メンタル弱めのΩの僕は、鬼畜『鬼』隊長とは番えません

ニア。

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19 初めてのヒートから覚めた



 3日目に、ようやく、ラーラが疲れて、眠った様だった。

 「満足そうで、寝顔まで、愛おしいな。」

 ラーラの体を、濡らしたタオルで拭き清め、俺は、シャワーを浴びていた。

 ラーラの為に、水分と軽食を用意しようかと、考えていると、あちらこちらに、ぶつかりながら、ドアを出ようとする、ラーラの姿が目に入った。

 ベッドから床に落ち、立ちあがろうとして、転びかけ、サイドテーブルにぶつかる。

 体勢を整えると、今度は、本棚にぶつかりながら、俺の部屋の出口のドアに手をかけた。

 どうやら、ラーラはパニックになってるようだった。


 ラーラの中では、パーティー会場の庭園から、急に知らない部屋の中で、発情から覚めたのだ、仕方ない。

 だが、その全ての動作が、可愛くて、見とれてしまった。

 『う~ん。可愛いなぁ~。』


 あぁ、しまった。今は、そんな場合ではない。


 「ラーラ待て、落ち着け。」

 濡れたまま、バスローブを羽織り、ラーラに声をかけると、泣きながら一瞬だけ振り向いて、

 「ーーーごめんなさい」

 と、小さな声で言い、服のポケットから杖を出し、2回タップして、大きな黒いパラソルに変えた。

 そのパラソルに、跨がり、ふわりと飛び立った。


 200歳を超えるおばばに、魔法を習ったからなのか?

 昔話や、おとぎ話に出てくる様な、不思議な魔法を使うんだな。

 コピアーナ王国では、見ない移動手段だった。

 この国の大半の人は馬か、ジェット気流で飛ぶ、スケートボードで移動するんだ。

 

 ラーラは俺よりも、魔力が弱いし、体力も無いので、油断していた。

 むしろ、ラーラの驚き、逃げる様子に、見とれていたくらいだ。かわいかったなぁ。


 「くっそ、何がごめんか、問い詰めてやる。」


 大急ぎで着替えると、愛馬の黒毛のユニコーンに乗り、トレーダーズコーストの、ラーラの家へと向かう。

 先王から、魔物討伐の褒美にもらった、愛馬のユニコーンは、国内最速の、脚力の持ち主なのだ。

 ラーラよりも、かなり先に、ラーラの店舗兼部屋に、着いた。

 パラソルに跨がり、のんびりと、ユラユラ帰って来た、ラーラを捕まえ、あっという間にパラソルを取り上げ、部屋へ連れ込む。



 

 「あっ、えっ???」

 逃げ帰ったはずなのに、何故か、先にアーロンが、僕の部屋にいた。

 「何が、ごめんか、聞こうか?」
 
 引きつった顔で、僕の腕を掴んだ。

 「ぼ、僕は、、、あの、アーロン隊長に、し、失礼な事をしてしまって、、、数日間、時間を奪ってしまった事が、、、申し訳なくて、、、ごめんなさい。」
 

 「、、、ふむ。俺をヤリ捨てる気なのか?大胆だな。ラーラ。」

 「きゃーーー。違うよ。そんな気は無いよ。僕は、Dクラスの『ただのオメガのラーラ』なんだ。僕なんかが、アーロン隊長を独占したらダメなんだ。オメガも辞めたいし、、、。」

 しまった。口が滑った。

 「ほー。性別オメガを辞める?何だそれは?」

 「あなたは、全国民から、必要とされるアルファの騎士だ。『討伐部隊・隊長』なんだよ。コピアーナ王国に必要な人なんだよ。オメガの発情期なんかに、付き合わせては、いけないんだ、、、」

 「ほーーー。よく分からないが、発情期を共に過ごしたが?ラーラ、どこまで覚えているんだ?」

 捕まれた手を、離してくれない。

 「ジュースを、もらった所まで、です。」


 「「、、、、、、。」」

 「庭園広場で、出会った所だな?」

 「、、、うん。」

 



 何も覚えていない様子だったので、最初から説明した。

 主に、ラーラが、何度も何度も、俺を求めて

 「もっと、もっと、するぅ」

 と言って、俺の指先を掴んで、離さなかった事を中心に、

 「ゆっくり動くの気持ち良くて好き。」

 と、せがんだ事など、この3日間の発情生活を、克明に話して聞かせると、顔色が青くなり、失神してしまった。

 
 おや?刺激が強すぎたか?数時間前に、自分で言った事なのにな?

 発情が終わると、別人の様なんだな。



 一瞬失った意識が戻り、、ガクガク震えるラーラを抱きしめる。

 ラーラの香りが、心を落ち着けてくれる。

 きっと、ラーラも、俺のフェロモンで、落ち着きを取り戻しているのだろう。
 

 「大丈夫か?とりあえず、腹減ったぁ~。ラーラ飯食おう。俺、腹がすっげー減ってるんだ。屋台行くか?」


 「ええぇ?お腹…???」

 アーロンに言われて、初めて気がついたが、僕もお腹が空いていた。


 「あの、僕が作っても良い?お礼に、、、ちょっと待ってて。ちょうど、材料があるんだ。最近、癒しと回復と、精神安定の料理にハマってるんだ。」


 「知ってる。」

 「知ってるの?」

 アーロンの、『腹減った~』の一言で、一気に気が抜けたから、僕は、朝ごはんの支度をする事にしたんだ。

 「ソファーで、休んでて?アーロン」

 「番だけ、働かせるわけが無いだろ?」

 「そーなの?」

 「そーだろ?」

 何故か、キッチンで、疲労回復、精神の安定の朝食を、アーロンと2人で、作る事になった。


 ふわふわする。この感情は、僕の心の、欠けた部分を、補って、余りあるほどの、大きな愛情を、もらったから、なのかなぁ。
感想 4

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