透明な檻の中で

雨季

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第七話

終わらない日々

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 それからかなりの時間眠っていたらしく、カーテンの隙間からもれだす、陽の光で俺は目が覚めた。
 スマホを見ると、昼前だと言うことに気づく。

「伊月起きろよ」

 伊月は低血圧で、朝はかなり弱い。俺が呼びかけても簡単に起きないことを知っている。

「伊月が起きないと、俺何するかわかんないけど」

「……それは、無理」

 そう言ってごろんと寝返りをうって背を向けてしまう。

「え~、冷たいじゃん」

 俺は、後ろから伊月の少し寝癖のついた髪に触れた。
 伊月はそれでもなかなか起きそうにない。
 伊月が起きないことを理由に、後ろから抱きしめる。暖かくて心地いい。そのまま服の裾から手を滑り込ませる。

「伊月はあったかいな……」
 
 伊月の肩が少し揺れる。その反応が可愛くて後ろから強く抱きしめる。

「……先生、それやだ」

 伊月は、俺の腕に上から手を重ねてぎゅっと手を繋がれる。

「伊月……?」

 伊月は振り向いて、寝起きの柔らかい笑顔で俺を見つめる。

「俺から手繋ぎたかったから」

 それを聞いて、伊月の手を強く握り返して応えた。

「抱きしめてもいい?」

「うん」

 俺は伊月の体をそっと抱きしめたあと、ベッドの近くにあるテーブルの引き出しを徐に開けた。

「これ、好きな時に使っていいから」

 伊月に手渡したのは、スペアキーだった。

「……いいの?」

「ここが伊月にとっての居場所になると、俺も嬉しいから」

「ありがとう、嬉しい」

 伊月の瞳には少し潤んでいるように見えた。俺は伊月の頭をくしゃっと撫でて、伊月の手首にキスをした。

「ねぇ、先生。俺たちって付き合ってるって思っていいよね?

「俺は伊月と付き合ってると思ってたけど、違ってた?」

「先生のその聞き方ずるいって……」

「ああ、ごめん、言葉足りなくて。伝わってると思ってた。伊月のこと好きだから、俺と付き合ってくれる?」

 伊月のことを抱きしめながら、まっすぐに伊月を見た。

「うん、俺も先生のこと好き。付き合ってほしい」

 伊月からも強く抱きしめ返される。これが愛しいって感情なのかと思った。誰かとましてや伊月と同じ気持ちだということに、幸せを感じた。
 俺は、嬉しくて伊月の手を大事そうに持って手首にキスをした。

「……?」

 伊月は一瞬驚いて、俺の瞳を見つめている。

「……伊月はキスする場所によって、意味があるってこと知ってた?」

「そうなの?じゃあさっきのキスってどういう意味?」

「愛情と独占欲。伊月のことを手放したくないってこと」

「先生、めっちゃ俺のこと好きじゃん」

 伊月は、腕の中から俺のことを見上げて、嬉しそうに笑ってる。
 その伊月の顔があまりにも可愛く感じて、伊月の頬を片手で挟んでキスをした。
 手を離すと、伊月は驚いて目を丸くして、俺を見つめている。

「伊月、今日予定は?」

「特にないけど」

「じゃあ、今日デートでもする?」

「うん」

 2人で向かい合って手を繋いだ。この愛しい日々がいつまでも続けばいいと思った。


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