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31 討伐から帰ったアーロン
僕は、アーロンと番契約をした事と、妊娠した事、それに、魔物討伐で遠征していて、アーロンが留守な事を、泣きながら家族に伝えたんだ。
「どうしょう?僕がママ?僕がママだったら、赤ちゃんが生まれた瞬間から、可哀想だよぉぉぉ~。うわぁ~ん」
「落ち着いて、ラーラちゃん、貴方がママで、どうして、赤ちゃんが可哀想なの?自慢のママでしょ?頑張り屋で、私に似て美人なのよ?」
お母さんの楽観主義に、心が少し軽くなる。
「ラーラ、ママになるのが、心配なんだね。子供の将来を心配したから、不安なんだよね?そんなに、子供の人生の責任を考えられる、ラーラがママで、どこが可哀想なんだ?」
お父さんの、大人の低い声が、安心出来て、心地良い。
「ラーラには、父も、母も、私も、それにアーロンパパが付いているじゃないか。安心しなさい。」
お兄ちゃんの強い言葉も大好きだ。
「ア、アーロンは、、、忙しくて赤ちゃん要らないって言うかも、、、。僕も忙しいし、、、。」
「アーロン君がそんな事、言うかしら?」
「ラーラ、疲れているんだね。番不足も酷いね。可哀想に。大丈夫だよ。アーロン君は、すぐに帰って来るよ。連絡は入れたの?」
「い、入れない。アーロンが居ないと、コピアーナの人達が、困るでしょ?」
「ラーラ、、、」
「うぅぅぅ、、、ひぃっく、ゔぇぇえ~っ、、、お父~さ~ん」
「ラーラ、ナーバスすぎだろ。アーロン君に、忙しいか、直接、聞きなさい?それに、赤ちゃんがいらないって、言われてから、悩めばいいだろ?今は、赤ちゃんの為にも、体力を付けよう。」
呆れた声の、お兄ちゃん。
「まったく、お父さん、お母さんが過保護に育てるから、、、」
「だって、こんなに、可愛いし、小さく、虚弱で生まれてきたし、、、ねぇ?」
「可愛いラーラには、外の世界は危ないからな。世界はウィッチバレーだけだと、教えるつもりだったんだ。」
「そんな人生、つまらないだろ。」
「そんな人生、つまらないよ?」
兄と僕とが、ほぼ同時に答えていた。
家族に囲まれて、安堵し、気が抜けたせいか、疲れがどっと押し寄せた僕は、部屋で寝かせて、と告げた。
自分の部屋の、ベッドに横になり、見るとはなしに、ぼーっと天井から下がる、お守りたちを見ていた。
僕、本当は、赤ちゃんを産む覚悟が出来ていないんだ。
僕の将来が、まだ決まっていないのに。僕の人生は、どうなるの?
メンタル弱過ぎな僕が、子供をどうやって育てれば良いの?
出産して、子育てして、僕の人生、終わっちゃうの?
あんなに頑張ったのに、、、。あと3年残っていた、学生生活は、どうなるのかなぁ?
赤ちゃんと、自分の人生を、天秤にかける自分も、嫌だった。
「最低、、、。」
こんな薄情な親、嫌だよね?しかも、メンタル弱々な親の子供だなんて、、、可哀想な子だなぁ。
番契約の傷口が痛んだ。
アーロンから貰った指輪に触れ、ただ、ぼーっと、虚空をみつめて、いつの間にか眠っていた。
翌朝、ウィッチバレーの自宅にアーロンが、迎えに来た。
けれど、僕は、コピアーナには帰りたくなかった。
「遅くなってすまない。ラーラ家に帰ろう」
「僕、具合悪いから、しばらく実家にいる」
「番不足が、深刻なのに?無理よ、ラーラちゃん。アーロン君のフェロモンが足りないと、赤ちゃんも育たないわよ?」
お母さん、なんて事を言うんだ。まだ、産む覚悟が出来るまで、アーロンには黙っておこうと、思っていたのに~。
お口はチャック!!
その時、ピクリと、アーロンのこめかみの血管が動くのを見た。
「うぅぅ」
俯き黙る僕。
「赤ちゃん?ラーラ、赤ちゃんが出来たのか?」
「、、、。」
心臓がうるさく、音をたてる。答えたくない。
「ラーラ?」
「、、、あ、あ、あの、僕、、、」
「うん」
「、、、どう、しょう、、、、、、」
「あぁ、人生の重要な局面を、1人で迎えさせて、悪かった。番が出来ると、騎士団で祝う習慣があって、抜けられなかった。すまない。」
え?魔獣討伐は?僕が悩んでいる間、アーロンは、また宴で、みんなと、騒いでいたの?
僕、こんなに、苦しいのに?
不公平だよ。そんなの。
「ラーラ、来年は、きっと賑やかになるな。子供と、学園と、騎士団だ。帰って2人でお祝いだな」
「、、、ぼ、僕、産まない、、、」
「「「ええぇ?!」」」
家族の悲鳴の様な声が響く。
「そうか、ラーラが決めて良い。俺は、子供は、欲しいが、ラーラが要らないのなら、俺も要らない。」
「それで良いの?」
「ああ。ラーラがいれば良い。だから、一緒に帰ってくれるな?」
帰りたくない。僕の人生計画が、どんどん崩れていく。
番契約しなきゃ良かった。
そう思った瞬間、バチンと音が鳴り、目の前が真っ白になった。
魔女の契約が発動した。気持ちが、アーロンから離れたんだ。
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