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21 色々強めのアーロン
鬼のアーロン隊長は、優しい笑顔で、押しも強かった。
僕の、弱々メンタルと弱々の意志には、アーロンの強い意志と、押しが、とても、ぴったり、合った。
話すうちに、2人の相性が良いのも、すぐに分かったし、それに、一緒に居るのが、落ち着くのも、分かった。
でもね、僕は、朝から頭の中がごちゃごちゃしているんだ。
僕は、お皿をアーロンと片付けると、部屋の作業スペースの棚から、二つのものを取り出した。
「アーロン、発情期に付き合ってくれてありがとう。コレは魔物避けの呪いをかけた指輪です。受け取って。」
「発情期に付き合う?番には当たり前の事だ。変な言い方をするな。」
平常心を装うのに必死で、アーロンの言葉が、もう、耳に入ってこない。
アーロンの左手を取り、モンブラーノもぐらの、ハッカ卵の殻と、チクチクペッパーの粉末を閉じ込めた、魔法石の指輪を渡す。
腕を掴んで離さないアーロンに、
「ーーー付けてみて?ご武運がありますように。」
と促すと、やっと僕の腕を離し、彼が指輪を着けた。
そして、ほっとした僕は、ニッコリと、うなずく。
「ーーーごめんなさい。アーロン。(時間をちょうだい。)」
その瞬間、母の魔力で発動する瞬間移動の魔法陣に手を乗せ、そのまま、ウィッチバレーの自宅に移動していた。
一瞬で、移動するから、最後は、聞こえなかったかも…。
この魔法陣は、母の元にしか、行けないんだ。
父が古代遺跡で発見した物で、魔力を通して覚えさせた人の元へ運んでくれる。
魔力弱々の僕でも使える優れものだよ。
ラーラ帰宅
「え、えへへ、た、ただいま」
突然帰って来た息子に、最初は驚いた様子の両親も、理由を問い詰める事はせず、そのまま、いつも通り、受け入れてくれた。
僕は、頭の中がぐちゃぐちゃで、考えがまとまらなかったんだ。
心を落ち着けて静かに考える時間が欲しかったんだ。
「おかえり、ラーラ、朝ごはんは食べる?」
「ううん。食べたから要らない。少し、部屋にいるね。」
僕は、自分の部屋で、考え始める。
僕の部屋は、心を落ち着ける呪いで溢れ、作りかけのお守りや薬が出しっぱなしだった。
猛毒大根の毒抜き後、天日干しした心を落ち着ける『大根の姿干し』が窓辺に紐に吊され、何十本も飾ってある。
雪国で獲れる、『雪大蛛のタマゴ』が、カゴに山盛り置いてある。精神安定の作用があるんだよ。不安を吸い取ってくれる呪いが、かけてあるんだ。
『黒トカゲの姿揚げ』が、大きな瓶に詰まって戸棚に入っている。コレは、心を落ち着ける薬の材料だ。
『千歳を超える熱帯希フィッシュ』の角はとっても貴重な物なのに、ガラスのボウルに山のように入っている。コレも精神安定の薬の材料だ。
『ジャコウ大カマキリの抜け殻』は、自律神経の乱れを治し、呼吸を安定化させる薬の材料になるんだよ。お兄ちゃんが、たくさん集めてくれたから、いつも心を鎮める薬が作れるんだ。
『イケメンの吐息』に、『イケメンの微笑み』それから、『浮遊岩』を砕いた物…扱いが難しいから、特別な容器に保存してあるよ。
僕の部屋の、棚の瓶には、貴重な材料が、たくさん並んでいる。
全て、心を鎮める作用のある物ばかりだった。
さて、苦手な、整理をしよう。頭の中のね。散らかった部屋は、そのまま、そのまま。見ない、見ない。
隣の国に行って、勉強をしたい、気持ちは、今でもある。
性転換の術を、受けたい気持ちも、変わらない。
お店は、続けたい。
アーロンは、とっても大好きだよ。
でも、身分の高い人だったんだね。僕とは、不釣合いだよね?
もしも、このまま、二度と会えなくても、アーロンの事は、ずっと、大好きだと思う。
アーロンが、誰か他の人と番になったら、、、嫌だなぁ。
アーロンが、目の前で、他の人と、ダンスをしていたら、、、うわぁ~耐えられないなぁ。
それくらい大好きで、大事な人に、月の満ち欠けを3回繰り返した、次の発情期も付き合わせてしまうのかなぁ?
僕が発情している時に、魔獣が出たら?
それは嫌だ。きっと、コピアーナ王国の人達、全員に、迷惑をかけてしまう。
オメガは嫌だ。自分が嫌いだ。
自分が、コピアーナに害を及ぼす、だけの存在になるのが許せない。
「僕、なんでこんな風に生まれちゃったんだろ、、、」
ベッドに突っ伏して泣いていたら、いつの間にか夜になっていた。
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