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ジュリアス陛下のお妃召喚? 2
「あの~陛下、ふんぞり返っているところ、悪いのですが、謝るご準備をなさって下さい。」
一番しっかり者の、取り巻きAが呆れて言った。
「はぁ?どういう事だ、アルト?」
「ジュリアス、これは物語だ。現実では、知的生命体の召喚など、成功していない。」
「えっ?えぇ?でも、ここには…」
「これは、この国の、最古の物語『ニヤマル国物語』の、一章に過ぎない。子供の頃、読まなかったのか?」
「はぅぅぅ。」
さっきまでの、勢いが無くなった陛下は、オドオドし始めた。
「そもそも、異世界に居る、たった1人を召喚するより、夜会に、全人類を呼ぶ方が、よっぽど、番と出会える確率が上がるだろうが。」
凄みを増す、アーロン君は、陛下を、見下ろし、睨みを利かす。
こうなったら、誰も止められない。哀れにすら見える、ジュリアス陛下を見守る事しか出来なかった。
「大量の魔力を使い、たった1人を呼ぶよりも、お前を、異世界に飛ばす方が、番に出会える可能性は、遥かに上がるな?この国の大魔術師、全員が、50年かけて貯めた魔力を一回の召喚で、使い果たす程、一回の移転が、とても貴重なんだ。」
「な、何ぃ?」
「まだ実験段階だが、微生物の召喚に成功した所だ。召喚した微生物には、脳と目と鼻は無かった。口兼尻があるだけだったな。しかも、それも死んでいた。」
「口兼尻?!どんな生物なんだー!」
「陛下の妃に、ぴったりだな。意思が固いようなので、魔力が貯まり次第、陛下を異世界へ飛ばして差し上げましょう。」
「は、は~?!」
「異世界が、どんな所なのか、誰にも分かりませんが、目と鼻と口と脳があり、胴体、手足がある可能性は、かなり低いぞ?陛下は、異世界の微生物を、愛せるんですよね?――素敵です。番を見つけられたら、50年後に、お迎えに上がりますよ?あ、番の分の移転に、更に50年魔力を貯める時間をいただきます。ですので、100年後お会いしましょう。陛下と、お妃様の間に、お子様が誕生されたら、更に50年お子様の人数分、かかりますね?」
「なっ???な、や、止めろ!」
可哀想に、負けが決まっても、まだ、虚勢を張って、ふんぞり返っているんだな。陛下も早く謝れば良いのに。
ソニアを見ると、安堵した表情だった。
やれやれ、人騒がせだな。ソニアがこちらを見て、頷いている。
「異世界移転の、第一号になって頂けるなんて、流石です。初めて尊敬致しました。この国の更なる発展に、ご協力ありがとうございます。生きて異世界に辿り着けると、良いですね?あぁ、着いた後、陛下が、生きていける空気や、水や、食料が存在すると、良いですね?」
「アーロン団長、いつも、ありがとうございます。そろそろ、その程度で。陛下も、間違いを認めて、謝罪を。」
「す、済まなかった。召喚は、諦めてやる。」
「バーカ、それで許されると思うなよ?1ヶ月『私は軽率、無思慮の大馬鹿者です。』と書いた紙を背中に貼って過ごしてもらうからな?お前の、判断の誤りで、国全体に、大損害が出るんだ。良く考えろ!魔力の蓄えは、もしもの災害に備えた、国民を救う為の貯蓄なんだ。」
「うわぁぁん、悪かったぁぁ」
「アーロン団長、陛下には、じっくりと反省させ、再教育いたします。反省文100枚の提出をさせますので、ご容赦ください。」
取り巻きAに止められ、一件落着したようだった。
ソニアと、アイコンタクトして、貴賓室を出ることにした。
「本当に、人騒がせな陛下だ。でも、何故か、憎めないな?どうにかして、お妃は、探してあげたいな。」
「まぁな、、、ソニアは、優しいなぁ。でも、何処を探すんだ?やっぱり、異世界なのか?それとも、海底にでも探しに行くのか?」
「ふふっ、海底?陛下は、ラーラちゃんの事を、かなり、気に入っていたから、サー・シルベールの故郷に、旅に出るように、勧めてみようかな?」
確か、北の雪と氷の大地だったが、、、。
陛下に、耐えられるのだろうか?しかも、あの国で、ふらっと現れた、旅人が、現地の住民と出会う確率も、低そうだな。
「ソニアは、いつも、生徒たちの事ばかり気にかけて、、、たまには、私の事も、構って欲しいな?」
「な、毎日、一番気にしているよ?ジョルジュ。」
「そうなのか?生徒と、仕事が一番ではないのか?」
「なんだ?生徒に、焼きもちか、ジョルジュ?私は、君に出会った日から、毎日君の事ばかり、考えているよ?愛してるよ、信じて?」
「私も、愛してるよ、ソニア。ーーーこの指輪を受け取って欲しい。」
「え?指輪?!そ、それ、どんな呪いが、かかっているの?」
「警戒しなくても、大丈夫だよ?ソニア。番向けの、愛する気持ちがお互いに伝わるように、呪いが、かかっている、そうだよ?」
「あ、危なくないか?この前みたいに、朝まで、教室や、キッチンで、、、なんて事に、ならないか?」
「どうかな?君次第かなぁ?」
「うっ、今夜は、覚悟が必要そうだね。」
「大丈夫、発情期に、愛が伝わると言う、スノーウルフの牙と、魔石で出来たピアスを着けてしまった時ほどでは、無いだろ?全力で愛し合おう、ソニア?」
「あぁ、私も、、、全力のジョルジュが欲しい。」
首に腕を伸ばし、ソニアを引き寄せ、軽く触れるだけのキスをした。
「夜が楽しみだね?」
「、、、うん。」
照れて、視線をそらしたソニアの指に、呪いのかかった魔石の指輪を着けた。
僕たちの腕には、先月ソニアが、プレゼントしてくれた、お揃いのブレスレットが揺れて輝いていた。
遠くで、生徒が、ソニアを呼ぶ声が聞こえる。
「じゃあ、また、後でね?」
「あぁ、また、後で。」
王立コピアーナ学園のほど近く、閑静な住宅街の、ジョルジュとソニアの自宅では、最近、夜でも、部屋の明かりが消える事が無いようです。
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