メンタル弱めのΩの僕は、鬼畜『鬼』隊長とは番えません

ニア。

文字の大きさ
33 / 44

33 正直薬のせいです



  僕は、性転換術を受けに来て、この人と番契約をしたのだろうか?

 そっとうなじを触ると、ビリビリとした痛みが走り、傷口を保護するテープが巻かれているのが、分かった。

 「痛っ」

 事故かなぁ?ずっと恐れていた、オメガのフェロモン事故で、番になった相手なのかもね。


 「事故に巻き込んでしまったのなら、ごめんなさい。」


 目の前の、強い意志と、眼差しをした男性は、とても、傷付いた顔をしていた。


 優しく、ベッドに座った僕の、後頭部を撫でてくれる。


 そんな顔を見ていると、忘れてしまった事を、申し訳なく思う。

 僕も、自分の番を忘れた理由が知りたい。


 「飲んでも良いけど、…何を話し合うの?」

 「これからの、俺たちの事だよ。ラーラがどうしたいのか、教えて?」


 「知らない人と、どうしたいのか教えるのは、正直薬を飲んでも、無理だよね?」


 「そうだね、だから、ラーラの、したい事だけでも、正直に教えて?」



 目の前の男性が、小さな瓶の中の、白い星形の薬を、僕の口の中にも、入れてきた。

 「コレが薬なんだ…。砂糖菓子みたい。僕、新薬が作れるんだね?」


 「俺の番は、優秀だからね。コピアーナの魔術省からも、推薦が来る程、有能なんだよ。ラーラ、心配な事を教えて?」


 「心配な事?将来の仕事かなぁ?」


 「うん、そうか。以前から、悩んでいた事だね。それから?」


 「えっと、学校の授業に、遅れをとるのが怖い。」


 「そう、大丈夫だと思うけどね。コピアーナ学園では、入学した学年のまま、自分の出席した授業の数で、単位取得できるよ?それから?」


 「僕は、、、子育てだけで、人生が終わるのが、嫌だ。冒険にも、出てみたいし、魔力に頼らない魔法も、作りたい。コピアーナの学園の勉強も、諦めたくないんだ。」


 「そうか、それだけか?」

 「そ、それだけ???」



 なんだコレ?僕を無視して、口が勝手に話してる。

 これ、僕が話してるのに、内容が、分からない。


 「ラーラ、安心しろ。子供を産んでも、学園には通える。王立コピアーナ学園は、託児所付きだからな。」


 「は、へ???何で、学校に託児所があるの?」


 「職員や生徒の為に決まってるだろ?子供がいても、仕事も、学習も出来る仕組みになっている。コピアーナ学園は、学生結婚が半数に達するぞ?」

 え???

 「あ、あ、あの、僕が悩んでいる間に、騎士団の宴で、騒いでいたのが嫌だった。」


 「そうだな。悪かった。騎士団の伝統で、番が出来ると、相手が、番不足で体調不良を起こしかけるまで、拘束されるんだ。」

 はぁぁ~???

 「連絡をもらえれば、すぐにでも、帰れたんだがな、、、。こんなに体調不良になっても、連絡をよこさない番は、騎士団設立以来、初めてだったよ。とうとう、ドクターストップが、かかった。」


 「な、バカなの?何のために?そんな事をしてるの?」


 「あ~、騎士は番に、尻に敷かれる事が多く、それで先輩達が考えたんだ。番不足になった所に帰り、番のありがた味を実感してもらうってね。」


 「そ、そんな、バカな事してるから、尻に敷かれるんだよ。」


 ニコロの、騎士嫌いの気持ちが、痛いほど分かったよ。

 あれ?ニコロ?仲良しのお友達だ。学校に、一緒に通っていた様な、、、。


 「そうだな、ラーラ、済まなかった。冒険者に、なりたいなら、俺と冒険に出よう。商品の素材集めも出来るな?スプリン大陸を出て、世界中を回るのも、楽しいなぁ。子供を連れて行っても良いし、もちろん、居なくても良いよ。」


 「え?、、、えぇ?」


 「出産は、ラーラの負担が大きいから、ラーラの意思を尊重する。俺には、産む事と、ミルクを出す事が出来ないが、その他の事は、やれる。今、学園の託児所で、子供の世話の、練習を始めている。」


 「ぼ、ぼ、ぼ、僕、子供がいるの?」


 「それも覚えていないのか、、、。まだ、意識の混濁が、激しいな。大丈夫か?休もうか、ラーラ?」


 「これ、変だよぉ。口が、勝手に話すんだ。そ、そそ、それより、こ、子供??僕、ママになったの?」


 涙が出てくる。何も、思い出せない。首を振り、男性から、半歩下がり、離れようとしたが、すぐに捕まり、抱き寄せられた。

 この人、僕が逃げるのが、分かっていたみたい。胸のポケットから、杖を出す手を先回りして、止められた。


 「お腹の中にな、まだまだ、小さい細胞だ。ラーラがいれば、次が望める。今回の妊娠に、こだわらなくても良い。」

 「あ、貴方との子供?」

 「当たり前だ。変な事を言うな。魔法の開発は、今だってやってるだろ?このまま、続ければ良い。サポートは、どんな事を望む?」

 「あ、あ、広い作業スペース、、、」


 「あぁ、そうか。ならば、引っ越そう。実はもう、目星をつけているんだ。」


 「ぼ、ぼ、僕、あ、貴方と住むの?」


 「だろうな。俺達は、番契約をしている。俺のフェロモン無しでは、生きて行けないだろ?俺も、お前のフェロモン無しでは、生きる気力が沸かない。ラーラ愛してる。一生、俺と一緒に、生きてくれ。」




 「あ、あ、アーロン?ぼ、ぼ、く、、、、」


 「ラーラ? 分かるのか、俺が?」














 
感想 4

あなたにおすすめの小説

追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜

あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。 行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。 異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?

繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました

こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。毎日18時50分公開予定です

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

Seele―目が見えるようになったのは奇跡ではなく、罰だった―

真紀
BL
【完結まで執筆済み】「和はおまえが大嫌いだった。憎んでた。だからおまえに目をくれたんだよ」 死んだ弟の角膜で、光(コウ)は視力を得た。見えたのは、涙をこらえる親友の顔。光が歌をやめたのは、その日からだ。 あの人が泣きながら殴るたび、光は願う。「どうか明日は、早く壊れてしまえますように」と。 光は音楽を捨て、達哉は涙を隠せないまま、二人は同じ世界に立ち続ける。 これは、赦しのない世界で、それでも生きようとする者たちの物語。 《第一章》盲目の光が、最愛の弟を失うまでの日々を書いています。ブロマンス寄りですがBL好きな方に読んで欲しい作品です。「ノンケを堕とすノンケ」が好物の方、ぜひどうぞ。

当て馬に転生した俺、メインヒーローに懐かれすぎて物語が崩壊しています ~最強の騎士様、俺じゃなくてヒロインを追いかけてください!~

たら昆布
BL
処刑される元貴族に転生していたので婚約破棄して雑用係になった話

【8+2話完結】氷の貴公子の前世は平社員〜不器用な恋の行方〜

キノア9g
BL
氷の貴公子と称えられるユリウスには、人に言えない秘めた想いがある――それは幼馴染であり、忠実な近衛騎士ゼノンへの片想い。そしてその誇り高さゆえに、自分からその気持ちを打ち明けることもできない。 そんなある日、落馬をきっかけに前世の記憶を思い出したユリウスは、ゼノンへの気持ちに改めて戸惑い、自分が男に恋していた事実に動揺する。プライドから思いを隠し、ゼノンに嫌われていると思い込むユリウスは、あえて冷たい態度を取ってしまう。一方ゼノンも、急に避けられる理由がわからず戸惑いを募らせていく。 近づきたいのに近づけない。 すれ違いと誤解ばかりが積み重なり、視線だけが行き場を失っていく。 秘めた感情と誇りに縛られたまま、ユリウスはこのもどかしい距離にどんな答えを見つけるのか――。 プロローグ+全8話+エピローグ

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【本編完結】再び巡り合う時 ~転生オメガバース~

一ノ瀬麻紀
BL
前世で恋人を失い、自身も命を落とした僕は──異世界で双子の兄として転生した。 新たな出会いと、再び芽生える恋心。 けれど、オメガとしての運命は、この世界でも僕を翻弄していく。 これは、前世の記憶を抱えた僕が、二度目の人生を懸命に生きる物語。 ✤✤✤ ハピエンです。Rシーンなしの全年齢BLです。 よろしくお願いします。