メンタル弱めのΩの僕は、鬼畜『鬼』隊長とは番えません

ニア。

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23 アーロンと師匠の間で何が?


 
 お父さんのグリフォン(空飛ぶライオンだよ)で送ってもらおうと、家を出ると、おばばと、アーロンが立っていた。


 突然過ぎて、心の準備が出来ていない僕は、またまた、動転する。


 「ア、ア、アーロン?」

 「ラーラ、魔物避けの指輪をありがとう。」


 失神寸前だった。

 「きゃーーーっ。」


 「あら、ラーラちゃんの彼氏?ウィッチバレーに入れたの?良かったわね。」

 お母さん、今、それどころでは、ありません。


 「えぇ、おかげ様で、どうにか入れましたよ。コピアーナ王国騎士団・魔獣・討伐部隊長アーロンと申します。初めまして。」

 師匠を見ると、アーロンに襟首を掴まれ、気まずそうに、指先を、ごにょごにょしている。

 「指輪を外しましたから。ね?キャンディ・シュガーさん。」

 え?師匠、何があったの?

 「遠くまで来てくれてありがとね。びっくりしたでしょ?ラーラちゃんたら、急に帰って来ちゃったってね~?ごめんなさいね。」
 

 「上がってお茶でも、どうぞ。さぁ、おばばもアーロン君も、上がって下さい。」


 お父さんに向かって、騎士の礼をして、「ありがとうございます」と言った、アーロンだったが、すぐに、こちらを向く。


 「ラーラ、何がごめんか、聞かせてもらおうか?こんな指輪まで付けさせて、変な理由だったら、タダじゃおかないぞ。」


 「ひぅっ」

 嫌な汗が、背中を伝う。

 「まぁ、長くなりそうね、、、。夕飯の支度もするから、どうぞ入って?ラーラちゃんの部屋にする?すっごく、散らかってるけど?」


 「ありがとうございます。でも、お気遣いなく、お母さん。長くなりません。話は外で、聞いていましたから、、、。」


 「きゃーーっ!嫌ぁぁ。どこから?どこから聞いてたの?」

 「僕、コピアーナで、好きな人が出来たんだ。って所からだな。」


 全部だった。アワアワする僕、凄みを増すアーロン、オドオドする師匠、、、。

 本当に、何があったんだ?


 僕が自室で寝ている間、アーロンは、僕を迎えに、こんな所まで、来てくれたんだね。

 結界から締め出す為の、指輪も外している。

 アレって、指輪を渡した僕にしか外せないものなのに。

 あ、だから師匠か、、、。この国で、一、二を争う、魔力の魔女だからね。



 「ごめんなさい。こんなつもりでは、なかったんだ」

 「ほーーー。」

 アーロンが、ゆっくりと、腕を組んだ。

 上から見下ろしながら、見つめられた、僕は、またまた、逃げ出してしまった。

 「きゃーーーー。許して下さ~い!」

 胸のポケットから、魔法の杖を出し、今回は、3回タップして、ほうきに変え、実家から、飛び去る。

 ほうきの方が、ほんの少しだけ、スピードが出るんだよ。

 街中ではパラソル、人の少ない場所では、ほうきを使うのが、西コルヌの魔女のマナーだよ。


 ちゃんと、謝りたいけど、演習場のアーロンの怒声が、頭の中で響いている。

 「ご、ご、ごごご、ごめんなさぁ~い。」

 怖いよぉーーー。逃げろぉ~。


 「あっ、テメ。」

 アーロンの愛馬の、黒毛のユニコーンは飼い主に似て、目つきが鋭く、ファンタジーな感じは、皆無なんだ。兵器って感じなんだよ。

 ツノが武器にも見えるんだよ。

 ユニコーンまで、「刺してやる」って言ってそう。こわぁ~。


 その愛馬で、一瞬にして追いついて来て、横を並走し始めた。

 速さが全然、違うんだよね。僕のほうきは、ふよふよ~って感じで、アーロンの愛馬は、バビューンって感じなんだよ。

 馬だけに、馬ビューンってね。違う違う、現実逃避しちゃった。

 赤ちゃんの、ハイハイと、狙いを定めた野生動物の速さ、くらい違うんだ。

 「ゆ、ゆ、ゆ、許してぇ~。」



 「ラーラ、発情期の後、『発情に付き合うのなんか、番には当たり前の事だ。』と言ったはずだ。」

 のんびり並走するアーロンと、ユニコーン。


 「そもそも、『付き合う』わけではないだろ?ラーラが俺を求めて、必要としてくれる楽しい、充実した時間を、一緒に過ごすんだ。ラーラが満足した時、俺も満たされるんだ。」

 必死に、ふよふよと、ほうきで飛ぶ僕。


 「楽しい、、、充実、、、?」

 「そうだ、騎士は休みなく、働かなきゃいけないのか?たまに、自分にとって、必要な休暇くらい取る。俺だけしか、出来ない騎士の仕事なんて無い。けどな、俺だけしか、ラーラを満足させられないはずだ。」

 僕の手をとるアーロン。ほうきをしまい、アーロンの愛馬に、向かい合わせで乗る。

 「うわぁ~ん。ごめんなさい。コピアーナの国が大好きで、アーロンが大好きで、迷惑をかけたくなかったんだよぉ。」

 「あぁ。分かった。発情期は、迷惑ではないんだ。だから約束してくれ、もう、俺から離れないと。」

 「うん。約束する。約束するよぉ。僕、本当は、ずっと一緒にいたいんだぁ~」


 僕は、ユニコーンの上でアーロンに抱きつき、涙が出なくなるまで、泣いたんだ。


 アーロンのユニコーンは、その間も、動じる事なく、素早く走り続けていた。





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