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28 騎士科の教室で、発情
「アーロン…アーロン…」
おぼつかない足取りで、アーロンの匂いだけを辿っていた。
「あ、ラーラ、僕が先輩を呼んで来るから、ここで待ってて。ーーーダメだよ、そのまま、騎士科のAクラスに入ったら。困ったなぁ。げっ。陛下!」
「一国の王に向かって、『げっ』とは何だ。ラーラ、こんな所にいたんだね。私に会いに来たのかい?」
「違う、お前じゃない」
「なっ、なっ、何だと?口の悪いラーラも、素敵ではないかぁ。小悪魔ちゃんめ、野蛮なアーロンなどやめて、私と番おう。」
「うわぁ、ラーラさん、どうしたんですか?フェロモン出てますよ。」
「アーロン隊長を、呼んで来ますか?」
「いいや、私の部屋に連れて行こう。頬がうっすらピンクになって…可愛いなぁ。さあ、ラーラおいで。」
「僕に近寄らないで、陛下。匂いが嫌だ。」
「く、臭いのかぁ?訓練の後、水浴びしたのにぃぃぃ~。ラーラ、私はラーラの全てが好きだぁぁぁ。」
「ほら、陛下、言ったでしょ?オメガとアルファには、相性の良し悪しが あるんですよ。陛下が アルファでも、全オメガにモテる訳では ないのですよ。」
「そーですよ。陛下、後でバレたらアーロンさんに、何されるか、分かりませんよ。」
賑やかな、陛下御一行を横目に、アーロンを目指す。
「ラーラ、僕の抑制薬飲む?少しだけ、フェロモンが抑えられるんだよ。、、、ダメか、今は、聞こえて無いね。僕も、発情期には、そうなるよ。あ~あ、ゾネなら、無理矢理にでも、薬を飲ませられるのになぁ。」
ゆっくり、壁をつたい、3年の教室を目指す僕を、心配したニコロが、付いて来てくれていたんだ。
その、1メートルほど、後ろには、取り巻きBとCもね。
取り巻きAは、無理矢理に、陛下を連れて、先に剣術の授業に行ったって、、、後から聞いたんだけどね。
騎士科Aクラスの座学教室
3時間目の授業は、一般教養の政治経済学だった。
騎士科の座学は、人気が無い。寝る者も、空腹を満たす者も、心を無にして座る者も、筋トレをしている者もいる。
皆、さまざまな個性的な、授業の受け方をしていた。
黒板の前で教授が、共和制の意義を語る。うん、理にかなっているな。
国の発展と、豊かなままの存続の為に、この国も、いつか、政治と、王を切り離そう。
などと、考えていた時、一瞬、嗅ぎ慣れた、ラーラの発情香が漂った。
「なっ?どうした?」
ラーラ?
周りの生徒たちから、どよめきが起こる。
「あれ?フェロモン?」
「何だ?どこから、、、?」
「これは、、、フェロモンか?」
寝ていた生徒が、起き上がり、授業に興味のなかった生徒も、ソワソワし始めた。
今、ソワソワしたヤツらは、後で必ず、しばく。
すぐに立ち上がる。授業は、後だ。ラーラに、何があった?
出口に向かうと、俺の目の前に、意識が朦朧とした、ラーラが見えた。
「あ、あぁ、アーロン、アーロン。」
抱きつき、首に鼻を押し当てて来た。
「ラーラ発情期か?」
「アーロン、フェロモンちょうだい。」
友達だろう、光る茸の入った、カゴを持った魔術科の生徒もいた。
森の子ねずみちゃんが、真剣を帯刀した騎士達の中を、ラーラを守り、連れて来てくれた様だった。
光る茸の入ったカゴを持って……。って、何だ?あの茸は?
こうして、この2人が騎士科で並ぶと、随分と幻想的だなぁ……。
「いつも、ラーラを気にかけてくれてありがとう。ニコロだね?」
「はい。アーロン隊長、あの……いつもは、鬼・鬼畜隊長と、言ってませんからね?」
「、、、いつかは、言ったんだね?」
毒舌、子ねずみちゃんだった様だ。
「はひぃ、ごぺんなはいぃぃ。」
この時の事を、後にニコロから、『沈黙は金』という言葉の重みを感じた、と、聞いた。
この幻想的な2人の、少し後ろから、ジュリアスの取り巻き護衛のBとCが、付いて来ていた。
俺の顔を見た瞬間に、首を振る。
「危ないから、付いて来ただけですよ。」
「手なんて出しませんからね?お兄さんの、レオナルドさんと約束していますし。」
上から、じっと見下ろし、追い払う。
「そうか、ありがとう。世話になった。ジュリアス陛下に伝えてくれ、番休暇を1週間取ると。」
「え?1週間も?」
「そうだ。一生に一度の、番契約をするんだ。南東の楽園のコテージで過ごす。」
「わ、分かりました。伝えますよ。」
「睨まないで下さい。本当、何もしてませんよ?」
「当たり前だ、何かしたら、火山の噴火口に投げ込んでやる。ただし、ゆっくりとな。」
「「はひぃーーー!」」
「イル、エル後を頼んで良いか?トレーダーズコーストの、夕凪通りにある、不動産屋に伝言を。」
「え?あの、惚れ症ボンボンに?」
「そうだ、ラーラが番と休暇に入るので、お店を1週間閉める」と伝えてくれ。新人に行かせても良いぞ。」
「あぁ、任せろ。あの、惚れ症ボンボンを、牽制するつもりだな?」
「まぁな」
「はぁ、はぁ、、、アーロン、早く服脱いで。フェロモンちょうだい、、、あふっ、あふぅ、ふぅ、ふぅぅ。」
ラーラが、首や頬、耳に吸い付いてきた。かわいい。
「ラーラ。情熱的だな。俺は良いが、ここはまだ学園だ。そして、騎士科Aクラスの授業中だ。」
「、、、、、、。」
キシカノ ジュギョウ チュウ?
「え、、、きゃーーーーっ。イヤァーーー。僕、どうしてここに居るの?何でアーロンに抱きついているの?」
光る茸を手に持った子ねずみの友人は、
「ぼ、僕は、これで、失礼します。」
気まずそうに、自分の授業に帰って行った。
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