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ちょっと重い……?
死亡フラグ発言をあえて言う男(胸くそご注意)
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「この戦いが終わったら、結婚しよう」
と彼が言った。
私はニッコリ満面の笑顔を一旦作ってから、頬を膨らませると言った。
「何度目のプロポーズだよ!」
「あはは」
と彼は笑った。
私はそんな彼をジトーッと見つめる。
彼は笑うのをやめたが、まだ可笑しそうな顔で言う。
「だってさ。
戦い前に君にプロポーズすると生きて帰れる、と言う『験担ぎ』。
僕の中にあるからさ」
私はむくれた顔をしながらも、不承不承に頷いた。
彼の言うこともわかるから。
彼は今までに5回戦地へ赴いているが、5回とも出発前に私にプロポーズしている。
そして5回とも生還したのだ。
それは『験担ぎ』としてもいいのではないか。
彼は1回目のプロポーズ後に生還したとき、私へのプロポーズを戦い出発前の『験担ぎ』と決めたようだ。
だからそれ以降も4回プロポーズしてきたのに、結局結婚していない。結婚したらもうプロポーズができないからだ。
結婚して、
『子どもの顔見るまで死ねないな』
と言うセリフをこれからの『験担ぎ』にしたら? と勧めてもみたけど、やはり既に成功経験のある『出発前プロポーズ』が『験担ぎ』として縁起が良い、と結婚してくれなかった。
もしかすると『験担ぎ』のためと言いつつ、自分が戦いで死ぬ可能性も考えて結婚をためらっているのかもしれない。
でもそんなことをおくびにも出さない彼のことを、私はずっと待ち続けているのだ――この戦いが終わるまで。
「でもさ。
今回の決戦で今度こそ、この戦いは終わり平和になりそうだよ」
と彼は私を見つめた。
「だからこれが。
最後の、僕から君へのプロポーズだよ」
そして私の手を握り、
「この戦いが終わったら、結婚しよう」
と言う彼に、私は
「はい!」
と笑顔で答えた。
今度こそ、彼が帰って来たら私たちは結婚するのだ。
※※※
それからと言うもの、私は彼が帰る日を信じてただ待ち続けた。
とても心配だったけど、不安で押しつぶされそうなときは『験担ぎ』を思い出した。
大丈夫、彼は出発前に私へプロポーズして行った。
そしてこれまでプロポーズして行った戦いは全て――5回とも――ちゃんと生きて帰って来た。
だから今度も大丈夫。絶対に大丈夫。
もしかするとあの『験担ぎ』は彼自身の心の支えでもあるかもしれないが、それ以上に帰りを待つ私の支えになるように願ってしつこく繰り返していたのかもしれない。
だって今、私は『験担ぎ』を支えに日々過ごしているのだから。
『験担ぎ』で自分を励ましているのだから。
でもよくよく考えれば、ちょっと酷い『験担ぎ』だな、とふと思い私は苦笑した。
だってその『験担ぎ』の効果を次の戦いでもあやかろうと彼が考えたから、私たちはいまだ結婚していないのだから。
結婚してしまったらプロポーズはできない、と言うことで結婚していないのだから。
と言うことは結局彼は出発前の『プロポーズ』は本気で結婚するつもりで言っていたわけではない、と言うことになるか。1回目以外は。
2回目以降のプロポーズは、口だけの――『験担ぎ』のためだけの――プロポーズと言うことだ。
と、ここで私は胸の中に冷たい風がすーっと吹き込んでくるのを感じた。
『1回目はともかく。
2回目~5回目のプロポーズは「験担ぎ」目当てのプロポーズであり、本気のプロポーズではなかった。
次の戦いでも「験担ぎ」を使いたいから次もプロポーズするために、本気で結婚しようとは思っていなかったから』
しかし。
彼はこの戦いの前に言った。
『今度こそ、この戦いは終わり平和になりそうだよ』と。
『だからこれが。
最後の、僕から君へのプロポーズだよ』と。
つまり今回のプロポーズは『本気のプロポーズ』と言うことだ。
本気のプロポーズ。
とても嬉しかったけど。
『験担ぎ』として考えると……どうなのだろう?
1回目のプロポーズは、『本気のプロポーズ』でそして彼は生還した。
しかし2回目~5回目の生還は『本気じゃないプロポーズ』での生還だった。
つまり『本気じゃないプロポーズ』をしたときの方が、生還した回数が多い。
じゃあ『プロポーズ』自体が『験担ぎ』ではなく。
『本気じゃないプロポーズ』こそが、『験担ぎ』となっていたのなら?
『この戦いが終わったら、結婚しよう』
と言う今回の『本気のプロポーズ』は彼が生きて帰れる『験担ぎ』となってくれるのか?
それこそ『死亡フラグ』になりはしないか?
悪い予感で私の身体はガタガタ震え始めた。
『私への本気じゃないプロポーズ』が彼の生還のための『験担ぎ』だったら。
彼は果たして無事に帰ってこれるのだろうか……?
※※※
その後。
彼はちゃんと最後の戦いから帰ってきてくれた。
やはり『験担ぎ』はちゃんと働いてくれたのだ!
彼、別の女と結婚したけどね。
〈終〉
――――――――――――――
後に彼女も別の良いヒトと結婚し幸せになりました。
と彼が言った。
私はニッコリ満面の笑顔を一旦作ってから、頬を膨らませると言った。
「何度目のプロポーズだよ!」
「あはは」
と彼は笑った。
私はそんな彼をジトーッと見つめる。
彼は笑うのをやめたが、まだ可笑しそうな顔で言う。
「だってさ。
戦い前に君にプロポーズすると生きて帰れる、と言う『験担ぎ』。
僕の中にあるからさ」
私はむくれた顔をしながらも、不承不承に頷いた。
彼の言うこともわかるから。
彼は今までに5回戦地へ赴いているが、5回とも出発前に私にプロポーズしている。
そして5回とも生還したのだ。
それは『験担ぎ』としてもいいのではないか。
彼は1回目のプロポーズ後に生還したとき、私へのプロポーズを戦い出発前の『験担ぎ』と決めたようだ。
だからそれ以降も4回プロポーズしてきたのに、結局結婚していない。結婚したらもうプロポーズができないからだ。
結婚して、
『子どもの顔見るまで死ねないな』
と言うセリフをこれからの『験担ぎ』にしたら? と勧めてもみたけど、やはり既に成功経験のある『出発前プロポーズ』が『験担ぎ』として縁起が良い、と結婚してくれなかった。
もしかすると『験担ぎ』のためと言いつつ、自分が戦いで死ぬ可能性も考えて結婚をためらっているのかもしれない。
でもそんなことをおくびにも出さない彼のことを、私はずっと待ち続けているのだ――この戦いが終わるまで。
「でもさ。
今回の決戦で今度こそ、この戦いは終わり平和になりそうだよ」
と彼は私を見つめた。
「だからこれが。
最後の、僕から君へのプロポーズだよ」
そして私の手を握り、
「この戦いが終わったら、結婚しよう」
と言う彼に、私は
「はい!」
と笑顔で答えた。
今度こそ、彼が帰って来たら私たちは結婚するのだ。
※※※
それからと言うもの、私は彼が帰る日を信じてただ待ち続けた。
とても心配だったけど、不安で押しつぶされそうなときは『験担ぎ』を思い出した。
大丈夫、彼は出発前に私へプロポーズして行った。
そしてこれまでプロポーズして行った戦いは全て――5回とも――ちゃんと生きて帰って来た。
だから今度も大丈夫。絶対に大丈夫。
もしかするとあの『験担ぎ』は彼自身の心の支えでもあるかもしれないが、それ以上に帰りを待つ私の支えになるように願ってしつこく繰り返していたのかもしれない。
だって今、私は『験担ぎ』を支えに日々過ごしているのだから。
『験担ぎ』で自分を励ましているのだから。
でもよくよく考えれば、ちょっと酷い『験担ぎ』だな、とふと思い私は苦笑した。
だってその『験担ぎ』の効果を次の戦いでもあやかろうと彼が考えたから、私たちはいまだ結婚していないのだから。
結婚してしまったらプロポーズはできない、と言うことで結婚していないのだから。
と言うことは結局彼は出発前の『プロポーズ』は本気で結婚するつもりで言っていたわけではない、と言うことになるか。1回目以外は。
2回目以降のプロポーズは、口だけの――『験担ぎ』のためだけの――プロポーズと言うことだ。
と、ここで私は胸の中に冷たい風がすーっと吹き込んでくるのを感じた。
『1回目はともかく。
2回目~5回目のプロポーズは「験担ぎ」目当てのプロポーズであり、本気のプロポーズではなかった。
次の戦いでも「験担ぎ」を使いたいから次もプロポーズするために、本気で結婚しようとは思っていなかったから』
しかし。
彼はこの戦いの前に言った。
『今度こそ、この戦いは終わり平和になりそうだよ』と。
『だからこれが。
最後の、僕から君へのプロポーズだよ』と。
つまり今回のプロポーズは『本気のプロポーズ』と言うことだ。
本気のプロポーズ。
とても嬉しかったけど。
『験担ぎ』として考えると……どうなのだろう?
1回目のプロポーズは、『本気のプロポーズ』でそして彼は生還した。
しかし2回目~5回目の生還は『本気じゃないプロポーズ』での生還だった。
つまり『本気じゃないプロポーズ』をしたときの方が、生還した回数が多い。
じゃあ『プロポーズ』自体が『験担ぎ』ではなく。
『本気じゃないプロポーズ』こそが、『験担ぎ』となっていたのなら?
『この戦いが終わったら、結婚しよう』
と言う今回の『本気のプロポーズ』は彼が生きて帰れる『験担ぎ』となってくれるのか?
それこそ『死亡フラグ』になりはしないか?
悪い予感で私の身体はガタガタ震え始めた。
『私への本気じゃないプロポーズ』が彼の生還のための『験担ぎ』だったら。
彼は果たして無事に帰ってこれるのだろうか……?
※※※
その後。
彼はちゃんと最後の戦いから帰ってきてくれた。
やはり『験担ぎ』はちゃんと働いてくれたのだ!
彼、別の女と結婚したけどね。
〈終〉
――――――――――――――
後に彼女も別の良いヒトと結婚し幸せになりました。
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