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33 正直薬のせいです
僕は、性転換術を受けに来て、この人と番契約をしたのだろうか?
そっと頸を触ると、ビリビリとした痛みが走り、傷口を保護するテープが巻かれているのが、分かった。
「痛っ」
事故かなぁ?ずっと恐れていた、オメガのフェロモン事故で、番になった相手なのかもね。
「事故に巻き込んでしまったのなら、ごめんなさい。」
目の前の、強い意志と、眼差しをした男性は、とても、傷付いた顔をしていた。
優しく、ベッドに座った僕の、後頭部を撫でてくれる。
そんな顔を見ていると、忘れてしまった事を、申し訳なく思う。
僕も、自分の番を忘れた理由が知りたい。
「飲んでも良いけど、…何を話し合うの?」
「これからの、俺たちの事だよ。ラーラがどうしたいのか、教えて?」
「知らない人と、どうしたいのか教えるのは、正直薬を飲んでも、無理だよね?」
「そうだね、だから、ラーラの、したい事だけでも、正直に教えて?」
目の前の男性が、小さな瓶の中の、白い星形の薬を、僕の口の中にも、入れてきた。
「コレが薬なんだ…。砂糖菓子みたい。僕、新薬が作れるんだね?」
「俺の番は、優秀だからね。コピアーナの魔術省からも、推薦が来る程、有能なんだよ。ラーラ、心配な事を教えて?」
「心配な事?将来の仕事かなぁ?」
「うん、そうか。以前から、悩んでいた事だね。それから?」
「えっと、学校の授業に、遅れをとるのが怖い。」
「そう、大丈夫だと思うけどね。コピアーナ学園では、入学した学年のまま、自分の出席した授業の数で、単位取得できるよ?それから?」
「僕は、、、子育てだけで、人生が終わるのが、嫌だ。冒険にも、出てみたいし、魔力に頼らない魔法も、作りたい。コピアーナの学園の勉強も、諦めたくないんだ。」
「そうか、それだけか?」
「そ、それだけ???」
なんだコレ?僕を無視して、口が勝手に話してる。
これ、僕が話してるのに、内容が、分からない。
「ラーラ、安心しろ。子供を産んでも、学園には通える。王立コピアーナ学園は、託児所付きだからな。」
「は、へ???何で、学校に託児所があるの?」
「職員や生徒の為に決まってるだろ?子供がいても、仕事も、学習も出来る仕組みになっている。コピアーナ学園は、学生結婚が半数に達するぞ?」
え???
「あ、あ、あの、僕が悩んでいる間に、騎士団の宴で、騒いでいたのが嫌だった。」
「そうだな。悪かった。騎士団の伝統で、番が出来ると、相手が、番不足で体調不良を起こしかけるまで、拘束されるんだ。」
はぁぁ~???
「連絡をもらえれば、すぐにでも、帰れたんだがな、、、。こんなに体調不良になっても、連絡をよこさない番は、騎士団設立以来、初めてだったよ。とうとう、ドクターストップが、かかった。」
「な、バカなの?何のために?そんな事をしてるの?」
「あ~、騎士は番に、尻に敷かれる事が多く、それで先輩達が考えたんだ。番不足になった所に帰り、番のありがた味を実感してもらうってね。」
「そ、そんな、バカな事してるから、尻に敷かれるんだよ。」
ニコロの、騎士嫌いの気持ちが、痛いほど分かったよ。
あれ?ニコロ?仲良しのお友達だ。学校に、一緒に通っていた様な、、、。
「そうだな、ラーラ、済まなかった。冒険者に、なりたいなら、俺と冒険に出よう。商品の素材集めも出来るな?スプリン大陸を出て、世界中を回るのも、楽しいなぁ。子供を連れて行っても良いし、もちろん、居なくても良いよ。」
「え?、、、えぇ?」
「出産は、ラーラの負担が大きいから、ラーラの意思を尊重する。俺には、産む事と、ミルクを出す事が出来ないが、その他の事は、やれる。今、学園の託児所で、子供の世話の、練習を始めている。」
「ぼ、ぼ、ぼ、僕、子供がいるの?」
「それも覚えていないのか、、、。まだ、意識の混濁が、激しいな。大丈夫か?休もうか、ラーラ?」
「これ、変だよぉ。口が、勝手に話すんだ。そ、そそ、それより、こ、子供??僕、ママになったの?」
涙が出てくる。何も、思い出せない。首を振り、男性から、半歩下がり、離れようとしたが、すぐに捕まり、抱き寄せられた。
この人、僕が逃げるのが、分かっていたみたい。胸のポケットから、杖を出す手を先回りして、止められた。
「お腹の中にな、まだまだ、小さい細胞だ。ラーラがいれば、次が望める。今回の妊娠に、こだわらなくても良い。」
「あ、貴方との子供?」
「当たり前だ。変な事を言うな。魔法の開発は、今だってやってるだろ?このまま、続ければ良い。サポートは、どんな事を望む?」
「あ、あ、広い作業スペース、、、」
「あぁ、そうか。ならば、引っ越そう。実はもう、目星をつけているんだ。」
「ぼ、ぼ、僕、あ、貴方と住むの?」
「だろうな。俺達は、番契約をしている。俺のフェロモン無しでは、生きて行けないだろ?俺も、お前のフェロモン無しでは、生きる気力が沸かない。ラーラ愛してる。一生、俺と一緒に、生きてくれ。」
「あ、あ、アーロン?ぼ、ぼ、く、、、、」
「ラーラ? 分かるのか、俺が?」
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