安全第一異世界生活

文字の大きさ
144 / 245
イルグリット王国 魔道具編

143話 圧倒的負け犬と新たな日本人?

しおりを挟む
今いるここは、結構人通りの多い大きい通り。何事かと周りで足を止める人たち、関わらないように即座に逃げる人の動きがある。私はポーチを頭の上に乗っけて

「ウハハ、半径2mで結界張って」

「うは、ハーイ!」

ポンとポーチからスライムになったウハハが今までよりも広い範囲で結界で二人を囲む。男たちがこちらに掴み掛かってこようとするも結界に阻まれて進めない。

「おい!!糞猫の糞爺はこっちの手にあるんだ。五体満足でいて欲しいならさっさと魔石を返せ!!」

「お前も来い。魔石の窃盗は犯罪だからな。騎士団に突き出してやる!!」

男たちはギャイギャイと良く騒ぐ。身を固くしているシンさんの手を握りなおして、優しく語り掛けた。

「カナから絶対離れてはダメだよ。ウハハが守ってくれてるから安心してね」

「でも爺ちゃんが…爺ちゃんが」

「あぁそれ。心配いらないよ。トーさんが今日王宮に事情を話に言ってるから、捕まるとすればあいつらの方だよ」

私が、男たちを指さす。

「王宮?え?クロトが…?」

困惑するシンさんに満面の笑顔で親指を立てる。

「トーさんはね、最強で最高のトーさんだから、お爺ちゃんの事も任せておけば大丈夫」

そうシンさんに言うと、シンさんも少し笑ってくれた。そのやり取りを見ていた男たちが腹を立て、

「王宮だぁ!?お前たちみたいなやつが王宮に話を通せるわけが無いだろうが!!はったりかましてんじゃないぞ!!このクソガキ共がぁ!!痛い目見やがれ!!」

そう言った男たちは、目の前に数個の火球を生み出し私たちに撃ってくる。が、すべてぽよんっとしたウハハの結界に弾かれ、男たちに返っていったり道に落ちたり。あ!!一つだけ人が集まってるところに向かって飛んでいく!!
そこには騒動を見ていた親子が居た。親子の前に大きな火球が迫り行く。親子は身体がすくんだ様に動けず、お母さんが咄嗟に子供を抱きしめ火球に背を向ける。 

「逃げて!!危ない!!」

私が叫んだと同時、親子の前にいきなり水の壁が展開された!
ジュジュッ!
と水の壁から大きな音と共に、モクモクと水蒸気が上がって火球は消滅した。途端、水壁は爆ぜ、霧雨みたいなものが辺りに弾けた。見ていた者達から親子に視線が集まる。親子の前には二人の人物が居た。

「お怪我はございませんか?」

親子の前に膝を付き、黒髪の女性が優雅に話しかける。親子は「ありがとうございました」とひたすらお礼を言い頭を下げる。
黒髪の女性に、ここは危ないので離れるように言われ、親子は頭を下げつつ、この場を去った。親子が見えなくなると、黒髪の女性が立ち上がる。その隣には黄金色の髪と青い目を持つ美丈夫が居た。格好こそ冒険者風を装っているが…なんかひしひしと優雅と言うか、高貴なオーラが伝わってくる。この人絶対貴族だ!!黄金色の髪をかき上げて、男の人は溜め息を吐いて男達に苦言を言う。

「このような往来で、魔法を放つなど見境なき振る舞い。なんと愚かしい。そのような己の未熟を晒すとは。器が知れるな」 

さらっと毒を吐いたその美丈夫に、男達は私達そっちのけで食って掛かかった。

「なんだと!ちっとばかし顔が良いからって、いい気になるなよ兄ちゃんよぉ!!」

「キレーな姉ちゃん連れ歩いて、カッコ付けに俺らに喧嘩吹っ掛けてんのか?あぁ!!」

そう言って美丈夫の服を掴み上げて睨んできた男に、美丈夫は服を掴んでいる腕を逆手に掴み返したかと思うと、あっという間に男は道に俯せで組み伏せられ痛みに呻いていた。更に美丈夫は、その男の上に優雅に座っている。

「まだやる気かい?」

男達は何が起きたかわからずたじろぐ。「何しやがった!!」「魔法か!見えなかったぞ!!」と混乱する男たちに、美丈夫は立ち上がり男達に自ら近付いて、

「まだ、やるか?」

そう威圧する。男達は悔しそうに逃げようとしたが、

「あぁ、仲間を見捨てるなんて非道な真似はしないよな?」

そうにっこり笑って言う姿は、圧倒的強者。それを向けられた男達は、道に組み伏せられた奴を回収して逃げていった。おぉ圧倒的負け犬感。シンさんはホッとしたように私と繋いでいた手の力を緩めた。

「ひとまず今日はもう帰ろう。トーさんに報告しなくちゃ」

「そうだね。爺の事も心配だし、そうしよう」

もう宿に帰る事を決め、助けてくれた二人にお礼を言いに行く。
近づくと、黒髪の女性から微笑まれ、

「お嬢さん方お怪我はございませんか?」

「ご助力ありがとうございました。おかげで怪我人も出ずに済みました。」

そう言って私がお辞儀をすると、黒髪の女性は固まった。頭を上げて首を傾げていると、美丈夫が女性にどうした?っと優しく聞いてくる。黒髪の女性が美丈夫に耳打ちする。
『彼女の振る舞いが私の国の物と一緒なのです」
聞き耳スキルでばっちり聞こえちゃって、固まる私と不安げなシンさん。美丈夫がこちらを無言で見てくるので、とりあえずトーさんに相談するため、

「あの、助けてもらったお礼に食事でもいかがですか?」

私の提案に二人は目線を合わせ頷いた。

「私はそなた達と話がしたい。お言葉に甘えて良いだろうか?」

「美味しいものを出してくれるところを知ってるので、そこで良ければ行きましょう」

私はニッコリ笑ってシンさんの手を引き、二人を引き連れて宿に向かって歩を進めた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

【完結】巻き込まれたけど私が本物 ~転移したら体がモフモフ化してて、公爵家のペットになりました~

千堂みくま
ファンタジー
異世界に幼なじみと一緒に召喚された17歳の莉乃。なぜか体がペンギンの雛(?)になっており、変な鳥だと城から追い出されてしまう。しかし森の中でイケメン公爵様に拾われ、ペットとして大切に飼われる事になった。公爵家でイケメン兄弟と一緒に暮らしていたが、魔物が減ったり、瘴気が薄くなったりと不思議な事件が次々と起こる。どうやら謎のペンギンもどきには重大な秘密があるようで……? ※恋愛要素あるけど進行はゆっくり目。※ファンタジーなので冒険したりします。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした。今さら戻れと言われても、もうスローライフ始めちゃったんで

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、 優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、 俺は必死に、置いていかれないようについていった。 自分には何もできないと思っていた。 それでも、少しでも役に立ちたくて、 誰にも迷惑をかけないようにと、 夜な夜な一人でダンジョンに潜り、力を磨いた。 仲間を護れるなら… そう思って使った支援魔法や探知魔法も、 気づかれないよう、そっと重ねていただけだった。 だけどある日、告げられた。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、優しさからの判断だった。 俺も分かっていた。だから、何も言えなかった。 こうして俺は、静かにパーティを離れた。 これからは一人で、穏やかに生きていこう。 そう思っていたし、そのはずだった。 …だけど、ダンジョンの地下で古代竜の魂と出会って、 また少し、世界が騒がしくなってきたようです。 ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

我が家と異世界がつながり、獣耳幼女たちのお世話をすることになった件【書籍化決定!】

木ノ花
ファンタジー
【第13回ネット小説大賞、小説部門・入賞!】 マッグガーデン様より、書籍化決定です! 異世界との貿易で資金を稼ぎつつ、孤児の獣耳幼女たちをお世話して幸せに! 非日常ほのぼのライフの開幕! パワハラに耐えかねて会社を辞め、独り身の気楽な無職生活を満喫していた伊海朔太郎。 だが、凪のような日常は驚きとともに終わりを告げた。 ある日、買い物から帰宅すると――頭に猫耳を生やした幼女が、リビングにぽつんと佇んでいた。 その後、猫耳幼女の小さな手に引かれるまま、朔太郎は自宅に現れた謎の地下通路へと足を踏み入れる。そして通路を抜けた先に待ち受けていたのは、古い時代の西洋を彷彿させる『異世界』の光景だった。 さらに、たどり着いた場所にも獣耳を生やした別の二人の幼女がいて、誰かの助けを必要としていた。朔太郎は迷わず、大人としての責任を果たすと決意する――それをキッカケに、日本と異世界を行き来する不思議な生活がスタートする。 最初に出会った三人の獣耳幼女たちとのお世話生活を中心に、異世界貿易を足掛かりに富を築く。様々な出会いと経験を重ねた朔太郎たちは、いつしか両世界で一目置かれる存在へと成り上がっていくのだった。 ※まったり進行です。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

処理中です...