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三
食い下がる
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その日の朝練、三年一組は二つのグループに分かれてタイムの計測を行った。ヨーイドンという先生の合図で一組目が走り始めた。グラウンドを一周したところで藤波はいつものように先頭に躍り出た。藤波は大きなスライドで他の者を引き離していった。と、藤波の背後にだんだんと近づいて来るものがあった。それに気づいた時、藤波はちょっとペースを落として背後を見た。星崎であった。藤波の後を追って星崎が藤波の背後にぴったりと食らいついていた。
苦しそうな顔だった。形相はいつもの穏やかな星崎ではなかった。真っ赤な顔をして、顎を大きく上に向けて走っていた。それにしてもいつもはこんなに前に星崎が来ることはない。かなり無理をしていることが見て取れた。藤波は少し意地悪な気持ちになってピッチを上げて星崎を引き離しにかかった。が、星崎は付いてくる。二周三周とどこまでも食らいついてきた。四周目になるとさすがに苦しそうだった。そしてとうとう力尽きて極端にペースが落ちていき、次々に後続に抜かれていった。藤波は、背後を振り返り星崎が見えなくなったのを確認して更にペースを上げて先頭を走った。
苦しそうな顔だった。形相はいつもの穏やかな星崎ではなかった。真っ赤な顔をして、顎を大きく上に向けて走っていた。それにしてもいつもはこんなに前に星崎が来ることはない。かなり無理をしていることが見て取れた。藤波は少し意地悪な気持ちになってピッチを上げて星崎を引き離しにかかった。が、星崎は付いてくる。二周三周とどこまでも食らいついてきた。四周目になるとさすがに苦しそうだった。そしてとうとう力尽きて極端にペースが落ちていき、次々に後続に抜かれていった。藤波は、背後を振り返り星崎が見えなくなったのを確認して更にペースを上げて先頭を走った。
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