だ。ありがとうな。かわいい坊ちゃん。」
「本日、開店祝いで、船に良い風が吹くお守りも付けます。またお越し下さい。」
カラン コロン
「どう?お客さん来てる?僕が町中に宣伝しておいたからね。『アル大好き』って言って?わぁぁぁ、コレはまた、ノスタルジックな、内装にしたね?古代の魔女の店みたいだね。」
余計な事を~~~。道理で、お客さんが多いはずだ。
朝から引っ切りなしなんだよ。
しかも、内装は、僕的には、新しいつもりだったのに…。古代なのか?
「…ありがとうございます。アルマさん。」
「えぇ?よそよそしいよ~。僕たちの仲でしょ?」
「え?どんな仲?」
「2人で、シャワー室に入ったでしょ?」
「アレは…使い方を教えてもらっただけだよね?」
なかなかに、クセの強い不動産屋さんを選んでしまったが、平和に日々が過ぎて行った。
初日のお客様が、知り合いを連れて来て、また、その知り合いも通ってくれている。
潮風の通るこの街は、毎日、商業船が港につき、商品も、人も賑やかに行き交う。
街の大通りには、小麦の絵の看板が目印の美味しいパン屋さんがあり、いい匂いが
辺りに漂っている。
その、向かい側には、採れたての野菜や果物が並ぶお店があり、威勢の良い声でお客さんを呼んでいる。
大きな街なので、市場も大きく、お店の種類もたくさんあった。
木工細工の店。硝子細工の店。魔道具専門店もあった。
お皿に乗った肉の絵が目印の、大きなレストランは、いつも賑やかに、お客さんがいっぱいなんだよ。
カラフルなジェラート屋さんには、常に新作が並び、いつも行列ができている。
その横には、ドレスを模った看板の服屋があった。
僕は、学園の制服は、ここで作ってもらったんだよ。
この穏やかな街並みが、時間と共に変化する様子を、自分の部屋から眺めるのが、好きになっていった。
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