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1話 美波が消えて7日目
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私の娘はファミコンだ。
四六時中家族に愛を叫び、親から好きの恐喝をしてくるような少しねじが外れている所がある娘。
22歳独身。実家暮らし。彼氏無し。ダークネス企業の社員である。
そんな娘が、一週間帰ってこない。
もういい大人なので、心配はすれど彼氏でも出来たのかと思っていた。
1週間あのファミコンの娘から、こんなに連絡が無いなんて初めてだ。
友人と旅行に行っても、
仕事で2徹した時でも馬鹿みたいに、
「好きって言ええぇぇ!?」っと叫んでいた娘が、
電話しても、メールしても連絡が取れず、MINEのメッセージを送っていたけど既読は着かず…
これは…あれか事件に巻き込まれたのかもしれない!!
一週間経って、ようやく捜索願を出そうかと夫と話し始めた時だった、突然頭に声が響いた。
『ママァ―――――!!』
頭に直接響くような、びくりと身体を跳ねさせたけれど、響いてきたその声は1週間ぶりに聞く娘の声だった。
「え?美波?何やってんの?ってこれなんであんたの声が響いてんの?どこに居るの?」
『あ!ママ!良かった――!私の声が届いたんだ―――」
一週間音沙汰が無かった娘の声音は思いのほか変わらず、でも仕事でへとへとになった時の様な元気のない響きがあった…
『あのね―――!聞いてよ!』
「はいはい。なーに?」
『なんかさ――ホンニャラカって国で大規模召喚があってね――』
「召喚…?」
『それで、私巻き込まれて、異世界来ちゃってさ!』
「え?」
『スキルがはずれだからって追放されたんだよ!ひどくない?こっちだって好きでこんなとこ来たわけじゃないのに酷いよね―――!』
「追放って…美波…あんたネット小説の読み過ぎよ。最近ハマったアニメもそんな話じゃなかった?」
『ママン冷静過ぎる!
そうじゃないの――本当なの!!
ちなみにお城追い出されて、追放された人たちがいる集落に今いるんだけど――私どうしたら良いのかわからず、スキルで出てきたカードもってママにつながれって思ったらつながったんだよ!!ママ神!どうにかして!!」
「他力本願過ぎるわ」
『ママ本願ですぅ―――!』
突然のおかしな会話に私は頭を抱えながら、近くにあったスーパーのチラシをひっくり返し裏に今言われた事を書いていく。
そうでもしないと半世紀生きた頭じゃ処理できない…
国名と現在の居場所、先ほどから言っていたハズレスキルってなんなのかしら?
「美波のスキルって何なの?」
『テレフォンカード』
「あら、懐かしい…今使える所なんてほとんどないでしょう…異世界では使えるの?」
『使えるよ~、カードを持ってママにつながれって念じたら
『ママ【升田 桃子】につなぎます』
ってアナウンスの後つながったんだよ!ママ、美波に好きって言え!」
「はいはい、好きだよ。」
美波のいつもの好きの恐喝を受け流しながら、考える。
「美波のほかにも召喚された人たち居たんでしょう?どんなスキルの人が居たの?」
『え―――…勇者、聖女、賢者、聖騎士、とかかな…なんか私のスキル聞いた瞬間、王様っぽい人が要らんとか言って速攻引きずられて連れていかれたから後は分からないんだよね――あの王様むかつくわぁ―――』
「それダメ召喚ってやつじゃない。残念ね美波。
どうにか生活していくための資金をためなくちゃ。あとお金溜まったらさっさとその国出なさいね。仕事見つかりそう?」
『あーここ魔法がある世界だよ!そんでね冒険者とか定番職業があるよ!』
「あら、美波戦えるの?」
『無理じゃない?』
「まぁ…そうよね~。美波のステータス知りたいんだけど…ステータス画面とかでないの」
『試してなかったな。ステータスオープン!おぉ――なんか出た』
「あら、HP分かる?」
『HPあったあった。えっと一、十、百、千、万、十万、百万…1,930,022だね』
「は?」
『だから193万だって。』
「MPは?」
『えーとね…一、十、百、千、万、十万、百万…5,680,029だね』
「いや…それ大丈夫じゃないの?冒険者出来るんじゃない?」
『そう?えっとその下のSTRは…一、十…32』
STRって何?』
「攻撃力だね…」
『そんで、その下のDEXが…32。やっぱダメかも…ちなみにDEXってなに?』
「速度」
『うわ、終わった感じ?』
「はい、次は?」
『え―――、えっと、VITが一、十、百、千、万、十万、百万…7,890,051』
「バグってない?」
『あと最後LUKが100』
「美波、あんたきっと大丈夫。
多分美波の防御をもってしたら、国すら落とせるんじゃない?」
『ママ――うける~~~そんなめんどい事しないよ―――』
美波は家族が要ればそれで良いんだから―――』
「そう…」
『で、皆はこっち来られる?』
「行きませんけど。
つーか、いけませんけど」
『ブ――!じゃあ美波の荒んだ心の愚痴を聞いて――』
「良いけど、美波ひとまずその世界の人の平均的なステータス値が知りたい。調べてきて。
あと勇者や聖女のステータス値も知れるのなら。魔王とかいるのそっち?」
『あ――そうね。魔王討伐うんぬんいってたな…
途中退場だから詳しくは知らないけど』
「魔王の強さも知りたいな…わかる範囲で調べてきて」
『ママン…美波使い荒くない?異世界で一人な愛娘を労わってよ』
「うちの愛娘の美波なら出来るよね。
大好きな大好きなママの娘ならそれぐらい出来ちゃうもんね――」
『うん!美波ママの期待に答えちゃうから待っててね!』
「うんうん。楽しみに待っているね」
そうして私の頭に響いていた声が消えた。
これ…四六時中話されたら、頭痛くなる…言いくるめて長電話は禁止にしなくては。
私はチラシに書いたメモをもってキッチンに移動してから冷蔵庫にそのメモを張り付けた。
あとで、ノートにでもまとめておこう。
パパ(親馬鹿)に…どう伝えようか困っちゃうわね…
そう思いながら、私は、夕食の支度をするべく冷蔵庫を開けた。
ほうれん草にシイタケあるし、そうね…簡単茶わん蒸しでもしようか…
美波の好物作っても食べさせられないから…あとで愚痴言われそうだ。
異世界でもごはん差し入れできたらいいのにね。
四六時中家族に愛を叫び、親から好きの恐喝をしてくるような少しねじが外れている所がある娘。
22歳独身。実家暮らし。彼氏無し。ダークネス企業の社員である。
そんな娘が、一週間帰ってこない。
もういい大人なので、心配はすれど彼氏でも出来たのかと思っていた。
1週間あのファミコンの娘から、こんなに連絡が無いなんて初めてだ。
友人と旅行に行っても、
仕事で2徹した時でも馬鹿みたいに、
「好きって言ええぇぇ!?」っと叫んでいた娘が、
電話しても、メールしても連絡が取れず、MINEのメッセージを送っていたけど既読は着かず…
これは…あれか事件に巻き込まれたのかもしれない!!
一週間経って、ようやく捜索願を出そうかと夫と話し始めた時だった、突然頭に声が響いた。
『ママァ―――――!!』
頭に直接響くような、びくりと身体を跳ねさせたけれど、響いてきたその声は1週間ぶりに聞く娘の声だった。
「え?美波?何やってんの?ってこれなんであんたの声が響いてんの?どこに居るの?」
『あ!ママ!良かった――!私の声が届いたんだ―――」
一週間音沙汰が無かった娘の声音は思いのほか変わらず、でも仕事でへとへとになった時の様な元気のない響きがあった…
『あのね―――!聞いてよ!』
「はいはい。なーに?」
『なんかさ――ホンニャラカって国で大規模召喚があってね――』
「召喚…?」
『それで、私巻き込まれて、異世界来ちゃってさ!』
「え?」
『スキルがはずれだからって追放されたんだよ!ひどくない?こっちだって好きでこんなとこ来たわけじゃないのに酷いよね―――!』
「追放って…美波…あんたネット小説の読み過ぎよ。最近ハマったアニメもそんな話じゃなかった?」
『ママン冷静過ぎる!
そうじゃないの――本当なの!!
ちなみにお城追い出されて、追放された人たちがいる集落に今いるんだけど――私どうしたら良いのかわからず、スキルで出てきたカードもってママにつながれって思ったらつながったんだよ!!ママ神!どうにかして!!」
「他力本願過ぎるわ」
『ママ本願ですぅ―――!』
突然のおかしな会話に私は頭を抱えながら、近くにあったスーパーのチラシをひっくり返し裏に今言われた事を書いていく。
そうでもしないと半世紀生きた頭じゃ処理できない…
国名と現在の居場所、先ほどから言っていたハズレスキルってなんなのかしら?
「美波のスキルって何なの?」
『テレフォンカード』
「あら、懐かしい…今使える所なんてほとんどないでしょう…異世界では使えるの?」
『使えるよ~、カードを持ってママにつながれって念じたら
『ママ【升田 桃子】につなぎます』
ってアナウンスの後つながったんだよ!ママ、美波に好きって言え!」
「はいはい、好きだよ。」
美波のいつもの好きの恐喝を受け流しながら、考える。
「美波のほかにも召喚された人たち居たんでしょう?どんなスキルの人が居たの?」
『え―――…勇者、聖女、賢者、聖騎士、とかかな…なんか私のスキル聞いた瞬間、王様っぽい人が要らんとか言って速攻引きずられて連れていかれたから後は分からないんだよね――あの王様むかつくわぁ―――』
「それダメ召喚ってやつじゃない。残念ね美波。
どうにか生活していくための資金をためなくちゃ。あとお金溜まったらさっさとその国出なさいね。仕事見つかりそう?」
『あーここ魔法がある世界だよ!そんでね冒険者とか定番職業があるよ!』
「あら、美波戦えるの?」
『無理じゃない?』
「まぁ…そうよね~。美波のステータス知りたいんだけど…ステータス画面とかでないの」
『試してなかったな。ステータスオープン!おぉ――なんか出た』
「あら、HP分かる?」
『HPあったあった。えっと一、十、百、千、万、十万、百万…1,930,022だね』
「は?」
『だから193万だって。』
「MPは?」
『えーとね…一、十、百、千、万、十万、百万…5,680,029だね』
「いや…それ大丈夫じゃないの?冒険者出来るんじゃない?」
『そう?えっとその下のSTRは…一、十…32』
STRって何?』
「攻撃力だね…」
『そんで、その下のDEXが…32。やっぱダメかも…ちなみにDEXってなに?』
「速度」
『うわ、終わった感じ?』
「はい、次は?」
『え―――、えっと、VITが一、十、百、千、万、十万、百万…7,890,051』
「バグってない?」
『あと最後LUKが100』
「美波、あんたきっと大丈夫。
多分美波の防御をもってしたら、国すら落とせるんじゃない?」
『ママ――うける~~~そんなめんどい事しないよ―――』
美波は家族が要ればそれで良いんだから―――』
「そう…」
『で、皆はこっち来られる?』
「行きませんけど。
つーか、いけませんけど」
『ブ――!じゃあ美波の荒んだ心の愚痴を聞いて――』
「良いけど、美波ひとまずその世界の人の平均的なステータス値が知りたい。調べてきて。
あと勇者や聖女のステータス値も知れるのなら。魔王とかいるのそっち?」
『あ――そうね。魔王討伐うんぬんいってたな…
途中退場だから詳しくは知らないけど』
「魔王の強さも知りたいな…わかる範囲で調べてきて」
『ママン…美波使い荒くない?異世界で一人な愛娘を労わってよ』
「うちの愛娘の美波なら出来るよね。
大好きな大好きなママの娘ならそれぐらい出来ちゃうもんね――」
『うん!美波ママの期待に答えちゃうから待っててね!』
「うんうん。楽しみに待っているね」
そうして私の頭に響いていた声が消えた。
これ…四六時中話されたら、頭痛くなる…言いくるめて長電話は禁止にしなくては。
私はチラシに書いたメモをもってキッチンに移動してから冷蔵庫にそのメモを張り付けた。
あとで、ノートにでもまとめておこう。
パパ(親馬鹿)に…どう伝えようか困っちゃうわね…
そう思いながら、私は、夕食の支度をするべく冷蔵庫を開けた。
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