いつか死ぬのだから

ひゅん

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夏休みの黒いアルバイト

金子という男

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 この金子という男、紹介してもらったのは大学のキャンパス内で、ここの学生であると語っていたが、直感的におかしな感じがした。
 先ず第一に彼は長身のイケメンではあったが大学生にしては高級品を身につけていたこと。高価なIWCのクロノグラフが会った時に目についた。小物も本物っぽい金のブレスレットや指輪をしていたし、何より大学生にしては大人っぽかった。チャラいお兄さんという感じで、ここにいる学生とは毛並みが違う感じだった。
「松木君、バイト探してるって?」
 金子という男は会うなりいきなり本題に入ってきた。
 喋った感じただチャラい男ではなかった。どこか理性を働かせて喋るタイプで、彼の思惑はわからなかったが、やはりどうか疑わしい感じがした。
「一日五万のアルバイトがあるって聞いたんですけど」
「一日五万稼ぐとなると、それ相応のことをしてもらわないと」
 金子は結構、ズカズカ物を言った。ぐいぐい話に食い込んでくるタイプで普通の大学生である私には灰汁が強かった。
「何か物を運ぶ仕事ってあるんですか?」
「あるよ。だけど五万つうとこっちもそれ相応に重要な情報を君に伝えないといけないし覚悟ある?」
 覚悟? 何の覚悟だろう。流石にここまできてヤバい違法な仕事をやらされることは若い自分でもわかった。だが、違法ったって自分に何か降りかかるということをこの時想像することはできなかった。
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