ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
107 / 2,518

第107話 それぞれの道

しおりを挟む
 俺がダンジョンで遊んでいた一ヶ月の間、新人達の教育は一通り終わったようだった。

 戦闘訓練と調理は力を入れて教えたらしい。元々新人達は全員読み書きは問題なかったようなので、その時間は簡単な算術と戦術を覚える時間にあてていたようだ。

 そのかいもあってピーチが思う最低限までは教育できたようだった。

 ちなみにレベルは全員一〇〇まで上がっていた……上げすぎじゃね? ってかよくあげられたな。スキルは宝珠を使って覚えさせたが、能力向上と体術のLv十以外は自力で上げたようでLv四まで大体上がっていた。どれだけ濃い訓練をしていたんだか。

 一応新人達の活用方法を伝えていたが、そこらへんはどうなったのか聞いてみると、一方が冒険者活動している時は、一方がメイドの特訓をする形になったようだ。って俺が聞きたいのはそこじゃない!

 二週間に一回くらいはフレデリクの街に来るようにしており、その時に収支報告書などを持ってくるようになっているとの事。その時に一緒に食材をこっちから向こうへ運ぶようにして、向こうでは一切購入する必要がないようにするようだ。

 冒険者活動で得たお金は自由に使っていいようにして、追加でほしい食材があったら自分たちで購入するようにした。ネルビ男爵の監視もあることを忘れない様に伝えた。

 ちなみに新人たちは先輩たちと一緒で、俺を見る目が時々崇拝者のごとくキラキラと輝いている目をしている。ぴ、どんな教育をしたんだ!

 ちょっと聞いてみたいが藪蛇になりそうなので怖いな。本来の役目で、数字の監視って意味ではちょっと心配になるが、自分たちの身を守るすべは手に入れてるからそれはそれでいいか。

 俺は新人たちが教育を受けている間に、ダンジョンで遊んでいたがその合間に、専用の馬車とウォーホースを準備している。先輩たちと同じような振動吸収のシステムと、タイヤは弾力が程よくある魔物の皮を加工して、何重にも巻き付けたタイヤを採用している。

 パーティーに一つずつ収納のカバンと指輪のセットを渡している。パーティーのリーダーは、ピーチと同じヒーラーが担当することになり、その娘に合わせたカバンのデザインと固定のエンチャントがつけている。

 ちなみに防具に関してはカエデのお手製で、全員にお揃いのレザー装備一式だ。要所要所はアダマンタイトの薄いプレートを仕込んであり、防御力的にはフルプレートでガチガチの前衛より高い。特にタンクの娘に関しては、カエデの作った盾に俺がアダマンタイトのコーティングをほどこしている。

 武器に関しては、タンクは壁メインに大きめの片手斧・避けの方は片手長剣・双剣には幅広の片刃の剣・薙刀には俺と同じ型の物を・魔法アタッカーには打撃系にも使えるバトルロッド・ヒーラーにはメイスと小型のカイトシールド(とがった部分で殴れる仕様)で統一している。

 リーファスの街の兵士の倍の数が反乱起こしても、この十四人がいれば問題なく鎮圧できるだろう。

 ピーチは、二週間に一回フレデリクに戻ってくるので、その時に追加で教育していくつもりだそうだ。他にもこっちから娘たちを派遣して、教育を考えているとも言っていた。

 一応、連絡用に骨伝導スピーカー仕様の無線を渡しているので、すぐに相談できる体制にもしている。この世界には電気の概念はまだ無いので、バッテリー替わりの物を魔石を使って作成してはめている。ちなみに、これを作ったのはアリスとライムである。

 この二人は錬金術と魔導具作成のスキルを取って、鍛えていたので任せてみたらすんなりと作ってしまったのだ。その際に活躍したのが、理科の教科書だった。

 魔石の魔力を電力に変えると、いう工程なだけでさほど難しくなかったと。魔石電池とでも言えばいいのかな? この魔導具はおそらく色々な事に代用できるだろう。

 リーファスにも拠点を確保するために、年少組と新人組を連れてリーファスに向かう事にした。道中何もなく……と言っても半日の行程なのだが。

 その日は適当な宿に泊まってから、次の日に家を探すことにした。お金はいくらでもあるので値段にこだわらずにいいものを買おう。

 次の日、商人ギルドを訪れて現状のネルビ男爵の収支報告の状況を聞いて、拠点を探していることを伝える。

 ネルビ男爵は今のところ怪しい報告はしていない。活動資金はきちんと自分の資産から、ひねり出しているようだった。自分のお金なので慎重に使っているのでは? とのギルドマスターは言っていた。

 人の物だったら何も考えずに使うのか? あれだけグダグダな内情だったのに。矯正されたとはいえ、一ヶ月足らずでここまで更生するもんなんだな。

 ただこの状況に慣れてきたら、怪しい動きをする可能性が高いとギルドマスターは考えているようだった。俺もそこは同意せざるを得ないので、監視を弱めない様に伝えておく。

 ついでに新人の娘たちをこの街の拠点に置いておくので、収支報告書や俺に伝えたいことはこの娘たちに頼むようにお願いしておく。

 拠点の方はお金に糸目をつけないから、ある程度の大きさのある建物をいくつか見繕ってもらった。

 一つ目は、外壁に近い位置の何に使われていたかわからない結構頑丈な建物。家の大きさは、今のフレデリクの家の五割増しの大きさではないだろうか? かなり大きかった。

 二つ目は、貴族街に近い屋敷だった。大商人が建てたらしいその建物は、大体フレデリクの家と同じくらいの大きさだろうか?

 三つ目は、商人ギルドの近くにある半倉庫の様な、フレデリクの家と同じくらいで、敷地は結構な広さだった。家部分もそれなりに広く使い勝手がよさそうであった。

 家の内装はDPで簡単に変更できることは確認しているので、三つ目の半倉庫の家を改装して拠点として使うことを決めた。

 広い敷地には、ハーブや香辛料を育てれるようにビニールハウスならぬ、強化ガラスでできているハウスをいくつか作成している。難しいかもしれないがそこらへんは、色々試行錯誤して頑張ってもらおう。うまくいけば香辛料などの量産を考えて、街の食事の質を上げられるだろう。

 半倉庫は規模を狭くして、馬車が二台とウォーホースの寝床程のサイズにして、ウォーホースが自由に動けるように、高い塀で少し動ける場所を確保する。

 その場所は娘たちのトレーニングにも使えるように、一回掘り起こしてもらってクリエイトゴーレムを使って地面を平らにして強化して、ある程度の再生機能を魔核を使用して付与しておいた。

 部屋は、誰か訪ねてきた時に使う場所としての部屋以外は、俺たちが来ても大丈夫な程度の部屋の数、食堂とキッチンにはアリスとライムが作った魔導具、コンロやオーブンなどを設置している。

 フレデリクの家とは違い余分な部屋がないので、思っていたより半倉庫の家は余裕がある感じだ。必要なものが増えたら、この余裕のある場所を使えばいいか。

 新人に色々な指示をしながら内装を整えていった。二日後には何の問題もない程度には使用できる状態になった。後は足りないものを街の店で購入して終わりだな。

 一応拠点の守りとしてアダマンタイト製のリビングアーマーを四体配置している。LvもDPで上げていてスキルも充実している。盾と剣持ちが一体、双剣が一体、弓が一体、槍が一体の四体だ。

 拠点の整備も程よく終わり、後は任せても問題ないと判断したので、俺はフレデリクに帰ることにする。何かあった時は無線で連絡するように言い含める。

 新人たちの巣立ちを見送り? して帰路につく。帰り道で雪にふられたが、少量だったので問題なく家に帰れた。すこし冷えた体にサウナと温泉は最強の癒しだった。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

処理中です...