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第165話 ヴローツマイン大混乱
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東門の外をある程度見学したら、ダンジョンの場所へ案内する。ダンジョンの入口には、ちっちゃなお城みたいなのを建ててある。一応、ダンジョンにつきもののスタンピード(魔物の暴走によるダンジョンの外に出る現象)対策である。俺の管理しているダンジョンだからスタンピートなんて起こらないけどね。
リンドはダンジョンの中を見て愕然としている。だって三十層までは階層を自由に選べるんだ。螺旋階段が三十層まで吹き抜けでつながっているのだ、自分たちの実力に合わせて階層を選べる。
三十層までなら帰るのは階段を上るだけでいいから他のダンジョンに比べて安全が確保しやすい。その分三十層から下の難易度がやたらと高く設定されてるけどね。
他のダンジョンも同じようなつくりになっていることを伝えるとリンドの顎が外れそうになっていたな。西門の先は兵舎から城壁に上って中を眺めるだけにしたが、いい感じで土が柔らかくなっているようだ。
耕してできた土は栄養満点なため雑草も生えてくるが、その雑草がまたワームたちの餌になるからな、自給自足っぽくなっている。お米とか作る田んぼもほしいな。
「よし、シュウ! ヴローツマインに戻るぞ! 善は急げだ。馬車の移動中にこっちに連れてくる面子のピックアップをすればいいから行くよ! 帰る馬車の準備をお願い!」
昼食のために家へ戻ってくるといきなりこんなことを言い出した。何が善なのかはよくわからんが、早くかえって戻ってきたいのだろう。
娘たちにお願いして馬車を準備してもらう。昼食が終わったら出発しよう。
ヴローツマインに行くメンバーは、変わらずシェリル・イリア・ネルの三幼女を連れて行く。ついでにニコとハクだ。こいつらときたら三幼女と遊んでいる時は、呼んでも来ないんだよな……どうしたもんだかな。
その癖に寝る時だけは俺のベッドに来るんだよ、構ってほしい時だけくるみたいな? まるで猫だな。
馬車はウォーホースにすべて任せ、荷台で横になりながらニコとハクの様子を眺めていた。
「シュウ、一つ聞いていい? あなた、ダンジョンマスターでしょ?」
このセリフを聞いた瞬間、三幼女が収納の腕輪から非殺傷ではない武器を取り出した。殺気を放ち俺とリンドの間に入ってくる。その殺気に気付いたニコとハクもゆるゆるしていた状態から一転、完全な戦闘態勢に入っていた。
「ちょ、ちょっと待って。私に害意はないの!」
「それを判断するのはあなたじゃないの! ご主人様の秘密に気付いたあなたには「少し落ち着け」」
暴走し始めているシェリルを止めて、リンドの意図を確認してみる。
「リンド、率直に聞く。その質問をした意図を聞きたい」
「オーケー。まず大前提を話しておくわ。私は精霊の住むあの街に住みたい。これは嘘偽りはない。なんでシュウがダンジョンマスターか聞いたのは興味本位だ。
君にとってその内容がタブーだとも知らずに突っ込んでしまったことを謝罪する。正直どっちでもよかったんだ。いや違うな、もしダンジョンマスターならむしろその恩恵を受けられるから、ダンジョンマスターである方が望ましい」
「どうしてダンジョンマスターだと思った?」
「私がまだ三〇〇歳になった頃に、君と似た特徴のダンジョンマスターと知り合ったことがあるんだ。黒髪黒目の人物だ。全然似ていないのに君を初めて見た時に彼を思い出した、ディストピアを見た時に彼をまた思いだした。
精霊種としての勘が君のことを信用するなら、聞くべきだと囁いたから興味本位で聞いてしまった。誓ってこの内容に嘘はない、精霊の名にかけて」
「俺以外にもやっぱり連れてこられていたんだな。その人はどうなったか知っているか?」
「バリス聖国の特殊部隊に追いかけられ大怪我を負い、捕まりそうになって私が殺した。捕まって拷問を受け利用されるくらいなら、君に殺してほしいと懇願されたから。私がもっと強ければ彼を守れたのに……傷ついた彼を背負って、特殊部隊を振り切ることはできなかった。私がもっと強ければ、ゆきむら……」
「嫌なことを思い出させてしまったね、ごめんよ。最後に一つ聞いていいかい? その人はゆきむらって名前だったのかい?」
「そうよ、サナダユキムラと名乗っていたわ」
え~ここで超有名人が出てくるとは思わなかったよ。三〇〇歳って事は、四〇〇年前位か? 俺がいたのは二〇二五年、真田幸村が死んだのっていつだっけ?
ブッ君でそれらしい本を購入して死んだ年を調べる。一六一五年か、絶妙にマッチしているんだが。もし本人だったとして、死んだはずの人がなんでこの世界に来てるんだ?チビ神にでも今度聞くか。
「多分、俺と同じ出身国だな。同郷の人間を追い回したんだ。四〇〇年経ったとはいえ、バリス聖国許すまじ! いずれライチェル王国同様ぼこってやる」
リンドは俺の奴隷になると宣言した。奴隷になればどんな状況になってもしゃべることはない、私の覚悟といって断固として譲らなかった。
おいリンド! 何故にお前は奴隷の首輪なんて持ってるんだ? と驚いた顔をしたら、機密情報を持っている私が誰かに捕まった時のために持ってるのよと、奴隷の首輪を自分でつけると奴隷の持ち主が自分になるという矛盾があり暴走するらしい。
その暴走を使って自決するのが目的だとのこと。奴隷の首輪って思っている以上にあぶねえな……
奴隷の首輪をつけるとなんだか満足げにしている。って流れで付けたけど、機密情報もってるのに俺の奴隷になっていいのか?
「あ? 機密情報って言ってもダンジョンマスターについてだから、シュウの奴隷になる分には何の問題もないわ。多分気付いてると思うけど、あの街を作ったのがユキムラだから。一部の人しか知らない事実だけどあなたなら何の問題もないよ」
という事らしい。
ヴローツマインに戻ってギルドへ向かう。
「ダリアは今いるか?」
「あ、リンドさんお帰りなさい。ダリアさんなら今副ギルド長の部屋にいますよ」
受付にダリアという人物のいる場所を確認してズンズンと進んでいく。副ギルド長と書かれた扉を蹴破る勢いで扉を開けた。
「ダリア! いるか?」
「リンド帰ってきたのか、どうだった?」
「いい場所だった。私はあっちに住むから、今日からお前がギルド長な! よろしく」
「はぁ? くそババアなに世迷言言ってんだ! 耄碌すr……アブシッ」
「誰がくそババアだって? ちょっとお仕置きが必要かしら?」
肉体言語で語り合っている二人を眺めて、ネルが準備してくれた茶菓子と麦茶を飲んで見守っている。二十分ほどで語り終わったのか殴り合いが終わった。
「リンド、その首輪。そういう事なのか?」
どういうことだよ? まったくわからねえよ!
「そうだよ、ユキムラと同郷らしい。だから私は向こうの街に住む。それにめちゃくちゃいい環境だからな、移動しない理由もない。最近することがないってやさぐれている、ジジイとババア共もつれていくよ」
「ユキムラと同郷か。わかった、あの爺様方を連れてってくれるならありがたい。腕はあるのにふるえる場所がなくて飲んだくれてるくらいだからな」
話がまとまった様だが、全然わからん。まってくもって意味が分からん!
その日の内にギルド長がリンドからダリアに替わった事をヴローツマインで発表した。
送別会という名の宴会が始まり、ダリアと同じように肉体言語で語り合うドワーフが出てきたが、リンドが全員をノックダウンさせた。リンドを狙っていた若いドワーフたちに俺は睨まれ、俺まで肉体言語で語らされてしまった。
こうやって、リンドの気の迷いといわれる歴史の一ページが幕を閉じた。
リンドはダンジョンの中を見て愕然としている。だって三十層までは階層を自由に選べるんだ。螺旋階段が三十層まで吹き抜けでつながっているのだ、自分たちの実力に合わせて階層を選べる。
三十層までなら帰るのは階段を上るだけでいいから他のダンジョンに比べて安全が確保しやすい。その分三十層から下の難易度がやたらと高く設定されてるけどね。
他のダンジョンも同じようなつくりになっていることを伝えるとリンドの顎が外れそうになっていたな。西門の先は兵舎から城壁に上って中を眺めるだけにしたが、いい感じで土が柔らかくなっているようだ。
耕してできた土は栄養満点なため雑草も生えてくるが、その雑草がまたワームたちの餌になるからな、自給自足っぽくなっている。お米とか作る田んぼもほしいな。
「よし、シュウ! ヴローツマインに戻るぞ! 善は急げだ。馬車の移動中にこっちに連れてくる面子のピックアップをすればいいから行くよ! 帰る馬車の準備をお願い!」
昼食のために家へ戻ってくるといきなりこんなことを言い出した。何が善なのかはよくわからんが、早くかえって戻ってきたいのだろう。
娘たちにお願いして馬車を準備してもらう。昼食が終わったら出発しよう。
ヴローツマインに行くメンバーは、変わらずシェリル・イリア・ネルの三幼女を連れて行く。ついでにニコとハクだ。こいつらときたら三幼女と遊んでいる時は、呼んでも来ないんだよな……どうしたもんだかな。
その癖に寝る時だけは俺のベッドに来るんだよ、構ってほしい時だけくるみたいな? まるで猫だな。
馬車はウォーホースにすべて任せ、荷台で横になりながらニコとハクの様子を眺めていた。
「シュウ、一つ聞いていい? あなた、ダンジョンマスターでしょ?」
このセリフを聞いた瞬間、三幼女が収納の腕輪から非殺傷ではない武器を取り出した。殺気を放ち俺とリンドの間に入ってくる。その殺気に気付いたニコとハクもゆるゆるしていた状態から一転、完全な戦闘態勢に入っていた。
「ちょ、ちょっと待って。私に害意はないの!」
「それを判断するのはあなたじゃないの! ご主人様の秘密に気付いたあなたには「少し落ち着け」」
暴走し始めているシェリルを止めて、リンドの意図を確認してみる。
「リンド、率直に聞く。その質問をした意図を聞きたい」
「オーケー。まず大前提を話しておくわ。私は精霊の住むあの街に住みたい。これは嘘偽りはない。なんでシュウがダンジョンマスターか聞いたのは興味本位だ。
君にとってその内容がタブーだとも知らずに突っ込んでしまったことを謝罪する。正直どっちでもよかったんだ。いや違うな、もしダンジョンマスターならむしろその恩恵を受けられるから、ダンジョンマスターである方が望ましい」
「どうしてダンジョンマスターだと思った?」
「私がまだ三〇〇歳になった頃に、君と似た特徴のダンジョンマスターと知り合ったことがあるんだ。黒髪黒目の人物だ。全然似ていないのに君を初めて見た時に彼を思い出した、ディストピアを見た時に彼をまた思いだした。
精霊種としての勘が君のことを信用するなら、聞くべきだと囁いたから興味本位で聞いてしまった。誓ってこの内容に嘘はない、精霊の名にかけて」
「俺以外にもやっぱり連れてこられていたんだな。その人はどうなったか知っているか?」
「バリス聖国の特殊部隊に追いかけられ大怪我を負い、捕まりそうになって私が殺した。捕まって拷問を受け利用されるくらいなら、君に殺してほしいと懇願されたから。私がもっと強ければ彼を守れたのに……傷ついた彼を背負って、特殊部隊を振り切ることはできなかった。私がもっと強ければ、ゆきむら……」
「嫌なことを思い出させてしまったね、ごめんよ。最後に一つ聞いていいかい? その人はゆきむらって名前だったのかい?」
「そうよ、サナダユキムラと名乗っていたわ」
え~ここで超有名人が出てくるとは思わなかったよ。三〇〇歳って事は、四〇〇年前位か? 俺がいたのは二〇二五年、真田幸村が死んだのっていつだっけ?
ブッ君でそれらしい本を購入して死んだ年を調べる。一六一五年か、絶妙にマッチしているんだが。もし本人だったとして、死んだはずの人がなんでこの世界に来てるんだ?チビ神にでも今度聞くか。
「多分、俺と同じ出身国だな。同郷の人間を追い回したんだ。四〇〇年経ったとはいえ、バリス聖国許すまじ! いずれライチェル王国同様ぼこってやる」
リンドは俺の奴隷になると宣言した。奴隷になればどんな状況になってもしゃべることはない、私の覚悟といって断固として譲らなかった。
おいリンド! 何故にお前は奴隷の首輪なんて持ってるんだ? と驚いた顔をしたら、機密情報を持っている私が誰かに捕まった時のために持ってるのよと、奴隷の首輪を自分でつけると奴隷の持ち主が自分になるという矛盾があり暴走するらしい。
その暴走を使って自決するのが目的だとのこと。奴隷の首輪って思っている以上にあぶねえな……
奴隷の首輪をつけるとなんだか満足げにしている。って流れで付けたけど、機密情報もってるのに俺の奴隷になっていいのか?
「あ? 機密情報って言ってもダンジョンマスターについてだから、シュウの奴隷になる分には何の問題もないわ。多分気付いてると思うけど、あの街を作ったのがユキムラだから。一部の人しか知らない事実だけどあなたなら何の問題もないよ」
という事らしい。
ヴローツマインに戻ってギルドへ向かう。
「ダリアは今いるか?」
「あ、リンドさんお帰りなさい。ダリアさんなら今副ギルド長の部屋にいますよ」
受付にダリアという人物のいる場所を確認してズンズンと進んでいく。副ギルド長と書かれた扉を蹴破る勢いで扉を開けた。
「ダリア! いるか?」
「リンド帰ってきたのか、どうだった?」
「いい場所だった。私はあっちに住むから、今日からお前がギルド長な! よろしく」
「はぁ? くそババアなに世迷言言ってんだ! 耄碌すr……アブシッ」
「誰がくそババアだって? ちょっとお仕置きが必要かしら?」
肉体言語で語り合っている二人を眺めて、ネルが準備してくれた茶菓子と麦茶を飲んで見守っている。二十分ほどで語り終わったのか殴り合いが終わった。
「リンド、その首輪。そういう事なのか?」
どういうことだよ? まったくわからねえよ!
「そうだよ、ユキムラと同郷らしい。だから私は向こうの街に住む。それにめちゃくちゃいい環境だからな、移動しない理由もない。最近することがないってやさぐれている、ジジイとババア共もつれていくよ」
「ユキムラと同郷か。わかった、あの爺様方を連れてってくれるならありがたい。腕はあるのにふるえる場所がなくて飲んだくれてるくらいだからな」
話がまとまった様だが、全然わからん。まってくもって意味が分からん!
その日の内にギルド長がリンドからダリアに替わった事をヴローツマインで発表した。
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