メンタル弱めのΩの僕は、鬼畜『鬼』隊長とは番えません

ニア。

文字の大きさ
31 / 44

31 討伐から帰ったアーロン



  僕は、アーロンと番契約をした事と、妊娠した事、それに、魔物討伐で遠征していて、アーロンが留守な事を、泣きながら家族に伝えたんだ。

 「どうしょう?僕がママ?僕がママだったら、赤ちゃんが生まれた瞬間から、可哀想だよぉぉぉ~。うわぁ~ん」

 「落ち着いて、ラーラちゃん、貴方がママで、どうして、赤ちゃんが可哀想なの?自慢のママでしょ?頑張り屋で、私に似て美人なのよ?」

 お母さんの楽観主義に、心が少し軽くなる。

 「ラーラ、ママになるのが、心配なんだね。子供の将来を心配したから、不安なんだよね?そんなに、子供の人生の責任を考えられる、ラーラがママで、どこが可哀想なんだ?」

 お父さんの、大人の低い声が、安心出来て、心地良い。


 「ラーラには、父も、母も、私も、それにアーロンパパが付いているじゃないか。安心しなさい。」

 お兄ちゃんの強い言葉も大好きだ。


 「ア、アーロンは、、、忙しくて赤ちゃん要らないって言うかも、、、。僕も忙しいし、、、。」


 「アーロン君がそんな事、言うかしら?」


 「ラーラ、疲れているんだね。番不足も酷いね。可哀想に。大丈夫だよ。アーロン君は、すぐに帰って来るよ。連絡は入れたの?」

 「い、入れない。アーロンが居ないと、コピアーナの人達が、困るでしょ?」

 「ラーラ、、、」

 「うぅぅぅ、、、ひぃっく、ゔぇぇえ~っ、、、お父~さ~ん」


 「ラーラ、ナーバスすぎだろ。アーロン君に、忙しいか、直接、聞きなさい?それに、赤ちゃんがいらないって、言われてから、悩めばいいだろ?今は、赤ちゃんの為にも、体力を付けよう。」

 呆れた声の、お兄ちゃん。

 「まったく、お父さん、お母さんが過保護に育てるから、、、」

 「だって、こんなに、可愛いし、小さく、虚弱で生まれてきたし、、、ねぇ?」

 「可愛いラーラには、外の世界は危ないからな。世界はウィッチバレーだけだと、教えるつもりだったんだ。」


 「そんな人生、つまらないだろ。」

 「そんな人生、つまらないよ?」


 兄と僕とが、ほぼ同時に答えていた。



 家族に囲まれて、安堵し、気が抜けたせいか、疲れがどっと押し寄せた僕は、部屋で寝かせて、と告げた。


 自分の部屋の、ベッドに横になり、見るとはなしに、ぼーっと天井から下がる、お守りたちを見ていた。


 僕、本当は、赤ちゃんを産む覚悟が出来ていないんだ。

 僕の将来が、まだ決まっていないのに。僕の人生は、どうなるの?


 メンタル弱過ぎな僕が、子供をどうやって育てれば良いの?


 出産して、子育てして、僕の人生、終わっちゃうの?

 あんなに頑張ったのに、、、。あと3年残っていた、学生生活は、どうなるのかなぁ?

 赤ちゃんと、自分の人生を、天秤にかける自分も、嫌だった。


 「最低、、、。」


 こんな薄情な親、嫌だよね?しかも、メンタル弱々な親の子供だなんて、、、可哀想な子だなぁ。

 番契約の傷口が痛んだ。


 アーロンから貰った指輪に触れ、ただ、ぼーっと、虚空をみつめて、いつの間にか眠っていた。



 翌朝、ウィッチバレーの自宅にアーロンが、迎えに来た。


 けれど、僕は、コピアーナには帰りたくなかった。


 「遅くなってすまない。ラーラ家に帰ろう」

 「僕、具合悪いから、しばらく実家にいる」

 「番不足が、深刻なのに?無理よ、ラーラちゃん。アーロン君のフェロモンが足りないと、赤ちゃんも育たないわよ?」

 お母さん、なんて事を言うんだ。まだ、産む覚悟が出来るまで、アーロンには黙っておこうと、思っていたのに~。

 お口はチャック!!

 その時、ピクリと、アーロンのこめかみの血管が動くのを見た。


 「うぅぅ」


 俯き黙る僕。

 「赤ちゃん?ラーラ、赤ちゃんが出来たのか?」

 
 「、、、。」

 心臓がうるさく、音をたてる。答えたくない。

 「ラーラ?」

 「、、、あ、あ、あの、僕、、、」

 「うん」

 「、、、どう、しょう、、、、、、」


 「あぁ、人生の重要な局面を、1人で迎えさせて、悪かった。番が出来ると、騎士団で祝う習慣があって、抜けられなかった。すまない。」

 え?魔獣討伐は?僕が悩んでいる間、アーロンは、また宴で、みんなと、騒いでいたの?


 僕、こんなに、苦しいのに?

 不公平だよ。そんなの。


 「ラーラ、来年は、きっと賑やかになるな。子供と、学園と、騎士団だ。帰って2人でお祝いだな」



 「、、、ぼ、僕、産まない、、、」


 「「「ええぇ?!」」」

 家族の悲鳴の様な声が響く。

 「そうか、ラーラが決めて良い。俺は、子供は、欲しいが、ラーラが要らないのなら、俺も要らない。」

 「それで良いの?」

 「ああ。ラーラがいれば良い。だから、一緒に帰ってくれるな?」

 帰りたくない。僕の人生計画が、どんどん崩れていく。


 番契約しなきゃ良かった。


 そう思った瞬間、バチンと音が鳴り、目の前が真っ白になった。

 魔女の契約が発動した。気持ちが、アーロンから離れたんだ。



 
感想 4

あなたにおすすめの小説

追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜

あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。 行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。 異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?

繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました

こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。毎日18時50分公開予定です

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

Seele―目が見えるようになったのは奇跡ではなく、罰だった―

真紀
BL
【完結まで執筆済み】「和はおまえが大嫌いだった。憎んでた。だからおまえに目をくれたんだよ」 死んだ弟の角膜で、光(コウ)は視力を得た。見えたのは、涙をこらえる親友の顔。光が歌をやめたのは、その日からだ。 あの人が泣きながら殴るたび、光は願う。「どうか明日は、早く壊れてしまえますように」と。 光は音楽を捨て、達哉は涙を隠せないまま、二人は同じ世界に立ち続ける。 これは、赦しのない世界で、それでも生きようとする者たちの物語。 《第一章》盲目の光が、最愛の弟を失うまでの日々を書いています。ブロマンス寄りですがBL好きな方に読んで欲しい作品です。「ノンケを堕とすノンケ」が好物の方、ぜひどうぞ。

当て馬に転生した俺、メインヒーローに懐かれすぎて物語が崩壊しています ~最強の騎士様、俺じゃなくてヒロインを追いかけてください!~

たら昆布
BL
処刑される元貴族に転生していたので婚約破棄して雑用係になった話

【8+2話完結】氷の貴公子の前世は平社員〜不器用な恋の行方〜

キノア9g
BL
氷の貴公子と称えられるユリウスには、人に言えない秘めた想いがある――それは幼馴染であり、忠実な近衛騎士ゼノンへの片想い。そしてその誇り高さゆえに、自分からその気持ちを打ち明けることもできない。 そんなある日、落馬をきっかけに前世の記憶を思い出したユリウスは、ゼノンへの気持ちに改めて戸惑い、自分が男に恋していた事実に動揺する。プライドから思いを隠し、ゼノンに嫌われていると思い込むユリウスは、あえて冷たい態度を取ってしまう。一方ゼノンも、急に避けられる理由がわからず戸惑いを募らせていく。 近づきたいのに近づけない。 すれ違いと誤解ばかりが積み重なり、視線だけが行き場を失っていく。 秘めた感情と誇りに縛られたまま、ユリウスはこのもどかしい距離にどんな答えを見つけるのか――。 プロローグ+全8話+エピローグ

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【本編完結】再び巡り合う時 ~転生オメガバース~

一ノ瀬麻紀
BL
前世で恋人を失い、自身も命を落とした僕は──異世界で双子の兄として転生した。 新たな出会いと、再び芽生える恋心。 けれど、オメガとしての運命は、この世界でも僕を翻弄していく。 これは、前世の記憶を抱えた僕が、二度目の人生を懸命に生きる物語。 ✤✤✤ ハピエンです。Rシーンなしの全年齢BLです。 よろしくお願いします。